欧州連合(EU)の行政府、欧州委員会で通商と経済安全保障を担当するマロシュ・シェフチョビッチ委員は8~9日にかけて中国北京を訪問し、同国の王文濤商務相と会談する。両者は中国によるレアアース(希土類)の輸出規制などについて協議する見通しだ。EUと中国の間では貿易摩擦が激化しており、特に欧州の防衛産業が影響を受けている。
EUと中国の間の緊張は、欧州側が2024年10月、中国製電気自動車(EV)に対する関税を最大45.3%に引き上げたことをきっかけに高まり始めた。中国は翌年4月、米国の関税措置に対抗し、特定のレアアースと磁石に対する輸出規制を導入した。この規制の影響は欧州企業にも及んでいる。
欧州委員会は対中貿易に関する報告書の中で、「経済的な課題が増大する一方で、規制上の障壁はおおむね変わっていない」と指摘。こうした状況の中でも「EUは『中国離れ』ではなく、リスク低減に取り組んでいる」と強調した。だが、中国に対するEUの直接投資は2025年第3四半期も引き続き減少し、過去8四半期で「最低の水準」を記録した。
シェフチョビッチ委員は6月、ベルギーの首都ブリュッセルで記者団に対し、「中国からEUへの輸出は増え続けている一方で、同国市場で欧州が占める割合は縮小し続けている。この傾向は持続可能ではなく、現状維持は選択肢にはならない」と語った。
中国は7月、欧州企業14社に対し、軍民両用品目の輸出を禁止した。これについて中国商務省は、ウクライナ侵攻を巡ってEUがロシアに科した制裁に対する措置だと説明した。これに先立ち、中国は4月にも台湾への武器販売を理由に、欧州企業7社に対する軍民両用品目の輸出を禁止していた。
軍民両用品目とは、民生用と軍事用の双方に使用される物品やソフトウエア、技術を指す。これには無人機(ドローン)や半導体、電子機器、自動車、兵器など多くの製品の製造に不可欠なレアアースも含まれる。
中国の輸出制限の対象となったのは、ドイツ、チェコ、ポーランド、フランス、オランダの企業だ。これにより、これらの企業は供給の混乱に陥る可能性がある。ポーランド国立東方研究センターは、これは「北大西洋条約機構(NATO)加盟国の軍隊の近代化を阻害しかねない」中国による一連の措置の一環だと指摘した。実際、中国のレアアース輸出規制により、一部の欧州自動車メーカーで2025年、製造の遅延や操業停止を余儀なくされる事態が生じた。



