【重要】復旧のご報告セキュリティ対策に伴うメンテナンスおよび会員機能の一時停止について

海外

2026.10.23 18:00

GLP-1で激変する肥満治療、「減量後の健康」に挑む米イラント・ヘルス

stock.adobe.com

stock.adobe.com

肥満治療を手掛ける米ヘルスケア企業「Ilant Health(イラント・ヘルス)」によると、米ウィスコンシン州グリーンベイ在住のテイラー・クワントは、同社のサービスに加入後、136kg以上の減量に成功したという。興味深いのは、その要因について、処方薬の話が彼女の口からほとんど出てこない点だ。「イラント・ヘルスは私の人生を取り戻してくれた。同社は、私を単に体重計の数字としてではなく、一人の人間として捉えてくれた」と彼女は語る。

こうした患者に向き合う姿勢こそが、同社のビジネスモデルの核心にある。エリナ・オニツカンスキーは、肥満を慢性疾患として治療することを目指し、2022年にイラント・ヘルスを設立した。同社は個人ではなく、企業や医療保険を顧客としている。ニューヨークに拠点を置く同社は、これまでに2200万ドル(約34億8000万円)以上を調達しており、利用者の治療成果に自社の損益が連動する仕組みを導入している。米国では減量薬を利用する人が数百万人に増える中、イラント・ヘルスは、処方薬だけではカバーできない領域にこそ、大きなビジネスチャンスがあると見ている。

女性の重度肥満率は男性の約2倍

米国では、女性の10人中4人以上が肥満であり、重度肥満の割合は男性の6.7%に対し、女性は12.1%に上る。こうした女性の多くが医療機関を受診すると、一人の患者として向き合われる前に、体重ばかりに着目されてしまうのが実情だ。オニツカンスキー自身も減量に取り組んだ経験があるが、医師から食事制限や運動に取り組んだことがないと決めつけられることが度々あったという。

オニツカンスキーは、医療システムの内情にも精通している。イラント・ヘルスを創業する以前、彼女はマッキンゼー・アンド・カンパニーのアソシエイト・パートナーを務めたほか、メディケイド(低所得者向け公的医療保険)やメディケア(高齢者向け公的医療保険)の加入者を対象とするモリーナ・ヘルスケアで、上級副社長兼戦略責任者を務めた。こうした経験を踏まえ、彼女はイラント・ヘルスを設立した当初から、多くの肥満治療スタートアップが採用しているD2Cモデルを選ばなかった。「D2Cでは、本当にケアを必要としている人々にリーチできないことが多い」と、彼女は同社の立ち上げ時に語っている。

その代わりにイラント・ヘルスは、企業や、メディケイドやメディケアを含む医療保険プランを通じてサービスを提供している。同社は保険請求データに加え、医学的・行動的・社会的な要因を総合的に評価するアルゴリズムを活用し、手術、薬物療法、集中的な行動療法の中から、患者ごとに最も効果が見込める治療法を選定する。医療保険請求データベース(Healthcare Integrated Research Database)の請求データと臨床記録を照合した研究によると、BMIが30以上で肥満に該当する成人の61%は、保険請求データ上では肥満と診断された記録がなかった。

次ページ > 包括的な支援で「健康的な減量」を実現

編集=朝香実

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事