今日の職場では、数十年の経験を持つ従業員と、キャリアを歩み始めたばかりの従業員が共に働くことが少なくない。こうした年齢層の幅広さは組織を強くし得るが、複数世代が在籍する企業を率いるには、単に異なる年齢の従業員を同じチームに置くだけでは不十分である。企業のリーダーと従業員の双方に、意識的な取り組みが求められる。
上の世代は、若い従業員が初めて直面するような状況を乗り越えるための知恵、知識、経験をもたらすことが多い。一方、若い世代は、新しい視点やテクノロジーへの適応力、そして既存のやり方に疑問を投げかける姿勢をもたらすことが多い。
全米退職者協会(AARP)の調査では、労働者の90%が年齢の多様なチームに前向きな感情を抱いていると回答しており、米国の雇用主の66%が、自組織に複数世代の従業員がいることは重要だと述べている。異なる世代を結びつけることには価値がある。とりわけ、リーダーが各世代の貢献を可能にする環境をつくる場合にはなおさらである。
異なる視点と働き方を受け入れる
若い従業員は「甘い」、あるいは年長の従業員は「ついていけない」といった決めつけは逆効果である。私が若い従業員から学んだことの一つは、多くの人が以前の世代とは異なる形で仕事を捉えているという点だ。キャリアの初期、上司から何かを頼まれれば、私の本能的な反応は残業してでもすぐに仕上げることだった。だが若い従業員は、「これは私たちの優先順位の中でどの位置づけですか」と尋ねることが多いと感じている。これは緊急性の欠如に見えるかもしれないが、多くの場合、より的確な判断を反映しており、より健全なワークライフバランスを促すものでもある。
会社が成長するにつれ、私たちは「明日ではなく今夜中に何かを終わらせることが、本当に顧客にとってより良い結果をもたらすのか」と自問しなければならなくなった。そこで気づいたのは、1つの依頼を急がせることは、単に別の依頼を後回しにし、ミスが発生する可能性を高めるだけだということだった。若い世代から学んだのは、過重労働によって忠誠心を証明することよりも、コミュニケーションや計画、および明確な期待値の設定のほうが重要であるということだ。
この教訓は世代を超えて当てはまる。リーダーは、働き方が自分に似ているかどうかではなく、その人がチームにもたらす価値と生み出す成果に基づいて評価すべきである。
同じことが年長の従業員にも言える。彼らのワークスタイルは長年の経験によって形成されているため、同じタスクに対する若い従業員のアプローチとは異なって見えることがある。例えば、経験豊富な従業員は、新しいツールに頼るよりも、複雑な顧客の問題について直接話し合うことを好むかもしれない。だからといって、そのアプローチが時代遅れであるわけではない。それは依然として非常に効果的な、異なる働き方を反映しているのである。
リーダーは、新しいものが常に優れていると決めつけるのではなく、そうした違いの余地をつくるべきである。実際、ベビーブーマー世代の73%(要ダウンロード)は自分のAIツールを職場に持ち込んでおり、経験と適応力が共存し得ることを示している。
生産性、事業承継、そして摩擦への対処
リーダーは、経験への敬意を、業績上の問題を見過ごす理由にしてはならない。従業員が求められる水準で貢献しなくなっているのであれば、その問題に対処しなければならない。こうした話し合いでは、年齢ではなくチームのニーズに焦点を当てるべきである。組織が達成すべきこと、その従業員が次のキャリア段階で望んでいること、そしてすべての当事者にとって責任を効果的に移行する方法を考える必要がある。
チーム全体で仕事量と貢献度のバランスが取れていると感じられる必要がある。どのキャリアステージにある従業員であっても、責任が公平に分担されていないと感じれば不満を抱く可能性がある。リーダーはこうした力学に早い段階で注意を払い、職責と期待値を明確に維持しなければならない。
キャリアが変化するにつれ、貢献の形も変化し得る。例えば、経験豊富な従業員が日々の実務上の責任を減らし、同僚のメンタリングにより多くの時間を費やすこともある。こうした移行は、個人と企業の双方のニーズを反映し、入念に計画されている場合に価値を持つ。
コミュニケーションで違いをつなぐ
コミュニケーションは、多世代チームを管理するうえで最も重要な手段である。ただし、それ自体も進化しなければならない。
例えば、私は、全社ミーティングが必ずしも重要な変更を導入するための最善の方法とは限らないことを学んだ。ベテランの従業員が会話を主導しがちになり、若い従業員が発言をためらうことがあるからだ。重要な課題については、まず小規模なグループから始め、従業員が変化について話し合い、懸念を示し、自分の考えを整理したうえで、より大きなチームとして集まるようにしている。
リーダーには、耳を傾ける忍耐も必要である。私が学んだのは、これまでずっと行ってきた方法が、今日の最善の方法とは限らないということだ。例えば、企業が小さかった頃に機能していたプロセスが、規模が拡大するにつれて意味をなさなくなることがある。新しい従業員のほうが、そうしたプロセスに疑問を持ったり、よりシンプルな方法を提案したりしやすい。リーダーはそうした考えに開かれているべきであり、より良いアプローチは組織のどこからでも生まれ得ると認識すべきである。
世代を超えたメンタリングを築く
多世代の職場は、知識が双方向に行き交うときに価値を持つ。
メンタリングは、ハンドブック(マニュアル)では捉えにくい組織の知識、文化、そしてコンテキスト(文脈)を伝えるのに役立つ。また、貴重な経験を共有できる人々と従業員を結びつける。前述のAARP調査で、回答者の87%が「若い同僚と働くことで、従業員は自分の経験や知識を共有する機会を得られる」と考えていることが示されていることからも、メンタリングが双方に利益をもたらすことは明らかである。
だからといって、メンターが常に大幅に年上でなければならないわけではない。私たちの会社では、10歳以上の年齢差があるメンターとメンティーの関係もあれば、年齢の近い従業員同士が組むこともあり、さらには若い従業員がメンターになるケースもあった。適切な組み合わせは、世代のラベルではなく、相性と、その人が必要としている知識によって決まる。
違いを強みに変える
リーダーは、職場に複数世代がいることを受け入れるべきだが、その際には明確な期待を持つ必要がある。問題が起きる前に、貢献と事業承継に関する基準を定めること。メンタリングを文化に組み込むこと。従業員が率直にコミュニケーションできる余地をつくること。そして次の世代が自分たちの世代とまったく同じように振る舞うべきだと決めつけてはならない。
複数世代を管理するには、より多くの対話、忍耐、そして時には摩擦が必要になる。しかし、多様な視点、経験、アプローチは企業を強くし得る。
最も強い多世代組織とは、対立を避ける組織ではない。対立に向き合い、そこから学び、その違いを長期的な改善に生かそうとする組織である。



