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サイエンス

2026.10.07 15:00

ギリシャで羊41万頭殺処分、輸出産業フェタチーズを襲う「羊痘ウイルス」の猛威

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「最古の羊痘」ウイルスは、青銅器時代のユーラシア大陸

中世欧州の羊皮紙から見つかったウイルスの痕跡は、人間の文明において最古の事例というわけではない。カザフスタンとロシアにある青銅器時代の遺跡から見つかった羊の歯2個から、それぞれ紀元前1875~1645年と紀元前1336~1130年ごろのものと推定される羊痘ウイルスのゲノムが見つかっているからだ。

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これらは、それまで知られていた事例よりも3400年ほど古く、これまでに回収されたポックスウイルス科のウイルスで最古のものだ。どちらも、ユーラシアステップ(東欧から中央アジア、シベリアを経てモンゴルまで広がる広大な草原地帯)に位置する、高密度で羊を飼育する地域で見つかったものだった。 

これらのゲノムから、およそ5000年前に起きた、羊だけに感染するカプリポックスウイルスの発生時期は、ステップ地帯で羊を飼っていた人々が、羊毛を得るために積極的に羊の交配を始め、ユーラシア大陸を移動していた時期とおおよそ一致していることがわかる。

このタイミングは、より広範にみられるパターンにも合致する。牧畜によって、ウイルスに感染しやすい動物が密集して飼われるようになり、その後、新たな病原体が発生する、という順番だ。こうした流れは、ブルセラ症など、家畜がかかる他の感染症についても当てはまる。

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ただし、驚くような事実も判明している。前述したカザフスタンで見つかった羊の歯から取り出された約3700年前のゲノムでは、現行の羊痘ウイルスの系統で不活性化されている9つの遺伝子が、すでに不活性化されていたのだ。つまり、宿主である羊への適応が、羊痘ウイルスの系統が分岐してからおよそ1600年という、進化の世界では比較的短い時間のあいだに完了していたということだ。 

人がかかる天然痘のウイルス(Variola)は、遺伝子の脱落を起こす方向で進化してきたことがわかっている。一方、羊痘ウイルスは、早い時期に遺伝子の変化が止まり、その状態にほとんど変化がない。「羊痘ウイルスのゲノムは、天然痘ウイルスとは異なり、ここ数千年、非常に安定していた」と、ロトは解説している。

(forbes.com 原文)

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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