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2015.12.20 10:00

日本は不景気なんかではない:GDP1%増に上方修正

Matej Kastelic / shutterstock

ここに、経済に精通している人たちへの面白い教訓がある。

あなた(もしくは我々)が金融または財政政策の愛好者か、あるいは政府や政治家、中央銀行からの介入は不可欠だと考えているか、いずれの場合にも適用されるのだが、どのような形であれ経済を詳細に把握するだけの情報など、我々は持ちえていない、というものだ。

これは経済学者フリードリヒ・ハイエクが論じたものだが、日本のGDPからも好例を見ることができる。

先月、日本はふたたび不景気に突入したと報じられた。
政府による経済政策もまったく冴えず、アベノミクスも、マネタリズムでさえも機能しないことが証明されると…そう、お察しのとおり、それぞれが好き放題にお得意の偏見的論理をふりかざした。

ところが、それらはどれひとつとして正しくなかった。
日本が不景気でないことが判明した今、その原因として理由づけられたことはすべて、とりあえず今のところは、なんの意味もなかったということだ。

ここにそれを伝えるニュースがある。

『東京—日本はこの四半期、景気後退を回避した。火曜日に出された修正データによれば、経済状況は縮小するよりもむしろ年1%のペースで成長している。前回の試算では、世界第3位を誇る日本の経済力は7~9月の四半期に0.8%の縮小を示し、前期の0.5%減と併せて2期連続で収縮したことで景気は後退していると判断されていた。』

これはかなり大幅な修正ではないか?
GDPにしておよそ2%近くの修正とは、しかもたった一ヶ月でだ。
より細かく数字を洗い直すことができた1ヶ月だったのだろうか?

実際問題、日本が置かれた状況から言って、1%の成長はなかなかのものだ。かの国では労働人口が減少の一途を辿っている。そして人口統計というのは、GDPのようにグロスで数字を見る場合には非常に重要な意味をもつ。

生活水準を判断する上でさらに有効なのが一人当たりの国内総生産だが、それが0.8%マイナスだとしたら?もちろん、よろしくない。その数字が正しいなら経済政策を見直す必要があるだろう。
では、1%上がったら?しかも労働人口が減少している状況で?文句なしに素晴らしい。

人口統計からみて1~1.5%、生産性面から1~1.5%の成長があれば、経済は十分にまわってゆくと我々は判断する。人口統計の推移については、当然のことながら労働人口が増加していくことが望ましいが、そのようなネガティブな要素があるにもかかわらず1%成長していることからしても、トータルに見てまったく状況は悪くないといえるのだ。

このことが本当に示しているのは、我々が得る情報というのは、経済を詳細までマネージするにはまったく不十分であるということだ。
仮にそれを試みていたら、一ヶ月前には、日本には今すぐに刺激策が必要だ、と叫んでいたはずだ。ここで参考にしたのは、その前3ヶ月の情報だ(正確には、4ヶ月前から先月までの3ヶ月間)。

車を運転するとき、安全確認にはバックミラーだけ頼っていれば十分、とは思わないだろう。
そしていま、尚早な情報は正確ではないことを学んだ。正しくないどころか、公共政策の指針を知るには間違っているとさえ言える。
それはすなわち、経済を詳しく扱うために必要な一連の情報が我々にはないということだ。

しかしながら、早急に動くのは少し待ったほうがいい。
一番いいのは、基本的な部分がきちんとしているか(正しい市場構造を構築すること、つまりミクロエコノミクスだ)をまず確認し、その上で、ゆるやかにマクロエコノミーに取り組んでいくことだ。
単純に、それ以外の策を可能にするだけのデータを、我々は持っていないのだから。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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