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2026.10.19 11:00

エヌビディアとスタンフォード大の専門家が語る、現実世界で動くフィジカルAIの可能性と課題

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現在の私たちにとって、フィジカルAIは、ある意味、本で読むだけのようなもので、どんな姿をしているかは、頭の中で思い描くしかない。

だが、ロボットの体を得たフィジカルAI(現実の世界で物理的に動き回るAI)が、私たちの世界で動き出す姿を、まもなく目にすることになるはずだ。まったく新しい体験になるだろうし、人によってはかなり不穏に感じられるものにもなるだろう。しかも多くの人にとって、それはまだ思い描くことすら難しい。北京でバク宙を披露する中国のロボットメーカーUnitree(ユニツリー)のロボットなら、何体か目にすることもあるかもしれない。しかし、身の回りのあらゆる場面に入り込んでくる本物のフィジカルAIについては、私たちはまだ何も見ていないに等しい。

そのフィジカルAIの姿を、私はひと足早くのぞくことができた。AIをテーマにしたサミットを各地で開いている団体Imagination in Action(イマジネーション・イン・アクション)が、パートナーとともに米国時間9月14日から15日にかけて、カリフォルニア州マウンテンビューでイベント「The Next Endeavor」を開いた。そこで、私のお気に入りのAI専門家2人が登壇したパネル討論の司会を、途中まで務めたのである(おことわりしておくと、私はこうしたイベントの運営に携わっている)。

2人の専門家とは、ゴードン・ウェッツスタインとマルコ・パボーネである。ウェッツスタインはスタンフォード大学で電気工学を教え、次世代のカメラやディスプレイの技術を研究する同大学の計算イメージング研究室を率いている。パボーネも同大学で航空宇宙工学を教えるかたわら、エヌビディアで自動運転の研究を率いている。2人は、フィジカルAIとともに暮らすとはどういうことなのか、そしてこの新しい機械がどこまでのことができ、どんな特徴を持つのかをどう考えればよいのかについて、大きな見取り図を示してくれた。2人を紹介する私の声が弾んでいるのが、動画からも聞き取れるだろう。

ChatGPT登場時のような激変は、フィジカルAIでも起きるか

フィジカルAIについて、ウェッツスタインはこう切り出した。「それが実際に何を指すのか、考えてみましょう。人はロボットを思い浮かべます。自動運転を思い浮かべます。……ですが、フィジカルAIには、ロボットや自動運転にとどまらない、はるかに多くのものがあります」。

ウェッツスタインの説明はこうだ。

「要するに、デジタルの世界で起きた『ChatGPTモーメント』(ChatGPTの登場で、生成AIが一気に広まった転換点)を、物理的な世界に持ち込むということです。それは、身の回りのいたるところに賢い機械がある、ということかもしれません。芝刈り機が自分で庭の芝を刈ってくれる。家にいながら、離れた場所にあるロボットや、何らかの形で物理的に自動化された機械に作業をさせて、とても面白く役に立つ仕事ができるようになるかもしれません。ですから、これは段違いの変化だと思います」。

大きな機会には危険も伴う──学んでいなかったツールまで操るGPT-6 Astra

とはいえ、いいことずくめではないとウェッツスタインは釘を刺す。

「チャンスだけでなく、危険についても考える必要があります」とウェッツスタインは言う。「驚くようなチャンスがある一方で、危険もあるのです。GPT-6 Astra(OpenAIが2026年9月に公開したAIモデル)は、学習のときに与えられていなかったツールまで、とてもうまく使いこなせることが示されています。基本的には、入力を変えては出力を観察するというやり方で、こうしたツールを驚くほど巧みに使い、3次元のコンピュータービジョン(画像から物の形や位置を立体的にとらえる技術)をはじめ、さまざまなことをこなしているのです。では、そのツールを、物理的なロボットや、何であれ物理的なものに置き換えてみてください。今日すでにそうなっていないとしても、ごく近いうちに、その影響を現実の物理的な世界で目にすることになるでしょう」。

自動運転はすでに現実、ハードウェアの制約が壁

パボーネの説明はこうだ。

「フィジカルAIは、すでにここにあります」とパボーネは言う。「自動運転は、今や現実のものです。実際に道を走る車両は増えていて、これはフィジカルAIの代表的な例です。自動運転の分野で得られた教訓の多くは、より広いフィジカルAIの業界全体で生かされることになると思います」。

ただしパボーネは、「GPTモーメント」については、ウェッツスタインと見方が違った。

「物理の世界に、GPTモーメントに当たるものがあるとは思いません。ここで言うGPTモーメントとは、ある技術がほとんど一夜にして、世界中に一気に広まる瞬間のことです」。パボーネはそう話し、その壁として、ハードウェアの制約などを挙げた。

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翻訳=酒匂寛

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