アップルの株価は、1株当たり利益の37.9倍まで買われている。S&P500の21.5倍を上回る水準だ。これほど高い株価倍率で購入する以上、投資家は同社の事業内容や直面するリスクを理解しておく必要がある。そして、変化が起きているのはまさにその中身だ。経営陣が強調する問題が変わったのだ。
2025年度に経営陣が焦点を当てていたのは、関税とiPhoneをどの国で製造するかという問題だった。いまは、それとは別の問題に焦点が移っている。では、現在、同社が直面している課題とは何なのか。
半導体の不足とメモリの高騰
アップルは、自社で設計しているプロセッサ(Appleシリコン)を必要なだけ確保できずにいる。その一方で、メモリの購入には以前を大きく上回る代金を払っている。経営陣は、米国時間2026年7月30日に2026年度第3四半期決算を発表した際の決算説明会で、この2つの問題を前面に出した。プロセッサが足りないのは、アップルのプロセッサを製造する先端半導体の生産ラインを十分に確保できないことが主な原因だという。メモリについては、価格の上昇があまりに急なため、やむなく自社製品を値上げしたと述べている。
2025年の説明会は、これとは様子が違っていた。2025年度第2四半期(2025年1〜3月期)の説明会で、経営陣は「米国市場で販売されるiPhoneの大半は、インドで生産されたものになる見込みです」と述べていた。その次の第3四半期(4〜6月期)の説明会では、関税をめぐる状況がどう変わりつつあるかを説明していた。
関税がそれほど注目されたのも、もっともだった。2025年度には、iPhoneがアップルの売上高の50%を占めていた。そのため、スマートフォンにかかる関税は、収益構造に深刻な影響を与えた。投資家も、それを身をもって味わった。2025年2月から6月にかけての関税ショックに見舞われた際、アップル株は高値から安値まで30%下落した。S&P500の下落率は19%だった。



