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AI

2026.10.06 09:29

財務分野のAI効果を「削減時間」で測るのは最も安易な方法だ

Adobe Stock

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いまこの瞬間にも、あなたの会社のどこかで、誰かが取締役会向け資料に載せる数字を準備している。その数字は大きく、時間で測られており、そしてそれが証明すると主張していることについて、ほぼ間違いなく誤っている。

財務部門は何十年にもわたり、活動量は価値ではないと事業部門に教えてきた。そのための言葉もつくってきた。売上高と現金、コストと投資、といった具合である。そこにAIが登場し、私たちは削減した時間を数え、それをリターンと呼ぶようになった。

私たちは、未回収の売掛金を現金として計上することは決してない。だがAIについては、解放されたキャパシティを実現済みの価値として扱うことが日常的に行われている。

これはROIの問題ではない。会計上の問題である。獲得される前に便益を認識しているのだ。

キャパシティは「売上」ではなく「在庫」である

解放された従業員の時間を、在庫と同じように考えてみてほしい。それには真の経済的ポテンシャルがあるが、倉庫に眠っている間は売上にはならない。誰かがそれを変換しなければならないのだ。

キャパシティもまったく同じように動く。それはコスト低下、処理量の増加、実行の迅速化、あるいは意思決定の前倒しになり得る。そうした転換はいずれも経営上の行為であり、テクノロジーの成果ではない。チームがキャパシティの20%を取り戻した場合、仕事はなくなるのか、それとも単に速くなるだけなのか。次の10人の採用を回避できるのか。こうした意思決定は、次の実証実験を始めるより難しい。そして経済性はそこに宿る。

ビジネスケースには決して現れない計算を考えてみよう。あるツールによって、50人のアナリストが1日30分ずつ時間を節約できたとする。紙の上では、年間で数千時間になる。しかし実際には、50人のスケジュールのあちこちに30分が分散しているだけであり、それぞれの断片は再配置することも削減することもできないほど小さすぎる。組織は、使えない額面のキャパシティを生み出したのである。

「オールグリーン」のダッシュボードが抱える問題

私がより懸念するのは、問題を示すダッシュボードではなく、すべてがグリーンを示すダッシュボードだ。プロジェクトは展開済み、ユーザーはアクティブ、削減時間も出ている。すべてのタイルは健全に見えるかもしれないが、その下にあるオペレーティングモデルは以前とまったく同じである。同じレポート。同じ承認。同じ月末の混乱。

自動化は、すでに一度この教訓を私たちに教えている。悪いプロセスを自動化すれば、より速い悪いプロセスになるだけだ。いまはそのリスクがさらに大きい。なぜなら、これらのツールは単に手順を実行するだけではないからだ。解釈し、提案し、そしてますます自律的に行動するようになっている。それを過去のオペレーティングモデルに組み込んでしまえば、過去の仕組みを高速化したバージョンを作ったにすぎないことになる。

ガートナーが2026年3月に204人の財務リーダーを対象に実施した調査では、財務部門のAI投資の45%が生産性に傾いている一方、意思決定の質に向けられているのは20%にとどまることが示された。同社は、財務部門が報告する内容と、取締役会が見ているものとのギャップが広がっていると警告している。

予測から学べること

ある財務変革プログラムで、私のチームは予測と分析に自動化を導入した。アナリストの時間削減を軸にビジネスケースを組み立てることは容易だったが、本当に重要だった成果はそこではなかった。予測精度が大きく向上し、財務部門はビジネスの変化をより早く把握できるようになったのだ。

AIを活用したある予測機能が、その点を明確に示した。この機能は売上高と予測の変動を監視し、異常な変化を特定し、通常のレビューサイクルの前に、原因となり得る要素や補足的な状況を財務部門のために整理した。それまでデータ収集と照合作業に数日かかっていたものが、数時間で理解できるようになったのだ。

その価値は、アナリストの時間が節約されたことではなく、意思決定者がどう行動すべきかを判断するための猶予が数日間増えたことにあった。それを時間で数えれば、平凡に見える。しかし意思決定の時間として数えれば、私たちが行った投資の中でも優れたものの1つだった。同じ機能でも、どの欄に計上するかによって、評価は2つに分かれる。

この経験から私が確信したのは、問題はプログラムそのものではなく、私たちがつけていた台帳にあるということだ。価値は、それが獲得されて初めて認識されるものなのだ。

AI価値台帳

そこで私は、より優れた台帳を構築した。これを「AI価値台帳(AI Value Ledger)」と呼んでおり、「4つのR」として捉えている以下の4つの段階を追跡するものだ。

1. Released(解放): 削減された時間、排除された手順、自動化された取引。多くのプログラムはここで止まる。これは創出されたキャパシティとして計上する。それ以上ではない。

2. Reclaimed(回収): 組織はそのキャパシティを使える形で取り戻したのか。サイクルタイムは短縮したのか。例外率は低下したのか。追加採用や外部支出を回避できたのか。

3. Redeployed(再配置): そのキャパシティはどこへ向かったのか。あるチームが時間の10%を取り戻したにもかかわらず、その代わりに今何をしているのかを誰も答えられないのであれば、そのビジネスケースは不完全である。リーダーシップの仕事は、キャパシティを解放することではなく、その向かう先を示すことだ。

4. Realized(実現): 企業全体に何が変わったのか。予測精度か。運転資本か。それとも、コストを比例して増やすことなく成長を吸収できたことか。

ほとんどのプログラムはReleasedを報告し、Realizedをほのめかす。その間にある2つのRを飛ばしている。まさに経営が何かをしなければならない2つである。最初のRと4つ目のRの距離こそ、取締役会からの信頼を勝ち取るか失うかの分かれ目である。

質問の裏にある真の問い

導入はもはや物語の中心ではない。デロイトは2026年、調査対象となったCFOの93%が、自組織で複数の主要機能や業務にわたってAIを利用していると回答し、51%が業務生産性タスクにAIを利用していると報告した。

ほぼ全員が使っているのであれば、使っていると言うだけでは何の証明にもならない。取締役会の次の問いは、より難しい。「何が変わったのか」である。

次の10年を勝ち抜くには、仕事を取り除くことに注力するだけでは不十分だ。仕事を取り除くことには下限(底)があり、どの競合も同じタスクを自動化している。際限がないのは、企業が自らの事業をどれだけ早く理解し、どれだけ迅速に行動するかである。

だから、時間のことはいったん忘れてほしい。この1年で、あなたの会社は以前より早く何を知るようになったのか。財務部門が有用なものを持ってその場にいたことで、どの意思決定が早まったのか。数字に表れる前に、どのリスクを解消したのか。

その答えがすぐに出てくるなら、台帳は機能しており、時間は最初から本質ではなかったということだ。答えが出てこないなら、そのキャパシティはまだ倉庫に置かれたままである。

削減時間を測り続ければよい。ただし、それは最初の欄に計上し、その先へ進むべきだ。なぜなら、削減時間が記録するのは私たちが仕事から取り除いたものであるのに対し、台帳が記録するのは、私たちがビジネスに還元したものだからである。

10年後にも意味を持ち続けるのは、そのうち1つの数字だけである。

(forbes.com 原文)

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