ロシア中部イルクーツク州シェレホフのペスト対策研究所に勤務する研究員が死亡したことを受け、米国のドナルド・トランプ大統領は5日、懸念を表明した。ロシアでは、公衆衛生当局が200人近くを病院で隔離する事態となっている。
ロシア消費者権利保護・人間福利監督庁(ロスポトレブナドゾル)によると、2日に死亡した研究員は「原因不明の肺炎」にかかっていた。地元紙リュジ・バイカルは、同研究員はペスト対策研究所で検査技師として働いていた28歳の女性だったと伝えた。
記者から「ペスト流行の可能性」について懸念しているかと問われたトランプ大統領は「懸念している」と答え、「病原菌は以前より強力になっており、かつて肺炎に有効だった治療法も効きにくくなっている」と指摘した。同大統領は、この問題についてロシアのウラジーミル・プーチン大統領とはまだ話し合っていないことを明かした上で、同国を「支援する」意向を示したが、具体的にどのような措置を講じるかについては詳述しなかった。
イルクーツク州のイゴリ・コブゼフ知事は先週、地域の防疫担当者やロスポトレブナドゾルの長官と緊急会議を開き、メッセージアプリ「テレグラム」上で、地域の住民に「特に危険な感染症の疑い」が生じたことに対する対応を協議したと説明した。その上で、公衆衛生当局が「包括的な防疫措置」を講じたと強調した。他方で、同知事は「危険な感染症」の原因については触れなかった。一方、隣接するブリャート共和国のアレクセイ・ツィデノフ知事は、この女性が「ペストで死亡した可能性がある」としつつも、同共和国内では感染は報告されていないと説明した。
ロスポトレブナドゾルは4日夜、イルクーツクとシェレホフの「衛生・疫学的状況は安定している」と述べた。同庁は広範な検査を実施した結果、死亡した患者の検体からは、研究所で行っていた業務に関連する病原体は検出されなかったと明らかにした。ただし、声明では、同研究員の死亡が他の疾患によるものなのか、またどのようにして肺炎に感染したのかについては言及されなかった。この研究員がペストに感染していたのか、あるいは研究所内で何らかの事故が起きたのかについても明らかになっていない。リュジ・バイカルは、この女性が研究所内でペスト菌の入った試験管を誤って割ったと報じたが、ロシア当局による確認はなされていない。



