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2026.10.06 09:02

AIとAIエージェントの導入、企業が注力する領域とは

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AIやAIエージェントがROI(投資対効果)の試練に直面するなか、企業全体での一斉導入を避け、特定の事業領域に焦点を絞る企業が増えている。

GFTテクノロジーズ(GFT Technologies)の最新レポート「The Future of AI, Unfiltered」によると、回答者の90%が「AIへの世界的な投資スピードが、実際に生み出せるビジネス価値を上回っているのではないか」との懸念を抱いている。

特定の事業領域に焦点を絞ることで、企業はAIやAIエージェントのプロジェクトにおけるリスク、最適なデプロイ(配備)場所、従業員への影響をより正確に把握できるようになる。また、ガバナンスの構築や責任の明確化が進み、ROIやその他の恩恵をより効果的に測定することが可能になる。

本レポートでは、AIおよびAIエージェントを導入すべき4つの具体的な事業領域について考察している。それらは「レガシーシステム(旧式のITシステム)」「決済および給与計算」「人事コーチング」「不動産およびCPG(日用品・消費財)小売オペレーション」だ。

レガシーシステムの近代化にAIやAIエージェントをどう活用するか

銀行からバイオテクノロジー、さらには食料、水、エネルギーといった重要インフラサービスに至るまで、幅広い業界に存在するレガシーシステムが、AIや自律型エージェントの導入を制限している。GFTの調査では、回答者のほぼ全員(95%)が「レガシーシステムが原因で、組織におけるAIの導入や拡張が遅れている」と回答した。また、その半数以上(56%)が、その遅れを「中程度」または「重大」なレベルであると表現している。

さらに重要な点として、回答者の84%が「レガシーシステムの制限により、少なくとも1つのAI試験導入(パイロット)やプロジェクトを中止した」と報告している。また、93%が「自社のレガシーな技術スタック上でAIを実行すれば、最終的に企業規模のセキュリティ危機を引き起こす」と考えている。

「私たちがレガシーシステムについて語るとき、それは単に古い技術のことを指しているのではありません」と、GFTテクノロジーズのグローバルCEOであるマルコ・サントス氏は語る。「現代のビジネスが求めるスピードで進化させ、統合し、安全を確保し、あるいは規模を拡大することが難しくなってしまった技術のことです」

「レガシーが単一のシステムであることはめったにありません」とサントス氏は言う。「大企業においては、通常、基幹アプリケーション、統合レイヤー、データ環境、インフラストラクチャにまたがって相互に接続された資産群を指します」

AIがより自律的になり、効果的に動作するための厳しい条件が求められるなか、AIの活用で最も成果を上げている組織は、基幹システムの上に単にAIレイヤーをもう1つ追加するのではない。重要なシステムの周囲によりモジュール化され、構成変更が容易な(コンポーサブルな)アーキテクチャを構築しているという。

「目標はすべてを近代化することではありません」とサントス氏は語る。「目標は、安全で影響力があり、持続可能な方法でビジネスがAIを拡大することを妨げている要因を近代化することです」

サントス氏によれば、効果的な近代化の道筋は、現在制限を受けているビジネス上の重要なユースケースを特定することから始まり、その背景にあるすべてのシステム、依存関係、データをマッピングすることへと続く。そのマップを手にすることで、企業はすべてを一度に置き換えようとするのではなく、選択的に近代化を進めることができる。

レガシー技術におけるサイバーセキュリティへの対策は、必要に応じてアーキテクチャを近代化し、統合を簡素化し、データ管理を改善し、AIが配備されるプロセスに直接セキュリティとガバナンスを組み込むことだ、とサントス氏は説明する。

「AIが自律的になればなるほど、それを囲むアーキテクチャとガバナンスの重要性が増していきます」

AIとAIエージェントによる決済・給与計算の近代化

先進的な企業がAIやAIエージェントの導入を進めているもう1つの事業領域が、決済と給与計算だ。PayrollOrgによると、労働者の約半数(46%)が給与計算プロセスへのAI導入に不安を感じている一方で、多くの企業はAIが給与計算における重要な課題の解決に役立つと考えている。

2026年に実施されたADPのグローバル調査によると、世界20カ国の給与計算部門の責任者1816人のうち、35%が「プロセスの自動化不足が給与計算の誤りの主な原因である」と答え、29%が「AIの導入が給与計算業務を変革する鍵である」と回答した。

「決済分野は断片化されており、その断片化こそが、現在も多くの作業が手作業で行われている理由です」と、グローバルな人材管理のための金融インフラを提供するOntop(オントップ)の共同創業者兼COOであるマリア・カミラ・ラミレス氏は言う。

「自動化すべき単一のシステムなど存在しないのです」とラミレス氏は語る。

グローバル決済においては、すべての国、すべての決済ルート(レール)、すべてのプロバイダーが独自のログイン、独自のフォーマット、独自のルールを持つ独立したプラットフォームであり、それらのいずれも特定の一企業のために標準化を進めてはくれない、とラミレス氏は説明する。

システム間の橋渡し業務は常に人間が担ってきたが、現在ではまさにこの種の間接業務こそが、AIエージェントの得意分野となっている。「AIエージェントは、あらかじめシステム統合を構築することなく、人間が使うのと同じ画面を使用して、接続されていない複数のシステムにまたがって動作します」とラミレス氏は語る。

エージェントを活用したソリューションを導入する際、ラミレス氏によれば、企業はまず、誰かが毎日行っている繰り返しの手作業を探すことから始めるべきだという。そして、エンジニアリングチームではなく、その手作業を実際に担当している本人が、タスクを自動化するためのエージェントを構築すべきだと主張する。

「決済プロセスを自動化するということは、その『例外処理』をコード化することを意味します。しかし、例外処理はどこにも文書化されておらず、それを処理している担当者の頭の中にしかないのです」

給与計算などの業務にエージェントを安全に導入するために、ラミレス氏は「不可逆性」の境界線を引くべきだと主張する。すなわち、エージェントにはデータの読み取り、抽出、提案のみを許可し、資金を動かす承認行為や、算出された数値と元のデータとの照合確認は人間が行うというルールだ。「エージェントは決してシステム・オブ・レコード(公式な記録システム)ではなく、それを素早く読み取るための手段にすぎないのです」

エージェントを決済や給与計算に活用する際のその他の考慮事項として、サイバーセキュリティが挙げられる。ログイン認証情報は資格情報保管庫(ボルト)に保管して参照するようにし、エージェントへの指示書に直接記述してはならない。また、業務が許す限り権限は「読み取り専用」に設定し、二要素認証(2FA)は人間が管理し続けるべきだ、とラミレス氏は説明する。

AIとAIエージェントがエンゲージメント、ウェルビーイング、生産性を高める方法

従業員は単に業務をこなすためだけにAIを使用しているわけではない。自身の「ワークコーチング(自己育成)」のためにもAIを利用している。チームのパフォーマンス向上とAIコーチングプラットフォームを提供するクローバーリーフ(Cloverleaf)の最新調査によると、労働者が上司に対する不満を漏らした際、主要な公開AIモデルのすべてが「仕事を辞めるべきだ」とアドバイスすることが明らかになった。

仕事上の人間関係のトラブルを相談するためにAIを頼る従業員が増えるなか、AIが彼らにどのようなアドバイスを提供しているのかを組織側は真剣に理解する必要がある、とクローバーリーフ・ラボ(Cloverleaf Labs)のリサーチ責任者であるキルステン・ムーアフィールド氏は話す。

クローバーリーフの調査では、AIモデルが提示した638個の具体的なアドバイスのうち、対立を修復し、職場での人間関係の構築に真摯に取り組むよう促したアドバイスはわずか3回しかなかった。これらの評価シナリオにおいて、モデルが提示したアドバイスのほとんどは、その場を「切り抜ける(勝ち抜く)」「生き残る」、あるいは状況を「その場しのぎでコントロールする」ことに終始していた。

ウェルビーイングは従業員のエンゲージメントに直結し、それはさらに生産性へとつながる。ギャラップ社の最新レポート「State of the Global Workplace 2026」によると、エンゲージメントの低下は世界全体で10兆ドル(約1580兆円)規模の経済損失をもたらしているという。

AIはコーチングに効率的に活用でき、人事チームの能力を拡張できると信じるムーアフィールド氏は、企業が導入するすべてのAIのマスタープロンプト(指示文)に「ガードレール(安全策)」を組み込むべきだと主張する。

「労働者は日々の業務において、パーソナライズされ、個々に最適化されたサポートを必要としています」とムーアフィールド氏は言う。「AIとテクノロジーはそれを実現できるのです」

「人事部門は、従業員に対して受講を義務付けるフレームワークや概念、研修クラスを提供するのではなく、日々の実務の流れのなかで個別に対応できるサポートを提供するための新たなアプローチを考案する必要があります」

CPG小売オペレーションと不動産におけるAI・AIエージェントの導入

プロモーション・オプティマイゼーション・インスティテュート(Promotion Optimization Institute)の2026年の調査によると、回答した小売専門家の61%が「自社はプロモーションを計画通りに実行することに困難を感じている」と認めており、約半数(47%)が「本社のサポートチームには、価格設定、取引配分、市場参入戦略を支援するための必要な能力が欠けている」と回答した。

「エージェントは、本社のトレードマーケティング戦略と、実際の店舗における物理的な実行プロセスとの間のギャップを埋めることができます」と、ペプシコ、シェル、コカ・コーラなどのブランドと提携するCPG(消費財)ブランド向けのエージェント型小売実行プラットフォーム「Effie AI(エフィーAI)」のCEO、ルスラン・オクリモヴィチ氏は語る。

CPGの総売上高においては、いまだにオンライン小売よりも実店舗が圧倒的なシェアを占めていると指摘したうえで、オクリモヴィチ氏は、現在のAI開発のほとんどがバックオフィス業務に集中しており、実店舗などの現場で働く従業員(フィールドワーカー)を対象とした分野には、手つかずの巨大な機会が残されていると話す。

エージェント技術を導入した小売業は、単にデータを収集するだけの「システム・オブ・レコード(記録のためのシステム)」から、いつ何をすべきかを労働者に指示する「システム・オブ・アクション(行動のためのシステム)」へと移行する、とオクリモヴィチ氏は述べる。

Effie AIの小売エージェントを使用すれば、店舗の担当者が商品棚を動画で撮影するだけで、オンデバイス(端末上)のAIがインターネット接続なしで商品、価格、プロモーションを分析できる。エージェントは棚の状況をCPGブランドの複雑な「プレイブック(店舗運営マニュアル)」と比較し、具体的な行動計画を生成する。

「このシステムは即座に検証結果を提供し、棚での作業が正しく完了したかを確認する『AIスーパーバイザー』として機能します」とオクリモヴィチ氏は言う。Effie AIを導入しているネスレなどの企業では、棚割計画(プラノグラム)の早期導入により、フィールドワーカーの作業時間が56%最適化されるなど、大きな効率改善と財務的利益を実現しているという。

「このテクノロジーは、プラノグラムやプロモーションの遵守率(コンプライアンス)といった主要業績評価指標(KPI)の向上にも寄与し、その精度はしばしば95%から99%に達します」とオクリモヴィチ氏は付け加えた。

オクリモヴィチ氏によれば、Effie AIの導入にかかる期間は通常、最大4週間だという。労働者に与える影響について、彼は「この技術は人間を完全に置き換えるのではなく、人間の役割をシフトさせるものだ」と語る。

「単純労働などの役割はギグ・エコノミーやクラウドソーシングのワーカーへと移行する可能性があり、その一方で高度なスキルを持つ従業員は、関係構築や交渉などの業務に集中するようになります」とオクリモヴィチ氏は説明する。

業界固有の課題をAIで解決しているもう1つの事例が、オレゴン州ベンドに本社を置き、CEOのボビー・スチュワード氏が率いるRevyse(リバイス)だ。同社は、コンプライアンス業務を効率化するAI搭載のベンダーインテリジェンスプラットフォームを開発した。

契約書、ベンダーの適格性確認書、支出データを1つのシステムに一元化することで、同社は事業者が契約更新の漏れ、保険の期限切れ、有効な契約がない状態でのベンダーへの支払いといった、コストのかかる問題を発見できるよう支援している。この手法は、数百に及ぶ仕入先や店舗を抱え、契約書の散逸やコンプライアンス追跡、不透明な支出といった同様の課題に直面している小売業にも、容易に応用することが可能だ。

AIとAIエージェントの注力領域:総括

「ここが、AIに関する議論が根本的に変化した部分だと思います」と、GFTのサントス氏は語る。「ビジネスリーダーは、何件の試験導入(パイロット)を立ち上げたか、あるいは何人の従業員がモデルにアクセスできるかといった指標に基づいてAI投資を評価するのをやめるべきです」

「代わりに、ビジネスにどのような変化が生じたかを測定する必要があります」とサントス氏は言う。

結局のところ、試練はきわめてシンプルだ。もしAIの取り組みを、測定可能なビジネス成果に結びつけることができないのであれば、その規模を拡大すべきかどうか疑問を持つべきだ、とサントス氏は語る。

AIやAIエージェントを導入する際に特定の事業オペレーションに焦点を絞ることで、企業はより高度な管理体制のもとで、より的確に近代化を進めることができる。

(forbes.com 原文)

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