1000億ドルの議論を一変させたマイクロンの決算
前回の記事で筆者は、マイクロンの新たな顧客契約は売上高の予測可能性を高めるものの、その供給に必要な工場からの投資リターンが十分なものになる保証はない、と論じた。
経営陣は現在、この額を約1000億ドル(約15兆8000億円)から1500億ドル(約23兆6000億円)へと引き上げた。顧客からの現金前受金・資金調達コミットメントが、220億ドル(約3兆4700億円)から320億ドル(約5兆500億円)へと増加した。これは筆者の予想を上回る。マイクロンに数十億ドルを預けることをいとわない顧客は、供給不足が持続すると確信している。この前受金はマイクロンの資金調達ニーズを軽減し、買い手側にとっては契約を履行するための財務的な動機となる。
ただし、1500億ドルという数字には補足が必要だ。第1四半期ガイダンスの中央値に基づくと、マイクロンの売上高は年率換算で約2460億ドル(約38兆8000億円)に達する。受注残高全体は、このペースにおける7カ月強の売上高に相当するにすぎない(ただし、これは複数年にわたって売上計上される)。
これらの契約は、2030年までに予想される売上高の35%以上をカバーしている。これにより、マイクロンは過去のサイクルに比べてはるかに強力な保護を得ている。同時にそれは、2030年までに予想される売上高の大半が、これらの契約の対象外であることを意味している。
さらに重要なことに、売上高のコミットメントは、特定の資本利益率を約束するものではない。マイクロンは依然として、施設の建設や拡張、設備の導入、適切な製品の開発、そして約束通りの納期での納品を行う必要がある。
HBMは、いつでも他の顧客に転売できるような汎用品ではない。マイクロンは、特定のプロセッサやコンピューティングプラットフォームと並行してメモリを開発することが増えている。これは、製品が成功した場合には関係の価値を高めるが、仕様が変更されたり、顧客の技術開発が遅れたりした場合には、追加のコストを発生させることになる。
顧客がメモリの購入を約束し続けたとしても、それを製造する側の収益構造が変化する可能性はある。株主はそのリスクを背負うことになる。
今後のマイクロン決算が証明すべきこと
マイクロンは当四半期中に439億7000万ドル(約6兆9300億円)の営業キャッシュフローを創出し、設備投資に107億7000万ドル(約1兆7000億円)を費やした。調整後フリーキャッシュフローは332億ドル(約5兆2300億円)に達した。同社には事業を拡大する十分な財務的余力がある。


