欧州

2026.10.05 16:30

ロシアのペスト研究所で研究員が死亡、200人を監視する事態に

ペスト菌(BSIP/UIG Via Getty Images)

ペスト菌(BSIP/UIG Via Getty Images)

シベリアでペストなどの病原体を研究するロシアの研究所の研究者が、肺炎を発症した後に死亡した。これを受け、当局は接触者約200人を経過観察下に置いたと報じられている。一方でロシア当局は、死亡した研究者の病気が研究所内の事故によるものだとする報道に反論している。

ロシア連邦消費者権利保護・福祉監督庁(Rospotrebnadzor)によると、この研究者はシェレホフにあるロシア保健省傘下のシベリアのイルクーツク・ペスト対策研究所に勤務しており、「原因不明の肺炎」に感染していた。

独立系地域メディアのLiudi Baikalaは、この研究者は同研究所で検査技師として働く28歳の女性だったと報じた。また、彼女の死亡を受け、当局は病院で約200人を経過観察下に置いたという。

イルクーツク州のイーゴリ・コブゼフ知事は先週末、地域の防疫当局者とRospotrebnadzorのトップとの緊急会合を開いた。コブゼフ知事はTelegramで、これは同地域の住民に影響を及ぼした「特に危険な感染症の疑い例」への対応だったと説明した。同知事は、公衆衛生当局が「包括的な防疫措置」を実施したとも述べている。

コブゼフ知事は、この「危険な感染症」の原因については言及しなかった。一方、隣接するブリヤート共和国の首長アレクセイ・ツィデノフは、この女性が「ペストで死亡した可能性がある」と述べつつ、自身の地域では感染拡大の報告はないと付け加えた。

ロシアの経済紙Kommersantも、当局がイルクーツク・アルミニウム製錬所でマスク着用義務を導入したと報じた。

ロシア保健当局の発表内容と公式見解

Rospotrebnadzorは現地時間10月4日に発表した声明で、イルクーツクとシェレホフの「衛生・疫学状況」は「安定している」とした。同庁は広範な検査を実施し、死亡した患者の検体から、彼女の研究所での業務に関連する病原体は検出されなかったと説明している。ただし声明では、彼女の肺炎と死亡が他の疾患によるものだったのか、また彼女がどのように感染した可能性があるのかについては明らかにしていない。

国営メディアが報じた同声明は、過去10日間にペスト研究所の職員の間で新たな感染症例は報告されておらず、研究所でも「病原性微生物に関わる緊急事態」は確認されなかったと付け加えた。死亡した患者の接触者を検査したところ、COVID-19が2例、ライノウイルス感染が2例確認されたが、いずれかが患者の死亡と関連していたかは不明である。

肺ペストとは

世界保健機関(WHO)によると、ペストは人獣共通感染症の細菌であるペスト菌(Yersinia pestis)によって引き起こされる疾患で、通常はげっ歯類などの小型哺乳類や、そのノミに存在する。腺ペストはペストの最も一般的な形態で、感染したノミに刺されることで動物から人へ感染する。「横痃(おうげん)」と呼ばれるリンパ節の痛みを伴う炎症を引き起こすことがある。よりまれな肺ペストははるかに病原性が強く、呼吸器飛沫を通じて他の人に感染する可能性があり、早期に発見・治療されなければ致死率が非常に高くなり得る。

未解明の事実と今後の焦点

死亡した研究者の身元と、「原因不明の肺炎」の感染源はいずれも明らかになっていない。彼女が何らかの形のペストに感染していたのか、研究所内で事故が起きたのかも不明である。Liudi Baikalaは、この女性が研究所でペスト病原体を含む試験管を誤って割ったと報じたが、ロシア当局はこれを確認していない。

(forbes.com 原文)

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