変革がもたらす高揚感と危険性の両方を学ぶ上で、ロン・ジョンソン(Ron Johnson)ほど有利な立場に身を置いてきたエグゼクティブはほとんどいない。
米小売大手のターゲット(Target)を、単なるディスカウントストアからデザイン重視のナショナルブランドへ進化させることに貢献した後、ジョンソンは2000年、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)にスカウトされた。アップル(Apple)がそれまで未経験だった実店舗による直営小売事業を立ち上げるためであった。その後11年間にわたり、アップルの小売担当シニアバイスプレジデントとして、彼はアップルストア(Apple Store)を単位面積あたり世界一の売上を誇る小売店舗チェーンへと育て上げた。その後、彼はJ.C.ペニー(J.C. Penney)のCEOに就任したが、そこでの野心的な再建の試みは、まったく異なる形のリーダーシップの学びをもたらすことになった。
ジョンソンはこれらの経験を、著書『Shop Different: How Retail Revealed Apple's Genius』(ショップ・ディファレント:小売への進出が明かしたアップルの天才性/未邦訳)で掘り下げている。しかし、そこから得られるより興味深い教訓は、小売という枠組みをはるかに超えるものだ。彼のキャリアは、リーダーがいかにして意義(significance)を生み出し、人々が実力を発揮する余地を与え、パーパス(企業理念、存在意義)を中心としたカルチャーを構築し、変革が可能となるタイミングを見極めるか、そして自分の確信が周囲の理解を置き去りにしてしまった失敗からいかに学ぶかを示す好例となっている。
ジョンソンによる「意義」の定義は、有益な出発点となる。「誰しも、何か意味のある価値を生み出すために生まれてきたはずです」と彼は語る。「それは、自分が置かれたその場所で、世界にポジティブな影響を与えることを意味する」。彼の考えでは、意義は企業の画期的な業績だけに限定されるものではない。「私たちが手にする意義の多くは、周囲の人々との日々の関係から生まれる」と彼は言う。「私にとって意義とは、目の前にある機会を活かして、他者のために意味のある何かを成し遂げることだ」
このように他者を重視する姿勢は、最初からジョンソンのマネジメントスタイルの中心にあったわけではない。キャリアの初期、彼は上司から耳の痛いフィードバックを受けた。それは「チームのメンバーはお前のことを好いているが、お前の下で働くのは嫌がっている」というものだった。当時のジョンソンは、常に進捗状況を確認し、手助けのつもりで提案を行っていたが、それによって実質的にメンバーから主体性(ownership)を奪ってしまっていた。



