マーケット

2026.10.06 10:00

フィリピンのフィンテック・ユニコーンMynt、IPOで最大1535億円を調達へ 同国史上最大の可能性

Timon - stock.adobe.com

Timon - stock.adobe.com

フィリピンの電子ウォレットで圧倒的な首位に立つ「GCash(Gキャッシュ)」を運営するMynt(ミント)が、新規株式公開(IPO)で最大609億ペソ(約1535億円)を調達する。需要が多いときに予定を超えて株式を追加で売り出す「オーバーアロットメント」(over-allotment)の分まですべて売れれば、フィリピン史上最大のIPOとなる。

公開価格を上限より3分の1下げ、なおフィリピン最大のIPO

Myntが現地時間10月2日に発表したところによると、売り出すのは、新たに発行する株式(新株)と既存株主が手放す株式(既存株)をあわせて最大92億株で、価格は1株6.60ペソ(約17円)である。この株数には、オーバーアロットメントの分も含まれる。この価格は、IPOの上限として示していた1株10ペソ(約25円)より3分の1ほど低い。

上限より低いこの価格でも、今回のIPOはフィリピン史上最大になりうる、とMyntは説明している。基本の売り出し分は新株と既存株をあわせて80億3000万株で、これに加えて、オーバーアロットメントとして既存株12億株が売り出される可能性がある。比較の対象となるのは、即席麺大手のモンデ・ニッシンが2021年のIPOで調達した559億ペソ(約1409億円)である。

なぜ価格を下げたのか──PSEiは2026年に7%下落

マニラの会計・コンサルティング会社レイエス・タカンドン(Reyes Tacandong & Co.)でシニアアドバイザーを務めるジョナサン・ラベラスは、「この低い価格こそ、相場も景気も厳しいなかで投資家が払ってもいいと考える水準なのです」と話す。「環境が厳しくなければ、10ペソでも問題なかったでしょう。経済はデジタル化に向かっているのですから」。

フィリピン総合株価指数(PSEi)は、年初から7%下落している。背景には、景気の減速と高いインフレ、そして通貨ペソが対ドルで過去最安値に近い水準で取引されていることによる、投資家心理の冷え込みがある。

Myntの最高財務責任者(CFO)エブリン・ンは声明で、「今回の募集の過程で集まった需要の厚みと質の高さは、Myntの成長ストーリーに投資家が信頼を寄せていることの表れである」と述べた。「最終的な価格と株式の配分は、Myntが次の段階へ進み、すべての株主のために長期的な価値を生み出していくうえで、強固な土台となる」。

次ページ > 新株による調達は総額の17%、残りは既存株主に渡る

翻訳=酒匂寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事