AIブームは、我々に特別な機会をもたらした。世界で最も裕福なテクノロジー企業各社が、電力を緊急に必要としている。そして、それを建設するために必要なものの多くは、地域社会が握っている。この機会を利用して、二酸化炭素回収(カーボンリムーバル)インフラの整備を開始すべきだ。データセンター開発者は、その拡充の一環として直接空気回収(DAC)システムの建設と運営を行うべきである。
このブームの規模感を把握するのは容易ではない。バークレー・ラボ(ローレンス・バークレー国立研究所)の推計によると、米国データセンターの消費電力は2024年に同国の総電力の4.7%を占め、2030年までに12%近くに達するという。アマゾン、アルファベット、マイクロソフト、メタの4社は今年、設備投資に7200億ドル(約114兆円)以上を費やす予定だ。テキサス州では、テキサス電気信頼性評議会(ERCOT)に送電網への接続を求めている大口負荷の順番待ちが470ギガワットを超えており、その約90%がデータセンターによるもので、これは同州の送電網が今年7月に記録した過去最高のピーク需要の5倍以上に達する。アリゾナ州では、最大手の電力会社のピーク需要が13ギガワット近くであるのに対し、10ギガワットを超えるデータセンター容量が計画中だ。
グーグル、マイクロソフト、アマゾンをはじめとするハイパースケーラーと呼ばれる企業は、再生可能エネルギー、蓄電、次世代クリーンエネルギーに資金を提供している。彼らの需要は、これらの技術をその「吸収容量」(技術者が投資を実際に稼働するシステムへと変換できるペース)の限界近くまで押し上げている。その限界を超えると、どれほど資金を投入したとしても、試作品のテストサイクルを短縮することはできない。
コンピューティング能力をめぐる競争は、ほぼ副産物としてクリーンエネルギー問題の解決を後押ししている。ただし、大気の修復は自動的には進まない。すでに大気中にある炭素を、今日生きている人々にとって意味のある時間軸で除去するには、それ自体を目的とした計画的なインフラ整備が必要となる。
一般市民には交渉力がある
その一方で、データセンターは近隣住民にとって厄介な存在になり得る。騒音が大きく、大量の水を使用し、送電網に過度な負荷をかける恐れがあるからだ。開発者は、自らがもたらすインフラ費用を負担し、水源を保護し、騒音や汚染を抑制しなければならない。これらは解決可能な問題であり、解決することを事業展開の条件とすべきだ。私たち一般市民には、それを強く要求できる実際のレバレッジ(交渉力)がある。アマゾンは共同送電網に触れることなく、タレン・エナジーのサスケハナ原子力発電所から直接データセンター群(キャンパス)に給電しようと試みたが、連邦規制当局は2024年11月にこの取り決めを却下し、結局は送電網に接続する契約へと戻された。7月には、テキサス州公共事業委員会(PUCT)が、独自の発電機を併設するデータセンターであっても、緊急時には30分以内に全負荷を遮断しなければならないという裁定を下した。送電網を必要とする企業は、一般市民の理解を必要としているのだ。
一般市民はさらに大きなことも求めるべきだ。それは、2世紀にわたる化石燃料の燃焼によって蓄積された過剰な二酸化炭素を除去する、二酸化炭素回収インフラの整備へのコミットメントである。大気の修復はすべての人に利益をもたらすが、通常の顧客がその利益を十分に取り込んで事業全体の費用を負担することはできない。このインフラ整備は、他では容易に集めることのできない規模の資金、技術力、そして市民の交渉力を結集させるものである。
機械を建設する:二酸化炭素回収インフラ整備の資金調達
まずはエネルギーから始めよう。信頼性の高い再生可能電力を得るには、発電、蓄電、バックアップのポートフォリオが必要となる。風力や太陽光を過剰に建設することで、そのポートフォリオはより安価になり、晴天時や強風時には余剰電力が生まれる。この時、発電事業者は電力を販売するのではなく、出力を抑制する。ERCOTは2024年に8テラワット時を超える風力および太陽光発電を抑制した。データセンターはまた、冷却システムが排出するエネルギーである排熱も生み出す。
直接空気回収(DAC)は、装置を使って通常の大気から二酸化炭素(CO₂)を回収し、永久に貯留する技術だ。現在は1トンあたり400ドル(約6万円)から1000ドル(約15万円)のコストがかかり、その費用の大部分をエネルギーが占めている。新しい電気化学システムは、出力が変動する電力に適応でき、クリーンな電力が豊富な時により多く稼働させることができる。また、別の設計では低温の排熱を利用することも可能だ。互換性のあるシステムをデータセンター群に組み合わせることで、これまで廃棄されていた2つのエネルギーの流れが、大気修復のためのインプットに変わる。
ハイパースケーラーは、研究成果を反復可能なシステムへと変換する方法を理解している。彼らは試作品に資金を提供し、初期の失敗を許容し、サプライヤーの規模拡大を支援することができる。データセンター群に併設してDACを建設・稼働させることで、彼らはその能力を発揮することができる。目的は、累積生産量が増えるにつれてコストが低下する性質を指すライトの法則を活用することだ。機器の注文が繰り返されることで、製造業者は設計や生産方法を改善する機会を得ることができ、稼働経験は技術者に修正すべき点を示す。こうした恩恵を得るには、単発の調達ではなく、長年にわたる建設、テスト、改善を伴う、持続的な二酸化炭素回収インフラの整備が必要となる。
ソーラーパネルの生産は、製造された技術がどれほど迅速に拡大できるかを示している。過去20年間の太陽光発電の成長と同じペースで、今後20年間にわたりDACを建設すれば、産業革命前の二酸化炭素濃度である280 ppm(100万分の280)が、2130年までに再び手が届く範囲に戻る。
国家規模の産業は、地域的な合意から始まる
政策立案者は、データセンター開発者に対し、新規プロジェクトの一環としてDACを建設・運営することを義務付けるべきだ。開発合意書には、設置するDACの容量、建設期限、年間回収目標、および回収・貯留システムの排出量を差し引いた永久貯留炭素の第三者機関による検証を明記する必要がある。開発者がその費用を負担すべきであり、炭素クレジットの購入によって建設義務を果たすことは認められない。この義務は、データセンター群自体の排出量をオフセットすることにとどまらない。こうした要件を全米で繰り返すことで、個々のプロジェクトを、米国の二酸化炭素回収産業に対する持続的な需要へと変えることができる。
テキサス州とアリゾナ州は、ただちに関与できる2つの場所である。両州の公共事業審議ではコストと信頼性が議論されており、DACの建設義務付けは、立法者や開発合意にとってさらなる一歩となる。
テキサス州では、まずテキサス州公共事業委員会のプロジェクト58317(SB 6の実施に関する審議)から始めよう。ここにはすでに、データセンターによる影響に関する一般意見が寄せられている。PUCインターチェンジ・ファイラーを通じて提出し、そのプロジェクト番号を明記してほしい。委員会は2026年12月31日までにSB 6に基づく新たな送電コスト規則を採択しなければならず、ERCOTは12月10日に知事のデータセンター監査結果を提出するため、この秋に提出された意見は規則が作成されている間に受理されることになる。議員たちは11月9日から1月会期に向けた法案提出を開始する。地元の州下院議員や州上院議員にも同じことを伝えてほしい。
アリゾナ州では、州の公益事業規制を担うコーポレーション・コミッションが、大口負荷およびデータセンター開発に関する議事日程 E-00000A-25-0069において、継続的な一般意見を明示的に募集している。同委員会の一般パブリックコメント提出フォームを使用し、その議事番号を含めてほしい。また、同委員会は、12月31日までに、APSの料金案件(議事日程 E-01345A-25-0105)について採決を行う必要がある。この案件は、一般家庭と比較してデータセンターが支払う料金を決定するもので、同様の方法で意見を受け付けている。
データセンターの建設が計画される場所であればどこでも、住民は開発者がその見返りとして地域社会のために何を建設するのかを問うべきだ。電力消費者、水源、そして近隣住民を守るべきだ。大気から二酸化炭素を除去する機械への投資を義務付けるべきである。この取り組みが全米で繰り返されることで、建設ブームが終わった後も、長期にわたって大気を浄化し続ける国家規模の二酸化炭素回収インフラの整備を推し進めることができる。



