米国の消費者はガソリン代の負担が増えているかもしれないが、米海軍の原子力空母「ハリー・S・トルーマン(CVN-75)」の燃料補給にも納税者の重い負担が生じる。米海軍はこのほど、ニミッツ級空母の8番艦である同艦の「燃料交換・大規模オーバーホール(RCOH)」を実施するため、米ハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)のニューポート・ニューズ造船所(バージニア州)との間で、およそ51億ドル(約8050億円)の「固定上限インセンティブ」契約を結んだと発表した。
RCOHは、空母の約50年の運用期間の半ばに数年かけて行われる大規模な整備だ。向こう25年ほど運用を継続できるように、搭載する原子炉2基の核燃料が交換されるほか、艦全体の近代化・性能向上も施される。RCOHの「C」は「Complex 複雑な)」の頭字だが、複雑というのはけっして誇張ではなく、作業では空母を部分的に解体し、組み立て直す必要がある。
RCOHでは、運用期間全体を通じて施される整備や近代化作業のうち35%ほどが実施される。それには、推進装置や電子機器、戦闘支援システム、居住設備の更新、多数の部品やタンクの整備などが含まれる。工期は少なくとも3~4年と見込まれるが、ほかの米空母が受けた直近2件のRCOHではもっと延びている。
CVN-75は9月30日にニューポート・ニューズ造船所に到着した。数年かけて進められてきた事前計画を経て、いよいよRCOHの本格的な工程に入る。
同造船所のブライアン・カッカバーリ副社長(プログラム管理担当)は発表文で「ハリー・S・トルーマンのRCOHを確実に成功させるため、リードタイム(納品までにかかる時間)の長い資材を前もって発注し、何千件にものぼる検査や事前作業を実施するなど、先を見越した取り組みを進めてきました」と説明している。「同艦を艦隊に復帰できる用意のできた状態にするこの大規模な設計・改修プロジェクトは、造船所、サプライヤー、海軍のパートナーが一丸となって取り組む仕事です。わたしたちはその一翼を担えることを光栄に思います」
米海軍省の新組織下で最初のともRCOHに
ハリー・S・トルーマンは、RCOHを受けるニミッツ級空母としては8番目になる。また、米海軍省の新組織「PAE Maritime(海上担当ポートフォリオ取得執行本部、以下「海上PAE」)」の設置後、初めてこの工程に入る空母でもある。海上PAEは防衛装備調達の現代化に関する指令の一環で今年3月に設置され、空母を含む水上艦艇や海上戦闘能力の実現について、調達開始から運用終了まで一貫して責任を負う一元的な組織だ。



