ナイキの株価は決算発表後に9%近く下落したが、その理由は容易に理解できる。この四半期は単に「悪くなかった」というレベルではなく、為替やタイミング、あるいは慎重な業績予想といった言葉で片付けられるものではない。ナイキは投資家に対し、売上高が予想よりも大幅に減少する見通しを示し、その対策としてさらなる人員削減、事業地域の縮小、そして2031年まで続く再建計画を発表した。
2027年度の売上高は、1桁台後半の減少となる見通しだ。ウォール街の事前予想は約2%の減少だった。調整後1株当たり利益(EPS)は1.15ドルから1.35ドルの間になる見込みで、発表前の予想である約1.67ドルを下回る。また、経営陣は2031年度までに累計25億ドル(約3950億円)のコスト削減を目指すプログラム「Pace」を導入した。この削減を実現するためには、主に人件費関連の費用として約10億ドル(約1580億円)のコストが発生する見通しである。
決算発表前、筆者は「ナイキの決算はブランド救済のコストを浮き彫りにする可能性がある」と書いた。そのコストは、利益率やマーケティング、小売業者に提示せざるを得ない条件に現れると考えていた。おそらく今後もそうなるだろう。しかし、今回の決算で明らかになったのは、それ以上に深刻な事態だった。ナイキは、ブランドが再び成長していることを示す前に、自社を縮小し始めているのである。
ナイキ株が抱えるコスト以上の深刻な問題
ナイキの第1四半期売上高は112億ドル(約1兆7700億円)で、公表ベースで前年同期比4%減、為替変動の影響を除いたベースで5%減となった。「ナイキ」ブランドの売上高は4%減、卸売は1%減、直販(Nike Direct)は為替影響を除いたベースで9%減だった。
顧客に最も近い事業部門の落ち込みはさらに激しかった。デジタル売上高は13%減、直営店は5%減、「コンバース」ブランドの売上高は28%減となった。中華圏(グレーターチャイナ)は為替影響を除いたベースで26%減少した。北米地域はいくらかの成長を示し、1株当たり利益は0.48ドルと市場予想を上回った。粗利益率は60ベーシスポイント上昇して42.8%となったが、その要因を見ると楽観視はできない。ナイキは、倉庫保管コストと物流コストの削減が主な要因であると説明している。
倉庫コストの節約自体に問題はない。しかし、だからといって、3カ月前よりも同社のシューズを欲しがる人が増えたということにはならない。
これが、しばらくの間ナイキが抱えてきた課題である。投資家は再建が始まったことを示す財務上の兆候を探し続けているが、消費者の動向における証拠はまばらなままだ。ランニング部門は改善しており、一部のパフォーマンス製品は好調だ。しかし、少数の成功した製品だけで支えるには、会社全体が大きすぎる。



