株価が12年ぶりの安値をつけた際、筆者は「ナイキ株が12年ぶり安値に下落、ブラックベリーの二の舞を避ける条件」と指摘した。その証明はまだなされていない。ナイキの知名度は依然として高いが、それが現在の顧客が最も求めている製品であることを意味するわけではない。
「25億ドル」が意味する本当のところ
25億ドルというコスト削減目標は、大きな数字であるため多くの注目を集めるだろう。しかし、より重要なのは、ナイキがこの目標を達成しようとしている期間である。ナイキの昨年度の売上高は約464億ドル(約7兆3200億円)だった。もし売上高が8%減少すれば、同社は1年間で37億ドル(約5840億円)の売上高を失うことになる。一方、Paceプログラムは数年間で累計25億ドルの純削減をもたらす計画であり、その大半は2029年度と2030年度に予定されている。
売上高の1ドルとコスト削減の1ドルが同等の価値を持つと言っているわけではない。当然、それらは異なる。この比較が示すのは、再建策の効果が現れるよりもはるかに早く、業績の悪化が到来しているという事実だ。
ナイキはまた、これらの削減を実現するために約10億ドル(約1580億円)の費用を計上することになる。経営陣はその後、残った資金の一部を再投資する可能性がある。そのため、投資家は総額(グロス)の数字を目にしているものの、それが最終的にどれだけ利益やキャッシュフローに寄与するのかはまだわかっていない。
取り組みの一部は理にかなっているように見える。ナイキは地理的な事業部門を4つから3つに縮小し、サプライチェーンを近代化し、より多くの企業機能をインドの新キャンパスに移転する予定だ。ナイキほどの規模の企業であれば、何年も前に排除されるべきだった階層や重複コストが存在している可能性が高い。
筆者が懸念するのは、ナイキが何を削減するかという点だ。ナイキに必要なのは、より優れた製品、より迅速な意思決定、そして個々の市場における消費者のニーズに対するはるかに深い理解である。本社の管理部門の削減は役立つかもしれない。しかし、経営陣が公約した大規模な削減目標を達成するためだけに、誤った人材を削減してしまえば、再建はさらに困難になる可能性がある。
ナイキは当四半期中、需要創出(マーケティング)支出を5%増加させる一方で、本社の一般管理費を6%削減した。これは妥当なスタートラインと言える。投資家は、残りの削減がどこから生み出されるのかについて、さらに詳細な情報を必要としている。


