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2015.12.20 17:00

原油生産高止まりで、原油価格は低迷。誰が得して、誰が損する?

Avatar_023 / Shutterstock

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金曜日に開催されたOPEC総会で、原油の減産はしないという方針が決定されたことをどう判断すべきだろうか?

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原油価格は今日も下がっており、2015年の安値に近い水準にあるというのに、世界の原油供給量は増えかねない情勢だ。

長年の慣行を破って、今回の総会では生産枠に関する言及がなかった。イランに対する西側諸国の制裁が解除されれば、同国産原油が再度市場に供給され、イランの国際社会への復帰も近々果たされる見込みであることがその理由の一つであろう。

バークレイズでは、「過去の共同声明には少なくとも、順守すべき、厳密に順守すべき、または生産目標に沿った生産を維持するといった声明が含まれていたが、今回はそれがなかった」と言っている。OPECは引き続き日量3,000万バレル以上の原油を生産している。制裁解除後のイランでは、日量約100万バレルの生産上積みが見込まれる。

サウジアラビアは世界の原油生産国で抜きん出た力を持っており、OPEC全体によるものと見える決定の黒幕でもある。サウジアラビアは、現在の原油価格が財政収支均衡ラインを大きく下回っていることに大いに頭を悩ませており、小規模生産者、特に、米国のシェールオイル企業などの新興勢力を事業停止に追い込むために、この痛みに耐える覚悟がある。

金曜日の総会前には、ベネズエラ、アルジェリア、ロシアなどの原油生産コストが比較的高く財政事情も厳しい国々が、サウジアラビアに対して、原油価格を押し上げるための減産を要請するのではないかとの憶測があった。もし本当にそれらの国々からそうした要請があったとしたなら、それは不首尾に終わったということになる。イランが国際社会に復帰することで、参加国が一致団結することがこれまで以上に難しくなっている。

アバディーン・アセット・マネジメントで投資ストラテジストを務めるロバート・ミンターは本日、「イエメンで、イランが支援するハウジスの武装集団とサウジアラビアが率いる軍隊とが対峙しているという事実は原油価格にプラスには作用しない。イランの原油増産による増収分は、イエメン、イラク、シリアにあるイランの軍事勢力に振り向けられるからだ」と語った。

総会は張り詰めた雰囲気だったようだ。

それは投資家にとって何を意味するのだろうか?明らかなのは、原油価格は当面安値で推移するだろうということだ。WTI原油は現在、1バレル40ドルを割り込んでいる。

それからどうなる?
サン・グローバル・インベストメンツの最高投資責任者サンジブ・シャーは、「これは原油生産者にとっては悪いニュースだが、消費者と世界のインフレ情勢にとってはいいニュースだ」と言う。

特に、アジアの多くの国が原油安の恩恵を被る見込みだ。インド、中国、日本、韓国は全て原油の輸入国だ。「こうした国々では、原油安のおかげで国際収支、インフレ率、経済成長率に改善傾向が見られるだろう」と彼は続ける。前述の通り、原油安効果が通貨安で打ち消されてしまう傾向はあったものの、トルコもそうした恩恵を受ける国の一つである。

その一方で、マレーシア、インドネシア、ロシア、ブラジルなどの原油輸出大国が抱える問題は、さらなる悪化傾向を辿ることになるだろう。

編集 = Forbes JAPAN編集部

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