AI搭載ビジネスプラットフォームをめぐる競争が始まっている。8月11日、WixはAIエージェントを連携させて業務タスクを処理するプラットフォーム「Symphony」を発表した。Hostingerは9月、AIビジネスアシスタントの機能を拡充し、GoDaddyもAIウェブサイトビルダーに新たな自動化機能とソフトウェア連携を導入した。
一連の発表は、これらの企業が次の商機をどこに見ているかを示している。オンライン上の存在感をつくるだけでは、もはや十分ではない。各社は、事業が立ち上がった「その後」に起きることにも関与しようとしている。
起業家にとって、その野心はなじみ深い問題に向き合うものだ。ウェブサイトの構築は、わずか数分で完全に機能するカスタマイズされたサイトを作成できるAIツールの登場により、劇的に容易になった。しかし、成功する事業を運営することは依然として難しい。事業者は顧客を集め、問い合わせに答え、広告を管理し、注文を処理し、帳簿を整えなければならない。確立した企業であれば、その作業を従業員に分担させることができる。
だが、立ち上げ間もない事業のオーナーは、通常は本業の傍らなど、すべてを1人でこなしている。AIエージェントは、こうした起業家に対し、チームを雇う費用をかけずに専門的な能力へアクセスできるようにすることを約束している。
問題は、AIがコンテンツ作成や単発タスクの完了を超え、事業運営に伴う複雑で相互に結びついた仕事を担えるかどうかだ。広告文を書くのは数秒で済む。しかし、どこに出稿するか、いくら使うか、キャンペーンが損失を出し始めたときにどう見極めるかには、異なるレベルの判断が必要になる。
テクノロジー企業は、こうした意思決定のより多くを自社のエージェントに委ね始めている。その影響はウェブサイトや技術インフラの事業をはるかに超え、小規模企業がテックツールを購入し、仕事を組織し、はるかに大きな企業と競争する方法に変革をもたらす可能性がある。
ウェブサイト構築は問題の半分にすぎなかった
先週行った1対1のインタビューで、Hostingerのギエドリウス・ザカイティスCEOは、ウェブサイトを公開することが技術的な難題だった時代を振り返った。
ザカイティスは15年近く前、リトアニアを拠点とする同社にカスタマーサポート担当として入社した。当時の顧客は、現代のウェブサイトビルダーに慣れた起業家には縁遠く聞こえるような問題に頻繁に悩まされていた。ファイルをアップロードし、データベースを設定し、ドメイン名を接続する必要があった。ミスをすれば、ウェブサイトにアクセスできなくなることもあった。
Hostingerは徐々に、その作業の多くを自動化していった。マネージドWordPressホスティング(サーバーの管理・保守を代行するサービス)はインストールを簡素化し、ウェブサイトビルダーはWordPressそのものに対応する必要をなくした。さらに近年は、生成AIによって、会話形式の指示でウェブサイトやアプリケーションを作成できるようになった。
だが、技術的な問題を解決したことで、商業上の問題が浮き彫りになった。
ザカイティスは、ウェブサイトを無事に立ち上げ、家族に共有した後、他には誰も訪れていないことに気づいた顧客たちのことを覚えている。
「『母親に送ったよ。で、次はどうすればいい?』と聞かれるのです」と、彼はインタビューで語った。
ウェブサイトは機能していたが、事業そのものはどこにも進んでいなかった。
ページを公開しただけで訪問者が自然に現れるわけではなかった。起業家はなお、市場を理解し、見込み客を特定し、マーケティング戦略を立て、人々に何かを買ってもらう必要があった。
ザカイティスは、AIが今やその第2の問題群に対処する助けになり得ると考えている。
ザカイティスによれば、長年にわたり顧客は、自分が何を作りたいかを理解したうえでHostingerにやって来ていた。主な関心は、同社がそれを実現するための技術とインフラを手頃な価格で提供できるかどうかだった。だが、AIによってウェブサイトやアプリケーションの構築が容易になるにつれ、顧客はより野心的な問いを投げかけるようになっている。
「『このツールは私のビジネスの運営を手伝ってくれるのか?』という問いです」と彼は言う。
この違いは、初めてオンライン事業を始める人々を主要顧客とし、彼らがしばしば単独、または1〜2人のパートナーと運営している同社にとって、極めて重要な意味を持つ。
Hostingerは9月2日、技術支援と、計画、調査、分析、業務自動化に特化したAI機能を組み合わせた拡張版Agentプラットフォームを発表した。同社によれば、同社のエージェントは顧客がすでに利用しているサービスの情報を参照できるため、やり取りのたびに事業内容を一から説明する必要を減らせるという。
ザカイティスは、さらに野心的な到達点を思い描いている。起業家の事業を十分に理解し、依頼される前に問題を特定して行動を提案するAIアシスタントだ。単に質問に答えるツールと、ビジネスオーナーが「今、何を問いかけるべきか」を察知してくれるツールとの間には、大きな違いがある。
ウェブインフラはAIビジネスパートナーになろうとしている
Hostingerが参入する市場では、競合各社もほぼ同じ結論に達している。
ウェブサイト開発プラットフォームで最もよく知られるWixは、個人と小規模企業向けの独立したサービスとして、8月にSymphonyを発表した。同社によれば、このシステムは企業について学習し、専門的なAIエージェントを編成し、それらの作業を調整できるという。
中心となるエージェント「Maestro」は、起業家と他のエージェントをつなぐ窓口として機能する。日次ブリーフィングでは、完了した作業を要約し、機会を特定し、オーナーの注意が必要な意思決定を提示する。
WixはSymphonyを、従来のウェブサイトプラットフォームから独立して機能し得るサービスとして位置づけている。起業家がデジタル上の拠点をどこで維持しているかにかかわらず、有用であり続けることが狙いだ。
GoDaddyは、自社のAIウェブサイトビルダーから同じ機会にアプローチしている。同社の9月21日の製品アップデートでは、Mailchimp、Notion、Googleなどのサービスとの連携に加え、オンラインストア管理や定期的なウェブサイト作業のスケジュール設定のためのツールが導入された。顧客は各サービスを個別に操作するのではなく、ビルダーの会話型インターフェースを通じて外部アプリケーションに接続できる。
Shopifyは、より焦点を絞ったアプローチを取っている。EC大手である同社は6月、広告やコミュニケーションチャネルを通じてキャンペーンを計画・実行するためにAIを活用するマーケティングサービス「Campaign Autopilot」を発表した。マーチャント(加盟店)は予算を設定し、制限を設け、施策が公開される前に承認する。Shopifyは対象となるマーチャント向けに、このサービスを早期アクセスで開始した。
こうした製品発表の一部は、LLM(大規模言語モデル)を構成や設定の管理を助けるツールとして活用するプラットフォームへの漸進的な追加機能である一方、これらの企業はより広範なビジネスアシスタントを追求している。各社に共通するのは、ウェブサイト構築やオンラインストア開設という最初の取引を超えた領域で発生する仕事を、より多く取り込もうとする関心である。
その金銭的な見返りは大きい可能性がある。ウェブサイトビルダーが顧客と接点を持つのは、初期設定や時折のリニューアル時に限られるかもしれない。だが、マーケティング、顧客対応、日常業務を管理するビジネスエージェントは、オーナーの日々の仕事の一部になり得る。
小規模企業はAIを使っているが、運営を任せている例は少ない
起業家がこうしたシステムを試し、AIを事業の日々の運営にさらに取り入れていくと考える理由はある。
米商工会議所財団が2026年6月に発表した調査によると、小規模企業の従業員の半数が職場でAIを使用していると回答した。しかし、その使い方を見ると、業界の野心と日常的な実践との間に隔たりがあることがわかる。
AIを使用している労働者のうち、64%は文章作成、要約、ブレインストーミングなどの個人の生産性向上活動を主な用途として挙げた。別の26%は、反復的なタスクの支援にこの技術を使っていた。人間の関与を最小限に抑えてワークフローを自動化するためにAIを使っていると答えたのは、わずか6%だった。
支援と自律の間にある隔たりを埋める課題は重要である。起業家は、AIに販促メールの下書きを依頼することには前向きかもしれない。だが、同じシステムに顧客データベースへのアクセス権を与え、そのメッセージを配信する許可を与え、将来のキャンペーンを変更する権限を与えるには、はるかに大きな信頼が必要になる。
商業上のハードルもある。課題は、エージェントが行う作業を、起業家が重視する財務上の成果につなげることだ。
事業オーナーに必要なのは、実際の最終利益を改善することなく、レポートを作成したり、コンテンツや画像を生成したりするだけの新たなサブスクリプションではない。有望な広告機会を特定する調査は、その結果生まれたキャンペーンが許容できるコストで顧客を獲得して初めて有用になる。成果物を生成することは、前向きな結果を生み出すために活動や業務を調整することと同じではない。そこには、小規模事業者が持っていないかもしれない領域専門知識と経験が必要になる。
AIは、より多くの起業家が事業を継続する助けになるのか
ザカイティスは、事業の立ち上げを容易にしても、その事業の成功が保証されるわけではないと認めている。
人々がプロジェクトを断念する理由は、テクノロジーとはほとんど関係がないことも多い。自社製品の需要が限られていることに気づく人もいる。関心を失う人、個人的な困難に直面する人、その事業に十分な時間を割けない人もいる。AIはそうした問題をなくすことはできない。
しかし、専門的な支援に費用をかけられない人々にとって、特定の作業をより安価で、より心理的負担の少ないものにすることはできるかもしれない。
独立系小売業者は、かつてならコンサルタントを雇う必要があった市場調査にアクセスできるようになるかもしれない。フリーランスのデザイナーは、定型的な顧客対応を自動化できるだろう。新たなオンライン販売者は、まずデジタルマーケティングの専門家にならなくても、広告キャンペーンを試せる可能性がある。
Hostingerは、AIを使って事業を拡大している2人の顧客を例に挙げている。占星術プラットフォームAeon Astralの創業者ニナド・ブルデは、AIを使ってECサイトを構築し、既存のYouTube視聴者が占星術レポートを直接購入できるようにした。これにより、新たな収益チャネルが生まれ、追加のプロモーションはほとんど行っていないにもかかわらず、すでに成果を上げている。
サイバーセキュリティ教育企業Bitten Techの創業者アンシュ・バワナニは、さらに一歩進めている。Hostingerによれば、AI搭載ワークフローを使ってオンラインコミュニティとの関係を深め、AIサイバーセキュリティメンターを開発し、すでに新規登録やコンバージョンを生み出しているという。
これらの例は、AI導入の2つの異なる段階を示している。すなわち、この技術を使って事業機会を生み出す段階と、従来はオーナーの直接的な関与が必要だった活動にAIを活用する段階である。いずれも、AIが事業全体を独立して運営できることを証明するものではないが、起業家が得られるものを垣間見せている。
こうした用途は、完全に自律した事業というビジョンよりは控えめだが、より即時的な価値を持つ可能性がある。起業家は、時間を節約し、費用を削減し、競争上の優位性をもたらし、有料顧客を引きつけ、事業の存続を助けるかどうかによって、こうしたシステムを評価するだろう。
AIがあなたの事業を理解したら何が起きるのか
ザカイティスは、その答えの1つは、AIエージェントに支援対象の事業に関する継続的な知識を持たせることにあると考えている。
新しいオンラインストアで専門食品を販売している人物を考えてみよう。従来型のチャットボットであれば、商品、対象顧客、利用可能な予算を説明する詳細なプロンプトを受け取った後に、マーケティング上の提案を行うかもしれない。
店舗に接続されたエージェントなら、異なる方法で問題に取り組める。
ザカイティスは、Hostingerのシステムが顧客のウェブサイト公開を検知し、一晩で競合企業を調査し、翌朝には訪問者を呼び込むための提案を携えて戻ってくるという将来的なシナリオを描いた。
起業家は、ローカル検索広告が比較的安価に見えることや、競合が特定のソーシャルメディアチャネルを見落としていることを知るかもしれない。
その調査では、オーナーが高度なAI調査ツールの操作方法を理解している必要はない。新たに公開されたウェブサイトには顧客が必要だと、システムが認識するところから始められる。
ザカイティスは、顧客の許可を得たうえで、AIが顧客の事業に関する情報を保持する将来の体験について説明した。狙いは、毎朝ユーザーに白紙の会話インターフェースを提示することを避けることだ。エージェントは過去の意思決定を記憶し、最近の活動を確認し、個々の事業の状況を反映した作業を提案できる。
Wixも、Symphonyの日次ブリーフィングと連携するエージェントによって、関連する構想を追求している。
どちらのアプローチも、起業家がビジネスソフトウェアとやり取りする方法の変化を示唆している。注文を確認し、広告パフォーマンスを見直し、顧客向けメッセージを下書きするために別々のアプリケーションを開く代わりに、オーナーはそれらのサービスを調整する単一のAIインターフェースを使えるようになるかもしれない。
この構図は、ソフトウェア企業に新たな商業上の問いを突きつける。
AIエージェントが事業オーナーとの主要な接点になるなら、基盤となるアプリケーションを提供している企業はどうなるのか。エージェントが望ましい結果を妥当な価格で提供する限り、起業家は、特定のタスクをどのマーケティングプラットフォーム、分析サービス、ウェブサイトビルダーが実行しているかをあまり気にしなくなるかもしれない。
Hostinger、Wix、Shopify、GoDaddyにとって、競争はすでに、どのウェブサイトビルダーが最も魅力的なページを作れるか、どのツールが基盤サービスを手頃な価格で実行できるかという範囲を超えている。それは、起業家が朝一番に頼るソフトウェアとなるAIはどれか、という戦いへとシフトしている。



