ヘルスケア

2026.10.04 17:30

喫煙経験のない人が肺がんになるのはなぜか? 遺伝性T790M変異との関連を確認

Photo by Win McNamee/Getty Images

Photo by Win McNamee/Getty Images

肺がんと診断された人がほぼ必ず最初に尋ねられるのは、たばこを吸っていたかどうかだ。だが、「吸っていない」と答える人は増えている。世界で発生する肺がんの最大25%は、喫煙経験がない人に発生している。喫煙率の低下に伴い、肺がん患者に占める非喫煙者の割合は上昇し続けている。

Science誌に掲載された、T790Mと肺がんリスクを調べた研究で、非喫煙者に肺がんが生じる理由の1つが明らかになった。研究では、親から子へ受け継がれる希少な「遺伝性T790M変異」を持つ人で肺がんとの強い関連が確認され、特に非喫煙者で顕著だった。

遺伝性T790M変異はEGFR遺伝子に存在し、別の変異が加わると発症につながる可能性

T790Mは、EGFRと呼ばれる遺伝子に生じる変異の1つだ。EGFR遺伝子は、肺の細胞表面にあり、細胞の成長や分裂を調節する受容体を作るための情報を持っている。

EGFR遺伝子には、生まれつき受け継ぐ変異と、生涯の途中で後天的に生じる変異がある。喫煙経験がない人の肺がんでは、腫瘍細胞に後天的に生じたEGFR変異が、発症を促す代表的な遺伝子変化の1つとなっている。こうした後天的なEGFR変異は特に東アジアで多くみられ、変異を標的とする複数の分子標的薬が開発されている。

今回の研究対象は、親から子へ受け継がれる遺伝性T790M変異だ。遺伝性T790M変異を持つ人では、出生時から全身の細胞にこの変異が存在する。

同じT790M変異でも、親から受け継ぐのではなく、腫瘍内で後天的に生じる場合もある。後天的T790M変異は、EGFRを標的とする初期の治療薬が効かなくなる原因となる変異としても現れる。

肺がん患者が複数いる1家系を調べた2005年の研究では、遺伝性T790M変異が世代を超えて受け継がれていた。調べた腫瘍6個のうち4個では、生まれつき持っていたT790M変異と同じ側のEGFR遺伝子に、T790Mとは別の変異が後から生じていた。

この結果から、遺伝性T790M変異だけで肺がんが生じるわけではないとみられる。生まれつきT790M変異を持つEGFR遺伝子に、別のEGFR変異が後天的に加わることで、腫瘍の形成につながる可能性がある。

次ページ > 337万人の解析で遺伝性T790M変異と肺がんの強い関連を確認

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事