「Je pense, donc je suis.(我思う、ゆえに我あり)」。ルネ・デカルトは1637年にフランス語でこう記した。のちにラテン語で「Cogito, ergo sum」として知られるようになる言葉だ。それから4世紀を経た今、「cogito(思考)」を他者に委ねたとき、「sum(存在)」に何が残るのかを問う価値がある。
資産配分に携わる者なら誰もが、その理論を知っている。バリュエーション、クレジットスプレッド、利益率、あるいはセンチメントが長期平均から大きく乖離すると、いずれ引き戻される傾向がある。システマティック投資家にとって、それは市場の振る舞いを考える数ある方法の1つである。
私がいま問うているのは、価格系列よりもはるかに重大なもの、すなわち私たちの思考のあり方において、別の種類の平均回帰が進みつつあるのではないかということだ。
私がこの問題を個人的に受け止めるのは、金融業界への道筋そのものが、まさに今AIが代行しようとしている仕事の上に築かれているからだ。私はフランスの全国統一競争試験を受け、欧州のESCPビジネススクールに入学した。教材を要約してくれる人はおらず、計算機の使用も制限されていた。クオンツ分野に入ってからも、市場を研究し、論文を読み、アルゴリズムを構築し、バックテストで検証し、実運用の実績に判定を委ねることで研鑽を続けた。私の道のりは、反復と摩擦と時間によって獲得されたものだった。
数年間、仕事と私生活でAIを使ってきて、ある緊張関係が浮かび上がっていると感じる。すなわち、個人のパフォーマンスは向上しうる一方で、集団としての多様性は縮小しうるということだ。私たちはより速く、同じものを生み出せるようになっているのかもしれない。差別化こそが優位性の源泉である投資家にとって、これは注目に値する。
アイデアの均質化
ティルブルフ大学による2026年のメタ分析は、人間とAIの共創に関する19件の研究をレビューし、小規模ながら統計的に有意な均質化効果を発見した。AIは個人のアイデア創出をより効果的にする一方、集団全体でのアウトプットの多様性を低下させる可能性がある。全員の仕事がより良く、より速くなるかもしれないが、少しずつ似通ってもいく。
市場ストラテジストとしての独自の視点を確立するには何年もかかるが、私のそれは決して市場だけで形成されたものではない。私は常に、投資を「ルネサンス的な学問(幅広い教養に基づく分野)」として捉えてきた。私のアイデアは、統計的な厳密さやバックテストと同等に、アート、文化、歴史、地政学から得ている。美術館の理事会、1枚の絵画についての会話、あるいは新たな視点で読み直した歴史の一章が、投資の仮説をひらめかせる。その後、クオンツの作業が数学的な厳密さをもって、その仮説を裏付けるか、あるいは却下する。そうした極めて個人的な経験は標準化することが難しく、だからこそ重要なのだ。
私の最も強力なアイデアのいくつかは、6台のブルームバーグの画面から離れ、ネットに接続しない環境で、自然の近くで沈思黙考しているときに形になってきた。端末やオプティマイザー(最適化ツール)は、仮定の検証やストレステストには役立つが、通常、アイデアの発想源にはならない。差別化されたリターンを生み出すための最も希少な投入資源が「圧縮されていない思考時間」かもしれないときに、業界が競って思考時間を圧縮しようとしているのは皮肉なことだ。
ポートフォリオへの影響
この問いは、クオンツ金融においてさらに重大になる。2026年の2本のワーキングペーパーで、ニューヨーク大学の研究者Shuchen MengとXupeng Chenは、AIの導入が投資行動にどのような影響を及ぼし得るかを検証している。
彼らの論文では、機関投資家の「フォーム13F(保有銘柄報告書)」から9950万件のポジションレベルの保有データを分析し、AI導入後の2016年以降の期間において、ポートフォリオの収斂(類似性)が高まっていることを明らかにした。また、彼らの関連論文では、その潜在的なメカニズムについて説明している。すなわち、各社が同じ有限の機械読取可能なデータ群を用いて、同様のアーキテクチャやリスクフレームワークでモデルを訓練すると、シグナルが収斂する可能性があるということだ。これらの論文は査読前の初期段階のものであり、同一の著者らによるものであるが、実務家が「混雑した取引(crowded trades)」を通じてすでに認識しているリスクを、体系化したものである。
AIの導入は急速に進んでいる。マーサー(Mercer)の報告によると、現在、アセットマネージャーの55%が投資プロセスの少なくとも一部にAIを組み込んでいる。一方で、測定可能なメリットとしてリターンの向上を挙げているのはわずか8%にすぎない。全員が同じ決算発表会を同様のモデルで要約し、同じ結論に達するなら、コンセンサス(合意形成)に至るスピードは効率化の恩恵と言えるが、コンセンサス自体は「エッジ(優位性)」の対極にある。
クオンツ金融は、1世紀以上にわたり、新たな統計的知性の形態をいち早く取り入れてきた。1900年、フランスの数学者ルイ・バシュリエは、ソルボンヌ大学の博士論文で価格のランダムな動きを数学的にモデル化した。フランスで訓練を受けたクオンツとして、私はその系譜にいくらかの誇りを抱いている。
見覚えのある展開
2007年の「クオンツ・ショック」は、有益な警告を与えてくれる。同年8月、いくつかの成功を収めていたクオンツ系マーケットニュートラル・ファンドが、同時に急激な損失を被った。アミール・カンダニとアンドリュー・ローは、同様に構築されたポートフォリオの協調的なデレバレッジ(レバレッジ解消)がこの市場の混乱を引き起こしたという証拠を発見した。各社の実際の運用手法は独自のものであったが、その根底にあるシグナルの多くは、投資家が考えていたほど異なっていなかったのだ。
当時と現在の違いは「所有権(オーナーシップ)」にある。私の世代のクオンツは、仮説を一つひとつ立て、バックテストを繰り返しながら、自分たちのエンジンを構築した。しかし現在、業界の多くは、共通のコーパス(言語データ群)で訓練された少数の基盤モデルから「インテリジェンスをレンタル」している。だからといって、ツールの強力さが失われるわけではない。むしろ、ツールの周囲にある「独自のレイヤー」がより重要になるのだ。それは、独自のデータ、独自の事前分布(プライア)、独自のプロセス、参照する知識の幅、そしてコンセンサス・エンジンが決して導き出さないような見解をあえて保持する姿勢である。
結論
それこそが、平均回帰が単なる統計的概念にとどまらなくなる理由だ。インテリジェンスが同じソースからますますレンタルされるようになれば、「平均」そのものが混雑した取引になりかねない。持続可能なエッジ(優位性)は、すべての投資家が同じ質問を同じように投じるのを防ぐ、判断力、文脈の理解、および経験から生まれる。
私はAIを毎日使っており、非常に強力なスパーリングパートナーだと感じている。重要な区別は、私がキャリアのあらゆる段階で学んできたことだ。すなわち、「加速するに値する思考を自分自身で構築している場合にのみ、機械はその思考を加速させることができる」ということだ。その素材は、今でも幅広い読書、深い教養、生きた経験、そして安易に外注する前に問題と向き合おうとする姿勢からしか生まれない。
投資家にとっての問いは、AIを使うべきかどうかではない。私たちはAIを自らの判断を研ぎ澄ますために使っているのか、それとも判断を置き換えるために使っているのか、である。
ここで提供されている情報は、投資、税務、または金融に関する助言ではない。個別の状況に関する助言については、資格を有する専門家に相談すべきである。



