働き方

2026.10.03 13:36

職場の「お母さん役」が、いつの間にか「人事担当者」になってしまう理由

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4年前、筆者は「オフィスマム(職場の『お母さん役』)」と呼ぶ存在について執筆した。女性、特に働く母親や男性中心のチームにいる女性は、会議の議事録作成、若手社員のメンター、チーム活動の企画、イベントでの軽食の手配など、職場を円滑に回すための「オフィスの雑用」をいつの間にか引き受けていることが多い。しかし、彼女たちは人事部で働いているわけではない。

たとえば、企業がマーケティング、オペレーション、あるいは財務の担当として女性を採用したとする。しかし、いつの間にか周囲からの期待が生じ、同僚同士で衝突が起きたときに彼女のもとへ相談に行くようになる。こうして雪だるま式に役割が膨らんでいくのだ。これは「度重なる小さな負担」によるものである。女性は、共感力のあるチームメンバーから職場の「お母さん役」、そして意図せぬ「人事担当者」へと容易に滑り落ちてしまう。職域がなし崩し的に広がる「ジョブ・クリープ」は、決して偶然に起きるわけではない。企業が正式に割り当てず、報酬も支払わないタスクの一部が、女性に回ってくるのだ。歴史的に見ても、女性は職場の外でも余計な労働を吸収してきた背景がある。

肩書が変わらない「職務の変更」

調査(オンライン調査プラットフォーム「Pollfish」を通じて小規模企業のオーナーおよび人事労務の担当従業員1000人を対象に、人材サービス会社FrankCrumが2026年8月に発表)によると、回答者の43%が週に少なくとも10時間を人事関連の業務に費やしていることが分かった。人事業務を引き受けた従業員のうち、42%は昇給していなかった。しかし、昇給した人々の間には顕著なジェンダーギャップが存在した。男性の45%が昇給したのに対し、女性はわずか22%にとどまったのだ。また、人事業務を引き受けた後に昇給も肩書の変更もなかった割合は、男性の21%に対して、女性は34%にのぼった。FrankCrumは、性別や世代などの属性グループごとに自己申告の結果を分析している。

残念ながら、肩書、報酬、期待値が変わらないまま、仕事だけが広がることはある。だが、役割が進化することと、職務が変わったことを誰も正式に認めないまま、従業員が事業上の別機能を吸収することは別問題である。

2026年8月にPollfishを通じて実施された、全国的な代表性を持つ調査において、ResumeBuilder.comは1023人の従業員を対象に、採用時の約束、日々の役割への期待、キャリアの進展、職場における価値についてアンケートを行った。その結果、18%が「現在の職務が当初の採用内容から大きく変化した、あるいは完全に異なるものになった」と回答した。さらに20%が「日々の業務で求められる役割が曖昧、または全く予測不可能である」とし、30%が「自分の貢献が過小評価されている、あるいは完全に無視されている」と感じていると答えた。

多くの従業員は、自分が引き受けると思っている仕事に基づいて、報酬や肩書、キャリアパスを交渉する。雇い主が後から大幅に新しい責任を追加する場合、事実上、その合意の一部を変更していることになる。これは、すでに交渉が難しい環境に置かれている女性にとって特に重要だ。ジョブ・クリープが発生すると、そもそも誰も正式に割り当てず、記録もしていない仕事の価値について交渉することを雇い主から求められるため、交渉の難易度はさらに上がることになる。

さらに問題を困難にしているのは、現代の企業社会において、AI主導の業績評価基準がこうした業務を価値あるものとみなさない可能性がある点だ。女性は他人の感情を察し、衝突を和らげ、問題が発生するのを未然に防いでいるかもしれないが、そのどれもがKPI(重要業績評価指標)に反映されるとは限らない。そのため、AIはチームの安定を保つ仕事ではなく、測定が最も容易な仕事を評価することで、既存の偏見を強化してしまう恐れがある。

「性別」は人事の資格ではない

FrankCrumの調査によると、女性は専任の人事職としてではなく、オフィス長やオペレーション部門の立場から人事の仕事を任されているケースが多く、重大な人事局面に対処する資格や準備が整っていないと感じている人が多かった。彼女たちが特に対処の準備ができていないと感じた状況には、従業員同士の衝突や紛争、ハラスメントの苦情、差別に関する申し立てなどが含まれていた。

また同調査では、従業員が「見えない労働」を引き受けるだけでなく、キャリア、職場の安全性、差別、そして深刻な法的リスクを伴う可能性のある決定を下すための正式な研修を受けていないことで、さまざまな結果を招いていることも判明した。回答者の71%が、過去1年間に人事の不確実性に起因する具体的な影響を少なくとも1つ経験したと答えた。それには、解雇プロセスの遅れ、懲戒処分、従業員の未解決問題、給与や昇進に関する話し合いの遅れなどが含まれる。

問題への対処法

マネージャーは、従業員の実際の職務と、採用時に合意した職務内容を定期的に比較すべきである。組織は誰が実際にその仕事をこなしているのかを把握し、責任が増している女性に対して適切な報酬を支払う必要がある。また、部門間の隙間に落ちるような仕事が、誰に繰り返し押しつけられているかに注意を払い、それを修復しなければならない。役割が大幅に拡大している場合、雇い主は業務の再分配、研修の提供、肩書の変更、あるいは報酬の調整を行うべきかを判断する必要がある。

FrankCrumの人事担当シニアバイスプレジデントであるデビッド・ピーサルはインタビューで次のように語っている。「女性が従業員の衝突、オンボーディング(新入社員の受け入れ)、福利厚生に関する質問、懲戒、あるいは解雇に対処しているなら、それは単に『人当たりが良く、面倒見が良い人』という話ではない。彼女は人事の仕事をしているのだ。雇い主はそれを認識し、文書化し、適切な対価を支払い、彼女がその職務を円滑に遂行できるよう研修やサポートを提供すべきだ」

女性自身も、組織のために行っている「見えない労働」を主体的に記録する必要がある。「ちょっとお願いできる?」と言われたすべてのことや、受け取ったあらゆる小さな依頼を書き留めるのだ。自社に人事部門があるかどうかにかかわらず、思い込みや暗黙のルールに頼ることは、もはや許されない。

オペレーション部門に採用された女性アソシエイトが、週の4分の1を従業員の衝突解決に費やしているなら、そこには確かに職場の問題が存在する。しかし、これは一般社員レベルの責任ではない可能性が極めて高い。だが、女性がその仕事の金銭的価値を交渉できるようになる前に、まずはその「見えない仕事」が組織の成長や財務実績に貢献していることを証明しなければならないかもしれない。会社が対価を支払わずに利益を得ている一方で、自分が実質的に他人の仕事のすべてを肩代わりしてきたということを、彼女は証明する必要があるのだ。

(Forbes.com 原文)

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