VC

2026.10.04 11:00

投資家の説「スタートアップの失敗1社につき、フェイスブック級の成功が1社」は本当か

stock.adobe.com

VCにおける「二重の集中」

そこには、驚くべき2つのレベルの「集中」が存在する。

advertisement

・ごく少数のベンチャー企業が、VCのリターンの大部分を生み出している。
・ごく少数のVCが、VC業界全体の利益の大部分を生み出している。

この事実は、VCからの資金調達を目指す起業家にとって、重要な問いを投げかける。単に「VCから資金を得る」だけで十分なのだろうか。それとも、「適切なVC」から調達する必要があるのだろうか。

なぜVCはホームランを必要とするのか

ホームランがこれほど重要視される理由を理解するために、VCがどのようにパフォーマンスを測定しているかを考えてみよう。VCは単に1ドルを10ドルに増やそうとしているわけではない。「時間」が重要なのだ。

advertisement

・5年で10倍のリターンを達成した場合、年間複利収益率は約58.5%となる。
・10年で10倍のリターンを達成した場合、年間複利収益率はわずか約25.9%にとどまる。

これは、VCと起業家の財務的な目標における根本的な違いを浮き彫りにしている。VCは、寿命が有限であるポートフォリオやファンドを管理している。彼らは、一部の投資先が失敗したり、パフォーマンスが低迷したりすることを前提とした上で、ポートフォリオ全体で高い年率換算リターンを追求する。

起業家の目的は異なる場合がある。彼らは自らが生み出す富の総量を最大化し、さらに重要なこととして、その富のうち自身の手元に残る割合を最大化しようとする。比較的少額の投資からスタートし、15年や20年かけて価値ある企業へと育て上げた起業家は、適切な年俸を得ていれば、並外れた富を築くことができる。しかし、そのような成長軌道では、VCファンドが求める年率換算リターンや、エグジットのタイミング、あるいは流動性イベント(資金回収の機会)を満たせない可能性がある。

双方が成長を望んでいる。しかし、彼らが最適化しようとしている財務的成果は、必ずしも一致しない。

なぜVCは「アウトライヤー」を追い求めるのか

このことは、ベンチャーキャピタルの決定的な特徴の一つを説明するのに役立つ。トップクラスのVCが投資する200社のうち、わずか15社程度が年間投資リターンの90%以上を生み出すとすれば、VCは単に「良いビジネス」を探すだけでは足りない。彼らは、規格外の成長を遂げる可能性を秘めた「アウトライヤー」を必要としているのだ。

そのため、VCには巨大な潜在市場、新たなトレンド、破壊的テクノロジー、そして爆発的な成長能力を持つベンチャー企業を追い求める強力なインセンティブが働く。また、注目を集めるセクターを取り巻く熱狂や宣伝活動の一部も、これで説明がつく。1社の突出した勝者が多くの期待外れの投資を補うことができるのであれば、次のフェイスブック、グーグル、あるいはエヌビディアを逃すことは、最終的に失敗するベンチャーに投資することよりも大きな痛手となり得るのだ。

アンドリーセンの示す数値は、特に重要な別の論点も示している。トップクラスのVCから資金調達できたからといって、そのベンチャーがホームランを打てるわけではない、ということだ。トップVCが行う200の投資案件のうち、およそ15社がリターンの大半を生み出しているとすれば、トップVCに支援されているベンチャー企業の大部分は、最大の勝者には含まれていないことになる。そして、NBERとスタンフォード大学による証拠は、VCの投資パフォーマンス自体が極めて一部に集中していることを示している。

次ページ > 起業家が学ぶべき4つの提言

編集=鈴木喜生

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事