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2026.10.02 15:29

小規模フィンテック市場が「AIでシリコンバレー超え」を目指すべきでない理由

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米国外のフィンテック創業者と話すと、最終的に必ず同じ質問にぶつかる。「AI分野でどう戦えばよいか」というものだ。私の答えは、この種の競争は厳しいため、シリコンバレーの土俵ではなく、自分たちの土俵で挑むべきだというものだ。

実際、資金の多くは一部の有名AI企業に集中している。たとえばOpenAIは最近、シリコンバレー史上最大の資金調達ラウンドで1220億ドル(約19兆3000億円)を調達した。2023年以降、同社だけで中国の既知のAI企業すべての合計を上回る資金を調達している。

国レベルで見ても、どの国も米国に大きく後れを取っている。2024年、米国のAIスタートアップは1090億ドル(約17兆2000億円)を調達したのに対し、中国企業は約90億ドル(約1兆4200億円)にとどまった。しかもこれは世界第2位の経済大国である中国の数字だ。湾岸諸国、東南アジア、中央アジア、欧州の大部分といった小規模市場は、同じ土俵には立てない。

地域の専門知識が競争優位になる

では、なぜこうした小規模市場のフィンテック創業者の多くは、自社がつくるすべてのプロダクトに独自版ChatGPTを構築・統合しようと考え続けるのか。それは、AIブームが人々の視点を歪め、「AI」というラベルがついたプロジェクトは何でも資金調達可能で流行に乗れると錯覚させているからだ。

だが、こうしたやり方では、創業者は地域に根ざしたソリューションの本来の価値を過小評価してしまうと私は考える。簡単に言えば、フィンテック創業者にとっては、大企業とAIで競うよりも(たとえそのソリューションが何らかの形でAIに関連していたとしても)、地域特有の課題に焦点を当てたプロダクトを構築する方が成功する可能性が高い。フィンテックにおける真の「堀(参入障壁)」とは常に、特定の狭い領域の複雑さに精通していることにあった。たとえば、大手企業がサービスを提供するに値しないと判断した特定の顧客セグメントに対応することだ。

英国のAllica Bankを例に挙げよう。同行は今年、1億5500万ドル(約245億円)(登録が必要)の調達ラウンドを経てユニコーン入りし、評価額は約12億ドル(約1900億円)に達した。Allicaは、2008〜2009年の金融危機以降、十分な銀行サービスから取り残されてきた英国の中小企業に焦点を当てている。

あるいは、アブダビを拠点とするMalを見てみよう。同社は中東・アフリカ史上最大のフィンテックシードラウンドとして2億3000万ドル(約363億円)を調達した。Malは現在のトレンドに合わせて「AIネイティブ」を自称しているが、その実際のフォーカスはブランディングよりも狭い。同行のターゲットは、7兆ドル(約1110兆円)規模のグローバルなイスラム金融市場であり、20億人の潜在顧客を抱えながらも、現時点で支配的なデジタルプレーヤーが存在しないカテゴリーだ。これは規制と文化のニッチ分野である。AIのブランディングは話題を呼ぶが、このモデルの防御力は実際にはライセンス戦略にある。

資本もニッチへ流れる

成功しているフィンテック企業は、AI分野で大手を追い抜こうとはしていない。グローバルに標準化されたソリューションが適合しない特定の顧客に対して、米国企業が十分に注力することは決してないという点に賭けているのだ。

これを踏まえれば、創業者は資金調達先についても見直すことができる。見ての通り、資本は米国のメガラウンドだけに集中しているわけではない。具体的で狭い領域のプロジェクトにも資金は集まり得る。まさにこのような具体性を評価する、並行した資金の流れが開かれているのだ。

たとえば中東の投資家は、地元のベンチャーキャピタル、特にフィンテックへと軸足を移すことが増えている。昨年、この業界は同地域で調達されたベンチャーキャピタル資金全体の半分以上を占めた。

一方、中国の投資家は欧州フィンテックへの関心を高めている。多くが米国市場から徐々に撤退しているため、この関心はラテンアメリカやその他の新興市場にも広がる可能性がある。

地域ファンドや多様化を進めるリミテッドパートナー(LP)は、それぞれのやり方で、小規模市場の創業者が提供できるまさにその価値を求めている。それは、外部から再現するには何年もかかり、莫大な法務コストを要する、実証済みのローカルな決済ネットワークやコンプライアンスインフラだ。そして、それには非常に高い価値がある。

新しいピッチを試そう

総じて、私は小規模市場の創業者に対し、ピッチの方法を変えることを提案したい。もしあなたがそうした創業者のひとりなら、勝ち目のない大企業と競う「AIチャレンジャー」として自社を再包装するのはやめるべきだ。

もっと現実的な道を選び、本当に防御可能なものを投資家に売り込み始めよう。それは何でもよい。特定の通貨への特化から、構築に2年を要した特定のライセンス制度まで、どれほど優秀なシリコンバレーのエンジニアチームであっても、理解するだけで少なくとも同じくらいの時間を必要とするようなものだ。

AI競争にはすでに勝者がいる。小規模企業を丸ごと飲み込める少数の巨大企業だ。そしてその勝敗は、私たちの多くがこの議論に加わる何年も前に決まっていた。しかし、少なくともこれまでのところ、機会が乏しいわけではない。だからこそ、地域の複雑性を扱う市場こそ、実際に加速できる場所になり得るのだ。

(forbes.com 原文)

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