リーダーシップ

2026.10.02 08:56

「ありのままの自分」を超えて。リーダーに求められる「ミドル・セルフ」とは

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ジョージタウン大学、マギル大学デソーテル・マネジメント・スクール、そして現在はコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジで教鞭を執ってきたパトリシア・フェイソン・ヒューリン博士に、長年の教職生活の中で自身の核となる価値観(コアバリュー)が変化したかどうかを尋ねたところ、彼女はアボカドというシンプルな比喩を使って答えてくれた。

「熟したアボカドがしなやかで柔らかいように、私たちは誰しも、柔軟で変化しうる価値観を持っています。とりわけ、新しい状況、多様な視点、より深い知識に触れるときはそうです」とヒューリン氏は説明する。「しかし同時に、どこへ行っても自分とともにあり、簡単には壊れない少数の価値観もあります。アボカドの種のようなものです」

研究者としてのキャリアを説明するには極めてユニークな方法だが、数々の受賞歴を持つ行動科学者であるヒューリン氏は、まさにこの違いを明らかにするために20年を費やしてきた。彼女は「同調のファサード(上辺だけの同調)」に関する研究で広く知られており、企業で働く多くの従業員の経験を言語化するためにこの言葉を考案した。ある困難な組織変革の際、彼女の年長の同僚の一人は、本心では反対している決定を支持するふりをし、表向きは従いながらも、嘘の自分を生きているように感じていたと彼女に明かしたという。

20年にわたる研究の結果、ヒューリン氏は一貫したパターンを発見した。このようなファサードを取り繕う人々は、精神的な疲弊(感情枯渇)が激しく、離職する可能性が高いということだ。また皮肉なことに、高い誠実性(インテグリティ)で知られるリーダーほど、従業員がリーダーの誠実さを深く尊重するあまり、波風を立てることを恐れ、異なる意見や多様な視点を控えてしまうような環境を作らないよう注意しなければならないことも分かった。

彼女の助言はこうだ。リーダーは批判的なフィードバックを受けた際、それを内々に留めるのではなく、チーム全体の前で公に、前向きに共有すべきである。従業員の許可を得たうえで、そのフィードバックは耳が痛いものだったこと、当初は抵抗を感じたこと、それでも受け取れてよかったと思っていることを、リーダーがその場にいる全員に伝えることを彼女は勧める。

「全員の前で発表することで、異なる視点が脅威ではないことをチームに示すことができる」と彼女は主張する。「それは組織の学習を促進する原動力になるのだ」

ヒューリン氏の助言は、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソンが提唱するチームの「心理的安全性」の原則と一致している。心理的安全性は、対人関係においてリスクを冒す行動の基礎であり、高パフォーマンスを発揮するチームを予測する最も強力な単一の要因であることが分かっている。

ヒューリン氏の同調のファサードに関する研究と、従業員が自身の価値観や視点を抑圧することの弊害は、興味深いタイミングで注目を集めている。企業文化が、完全に自分らしく振る舞い、職場に「ありのままの自分(ホール・セルフ)」を持ち込むという考え方からシフトしつつあるからだ。『ハーバード・ビジネス・レビュー』は2025年8月、透明性が価値を持つのは「それが戦略的であるとき」だけだとリーダーたちに率直に忠告した。その2カ月後、『ファスト・カンパニー』誌はトマス・チャモロ=プレミュジックとエドモンドソンによる寄稿を掲載し、フィルターを通さない自己表現はチームの信頼を築くものではないと論じた。

「フィルターを通さない自己表現の対極にあるのは、不健全な妥協やファサードであり、これもまた有害で、チームメンバーを精神的に疲弊させ、エンゲージメントを低下させる」とヒューリン氏は言う。彼女の最近の研究は、まさにその議論の真ん中に位置している。

「ミドル・セルフ」という選択肢

ヒューリン氏の著書Staying True to Youは、完全な自分らしさでも完全な同調でもない、第3の道を提示している。彼女が「ミドル・セルフ(中庸の自己)」と呼ぶこの概念では、両者が共存することが可能であり、ヒューリン氏はその具体的な日常の実践方法を明確に示している。

「ミドル・セルフとは、本物の自分でありたいという欲求と、仕事や私生活における要請や規範に従う必要性とのバランスを取ることです。それは私たちの中核的な価値観の体系を反映し、その文脈で最も重要なものを選び取ることを意味します」と彼女は語る。

彼女は、自律性(独立して意思決定を行うこと)を重視しながらも、チームの意見がどうしても必要な問題に直面しているリーダーの例を挙げる。ミドル・セルフに基づいて行動する場合、そのリーダーは一時的に自律性を脇に置き、代わりに成果の達成や協働を重視して助けを求める。その際、自律性を重んじる本能が消え去ったかのように装うことはしない。

そして、データもこれを裏付けている。ヒューリン氏が昨夏、約1500人の働く人々を対象に実施した調査では、75%が「自分らしさには一定の責任が伴うべきであり、すべてをさらけ出さずとも誠実であることは可能だ」という意見に同意した。

しかし同時に、同じグループの45%が、職場において依然として自分の価値観を押し殺し、取り繕っており、精神的な疲弊に至っていると回答した。

このギャップは、他の最近のデータとも一致している。グレート・プレイス・トゥ・ワーク(Great Place To Work)が2025年9月に発表した報告によると、職場で本来の自分でいられると感じている従業員は、仕事を楽しみにする割合が2倍高く、会社に留まりたいと望む割合が50%高い。これは、上辺だけの同調(ファサード)が支配的になったときに失われる、人材定着へのプラスの効果とおおむね一致する。

それはまた、彼女が自身のキャリアを通じて変化を見てきた、より大きなテーマにもつながっている。リーダーシップそのものはどうあるべきか、という問いだ。

数十年前と比べて問題がより複雑化し、相互に依存し合う現代において、効果的なリーダーの定義は進化している。

「かつて、リーダーは主な問題解決者であることが期待され、支援を求めることは弱さとみなされていた」と彼女は言う。「自分の価値観を活かす方法を理解するとは、問題解決のための文化的視点であれ、細部へのこだわりを生み出す卓越性への強い信念であれ、自身のリーダーシップ目標に最も合致する価値観を意図的に引き出すことを意味する」

さらにヒューリン氏は、他者が職場に持ち込む価値観を理解するための心のゆとりを持つことは、お互いをより深く知り、理解し合うことにつながるため、信頼関係を築く絶好の機会になると付け加える。「核心となる価値観を中心に据えることで、どのような状況でも自分自身の最高の部分を発揮できるようになり、信頼が高まる」

こうしたバランスの取れた視点は、彼女のAIに対する見解にも表れている。

ヒューリン氏は期待を寄せつつも、慎重な姿勢を崩さない。AIを、資料の要約や迅速な調査を行うための時間を節約できる素晴らしいリソースと呼びながらも、それを第一の情報源にすることには警鐘を鳴らす。「AIはまだ多くの点でハルシネーション(事実に基づかない情報の生成)を起こす。何かを要約したり、特定のトピックについて素早く調べたり、資料を整理したりする際には非常に便利だが、依存しすぎて思考を放棄してしまわないよう注意しなければならない」

彼女は自身を「誇り高き内向型人間」と表現するが、彼女が講義や講演の壇上で発揮するエネルギッシュな姿を知る教え子たちは、今でもその事実に驚くという。彼女は静かな時間を過ごすことで活力を養っており、その中には1000ピースのジグソーパズルを解くことも含まれ、通常は1週間以内に完成させるという。

物事をいつ手放し、いつ再び取り上げるべきかを知るという、それと同じ自己規律は、彼女の言葉の端々に通底している。

アボカドの話に戻ろう。種は固い部分であり、どこへ行くにも常に持ち歩く価値観だ。それ以外の柔らかい部分は、状況に応じて柔軟に変えられる部分である。要するに、議論の核心はそこにある。職場に持ち込む自分は、本物であるために必ずしも最も自己主張の強い自分である必要はない。ただ、自分自身のどの部分が種(コア)で、どの部分が果肉(柔軟な部分)であるかを理解していればよいのだ。

(協力:ステファニー・リッチ)

(forbes.com 原文)

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