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2026.10.02 07:51

クレカ競争の次なる主戦場は「憧れ」、シティ幹部が明かす戦略の進化

Adobe Stock

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かつてクレジットカードは、主に決済のための手段だった。

ロイヤルティ特典(リワード)がクレジットカードというカテゴリーを変貌させ、日々の買い物をキャッシュバックや航空会社のマイル、ポイントへと変えた。

今日、新たな変化が起きつつある。消費者は今もポイントをどれだけ「貯め(earn)」、どう「使う(burn)」かに関心を持っているが、そのカードによってどのような「体験」ができるかを重視する傾向が強まっている。

この進化は、「earn(貯める)」、「burn(使う)」、そして「yearn(切望する・憧れる)」という3つの言葉で要約できる。

「私たちがバリュープロポジション(価値提案)を考える際、常に念頭に置いているのは、貯める価値(earn value)と使う価値(burn value)だ」と、シティの米国コンシューマー・カード部門責任者であるパム・ハブナーは語る。「そして次に、そのクレジットカードがどのような体験の扉を開いてくれるか、ということだ。私たちはこれを、カード会員のニーズの階層、すなわち『earn(貯める)』、『burn(使う)』、および『yearn(憧れる)』と捉えている」

特典が飽和状態にある市場において、この「yearn(憧れ)」は最も重要な差別化要因になるかもしれない。

これは、カード会社が旅行やダイニング、エンターテインメント、パーソナライズ、特別なアクセス権の提供に投資している理由を説明するのにも役立つ。新たな消費者調査によると、人々は、提供される特典が心から価値を置くものと結びついている場合、進んで対価を支払う傾向があるという。TFLのエキスパートであるキース・ラックスマンは「消費者は、ブランドが旅行やライブイベントへのアクセスをより容易にしてくれることを望んでおり、それは特にZ世代において顕著だ」と指摘する。

Z世代の消費者は「自分にとって重要な特典」に対価を支払う

コンペレメディア(Comperemedia)の調査によると、米国のクレジットカード保有者の45%が、空港ラウンジの利用やダイニング、エンターテインメントへの限定アクセスなど、より優れた特典のために高い年会費を支払ってもよいと考えている。成人のZ世代のカード保有者に限ると、その割合は77%にまで跳ね上がる。

オープンブランド(OpenBrand)傘下のコンペレメディアでバイスプレジデントを務めるアヌジ・シャハニに、これがイシュア(カード発行会社)にとって何を意味するのかを聞いた。「人々は、自分の生活に関連性があると感じられる特典に対して対価を支払う」とシャハニは言う。「チャンスは、その支払う意思を、彼らが価値を置く体験へと変えることだ」

年会費は、顧客がそれを空港での快適さや思い出に残るディナー、あるいは本来なら逃していたかもしれないイベントへのアクセスと結びつけることができれば、より納得しやすくなる。

リワードの獲得は「新たなスタートライン」にすぎない

かつては、特典こそがカードを差別化するものだった。

今日、特典は最低限の期待値に近づいている。ハブナーの推計によると、米国のクレジットカードの80%以上が、キャッシュバック、移行可能なポイント、あるいは航空会社や小売店、ホテル企業と提携した特典など、何らかの形で特典が付帯して発行されているという。

特典が当たり前になるにつれ、競争はポイントをより使いやすく、より満足度の高いものにすることへと移行した。シティの「サンキュー・リワード(ThankYou Rewards)」の会員は、旅行、ギフトカード、支払額への充当、提携加盟店での買い物など、さまざまな方法でポイントを利用できる。対象となる顧客は、ポイントを航空会社やホテルのプログラムに移行することも可能だ。

「顧客は、ポイントを使うことで得られる即時の満足感を本当に気に入っている」とハブナーは語る。「私たちがやりたいのは、顧客が最も重視するものにポイントを使えるよう、できる限り多くの選択肢を提供することだ」

コンペレメディアとミンテル(Mintel)の調査は、人々がいかに多様な価値観を持っているかを示している。米国のカード保有者の53%がメインカードの特典をキャッシュバックとして利用しているのに対し、買い物へのポイント利用は31%、支払額への充当は28%、旅行は25%となっている。同じポイント残高でも、生活費の足しにすることもできれば、休暇旅行への一歩にすることもできるのだ。

貯める段階でも選択肢は重要だ。新しいカードを選ぶ際、米国の成人の41%が「毎月最も支出の多いカテゴリーでの追加キャッシュバック」を最優先し、38%が「自分で特典カテゴリーを選べること」を最優先している。パーソナライズは、顧客により多くの主導権を与えることから始まるのだ。

体験が「憧れ」を生み出す

ハブナーは、シティのライフスタイル・プラットフォームについて、カードがユニークな体験へのチケットになるための方法だと説明する。その情熱の対象は、旅行、グルメ、ファッション、スポーツ、音楽など多岐にわたる。

「この『yearn(憧れ)』の部分こそ、消費者がカードに対して真の愛着を感じる場所だ」と彼女は言う。「そのブランドへの愛は、多くの場合、体験から生まれる。カードは、ユニークな体験にアクセスするためのチケットとして機能するのだ」

コンペレメディアの2026年5月の調査では、米国の成人の52%が「いつか行ってみたい具体的なスポーツ観戦旅行がある」と回答している。F1レースや野球のシリーズ戦への観戦を実現させてくれるカードは、決済という取引を行う前から、その人の憧れの一部となる。

「シティ・エンターテインメント(Citi Entertainment)」は、対象となるカード会員に、コンサート、スポーツ、芸術、文化にわたる先行販売チケットや体験へのアクセスを提供している。シティとライブネーション(Live Nation)との提携はカードと音楽を結びつけ、シティ・フィールド(Citi Field)は野球との自然なつながりを提供している。また、同社のダイニングプログラムには、特定のカード会員のみが利用できる厳選された体験が含まれている。

ハブナーは、ニューヨークでのファッションとダイニングを組み合わせたイベント、オースティンでのF1、マイアミ・アート・ウィーク周辺のプログラムなどを挙げた。個々の取り組みは変わるかもしれないが、戦略は一貫している。それは、カードを決済という裏方の役割から、思い出の最前線へと移動させることだ。

「顧客が求めるものの進化を見てきた」とハブナーは言う。「確かに特典や、ユニークで刺激的なポイントの使い方(リターン)も重要だが、ゲームのルールを本当に変えつつあるのは、この体験の要素だと私は考えている」

コンサートや試合、特別な食事は、しばしば旅行に出かける動機そのものになる。それは、チケットの入手、航空運賃、ホテル、レストラン、交通手段など、あらゆる分野でのビジネスチャンスを広げる。最も価値のあるカードとは、憧れを実際の体験へと変える手助けをしてくれるカードなのかもしれない。

AIが「カードを選ぶ存在」になる未来

人工知能(AI)は、この競争をより複雑なものにするだろう。AIアシスタントが検索、選択、そして取引を行うようになれば、カード発行会社は「人間」と「その代理人(エージェント)」という、2つの顧客を勝ち取る必要が出てくるかもしれない。

しかし、AIはすでに、より早い段階である「認知・検討」のステージに影響を与えている。コンペレメディアとミンテルの調査によると、米国のカード保有者の33%が、クレジットカードの推薦を受けるためにChatGPTなどのツールを利用したことがある。成人のZ世代のカード保有者に限ると、その割合は62%に達する。

「AIはすでに玄関口になっている」とシャハニは語る。彼は、Z世代やミレニアル世代が従来の検索リンクの並ぶページに頼るのではなく、AIツールの中でカード選びを開始し、完了させることが増えていると考えている。そのため、明確な製品情報、機械が読み取り可能な特典、そして真の差別化がより重要になる。

「AIが消費者の購買行動や決済行動にどのような影響を与えるか、正確なところはまだ分からない」とハブナーは語る。「しかし、AIや自律型エージェント(エージェンティック・コマース)が進化する中で、私たちは消費者に、物理的な財布からであれ、仮想の財布からであれ、あるいは代わりに買い物をするよう指示しているエージェントを通じてであれ、シティのカードを選んでほしいと考えている」

AIは顧客の好みやポイント、特典を利用して旅行を提案したり、未使用のクレジットを知らせたり、買い物に最適なカードを特定したりすることもできる。ここで極めて重要になるのが信頼だ。顧客は、エージェントが主導する取引が安全であり、必要に応じて異議申し立てができることを期待するだろう。

パーソナライズは「尊重」と感じられるものでなければならない

AIや機械学習は、オファーの関連性をさらに高めることができる。取引履歴は顧客が過去に何をしたかを示し、顧客が意図的に共有する情報は、彼らがこれから何をしたいかを明らかにする。これらを責任ある形で活用すれば、顧客の意図をより正確に把握することができる。

「私たちは、機械学習やAIモデルを活用して、超パーソナライズされたオファーをより適切に提供できるようになる可能性に期待している」とハブナーは言う。「私たちの目標は、顧客が『自分たちのことを理解してくれており、自分たちにとって最も重要なことを気にかけてくれている』と感じられるようにすることだ」

関連性の高いオファーは、「監視」ではなく「尊重(自分を認識してくれていること)」と感じられるものであるべきだ。顧客は、自分がどのデータを共有しているかを理解し、その見返りとして明確な価値を受け取る必要がある。

8月に発表されたシティによるカード(Kard)の買収計画は、この戦略に合致している。カード社は、取引データと機械学習を活用して顧客と加盟店負担のオファーをマッチングする、コマースメディアおよびリワードのプラットフォームを運営している。シティは、この買収計画について、約7000万人のカード会員基盤全体でよりパーソナライズされたリワードの提供を支援することを目的としていると述べた。

規模の拡大と「財布のスリム化」への対応

シティは2026年の初頭、従来の小売サービス・カード事業とブランドカード事業を統合し、単一の「米国コンシューマー・カード」組織を立ち上げた。ハブナーによると、統合後の事業には約7000万人の顧客と、12の一流ブランドとの提携が含まれているという。

この規模が重要となるのは、多くの消費者が持つカードの枚数を減らし、その代わり1枚のカードでより多くの役割をこなすことを望んでいるからだ。汎用カードは、競争力のある実質的な経済価値、柔軟な還元方法、および顧客の生活のさまざまな側面にフィットする特典を提供しなければならない。

例えば、シティの「Strata Elite(ストラタ・エリート)」カードは、旅行やダイニングの特典に加えて、ホテル、交通手段、空港ラウンジ、エンターテインメントの特典を組み合わせている。この製品は、プレミアムカードがいかに金融面とライフスタイル面の実用的な価値をバンドル(一括化)した存在になりつつあるかを示している。

クレジットカードのロイヤルティの未来は、特典だけで勝ち取れるものではない。ポイントの還元率は模倣でき、還元の価値は比較されてしまう。しかし、体験、関連性、そして信頼は、そう簡単に複製できるものではない。最も強力なプログラムは、今後も顧客がポイントを「貯め(earn)」、「使う(burn)」のを支援し続けるだろう。しかし同時に、顧客が何を「切望し、憧れているか(yearn)」を理解し、その目的地へ到達するための手段としてカードを位置づけるはずだ。

(forbes.com 原文)

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