ヘルスケア

2026.10.02 12:00

ひとくくりにされがちな「うつ病」の症状、しかしそれぞれ脳内で異なるパターンを示す 最新研究

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うつ病患者の脳には単一の特徴的なパターン(シグネチャ)があるという概念に異議を唱える新たな論文が発表された。快感消失(訳注:以前は楽しめていた物事に対して興味や喜びを感じられなくなる状態)、反芻思考(訳注:ネガティブな物事を考え続けてしまう思考習慣)、不眠、自殺行動などの各症状がそれぞれ異なる脳の回路に関連していることが判明したのだ。この発見により、症状ごとに細分化された治療法の開発につながる可能性がある。

専門誌Translational Psychiatryに掲載された新しい研究は、うつ病を単一の疾患とする考え方を覆すものだ。前述の快感消失や反芻思考、不眠、自殺行動が、それぞれ異なる脳の回路と関連していることが確認されたのである。

同レビューではさらに、消費的快感消失(Consummatory anhedonia)と予期的快感消失(Anticipatory anhedonia)が部分的に異なる回路に依存している可能性や、みずからの命を絶つことについての考えとその実際の試みが異なる脳のパターンを示すことも特定している。

研究チームは、特定の症状に結びつく脳のシグネチャを特定するため、安静時の脳の領域同士のつながりを調べる「安静時機能的磁気共鳴画像法(fMRI)」のデータを分析した。

同論文は、うつ病の診断に用いられる標準的なガイドラインでは、非常に多くの症状の組み合わせが単一のカテゴリーのもとに分類されていると指摘する。その結果、正式には同じ診断を下された患者であっても、臨床的なプロファイルが大きく異なるケースが生じるという。

症状の次元に基づくアプローチをとることで、特定の症状や神経回路向けに細分化された治療法の開発が促進される可能性があると研究チームは主張する。

異なる症状の患者に単一の診断カテゴリーを当てはめると、誰にどの治療法が最も効果的かを判断することが困難になる。著者らは、さらなる研究が進むことで今回の発見が活用され、より的を絞った患者ケアの指針となることを期待している。

大うつ病性障害の従来の診断は、実証された生物学的な原因ではなく、症状の集まりに基づいて患者をグループ化する。そのため、異なる問題を抱えている2人の患者が同じ診断を受けるというような結果を招きかねない。今回の新たな論文は、個々の症状に対応する特定の神経回路に焦点を当てたものであり、日常的な臨床現場で実践されるにはまだ多くの検証が必要ではあるものの、より的を絞った治療法への道を開く可能性がある。

従来の大うつ病性障害の診断基準を満たす可能性のある症状の組み合わせは、理論上最大で227通りにも上る。

論文の著者の1人であるナルシス・カルドナー博士は今回の発見について、「各患者の臨床的および神経生物学的なプロファイルに、より適合した患者ケアの検討を始めることが可能になる」と述べている。

(forbes.com原文)

翻訳=江津拓哉

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