キャリア

2026.10.01 20:58

人材不足を解消する第一歩は、知られざる業界を「知ってもらう」こと

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1990年代から2000年代にかけて、コーディングとコンピュータサイエンスは、離職を余儀なくされた労働者や労働市場に参入する新卒者を吸収できる領域として常にもてはやされた。ジョー・バイデンが炭鉱労働者は「コーディングを学ぶべきだ」と主張した有名な発言は、テック業界が万能薬として見なされていた数多くある局面の1つだ。しかし、単一の職種やスキルのセットが、経済全体の解決策になることは決してない。

政策立案者は、複雑な問いに対する単純な答えを探し続けている。働き手が存在すら知らないかもしれない良質な仕事に、どうすれば彼らをつなげられるのか。そしておそらくさらに難しいのは、学生を導く立場にある人々が、まったくなじみのない複雑な産業をどのように紹介できるのか、という点である。

たとえばエレクトロニクスは、朝のコーヒーメーカーから、通勤に使う車、バス、電車、さらには仕事中に使うコンピュータや機械に至るまで、日常生活のほぼあらゆる側面を支えている。グローバル・エレクトロニクス協会の最高経営責任者(CEO)であるジョン・ミッチェルは、「エレクトロニクスはあらゆる産業におけるイノベーションの生命線である」と語る。

しかし、多くの人々は、エレクトロニクスの設計、製造、組み立てを行う仕事についてよく知らない。それらの仕事こそが、私たちが日々依存しているテクノロジーを生み出しているにもかかわらずだ。この認知のギャップが、同業界が人材不足に直面している一因かもしれない。グローバル・エレクトロニクス協会の調査データによると、同業界に関連する専攻(電気工学など)の大学生の3分の2近くが、業界内にどのような仕事が存在するのかをよく知らないという。

エレクトロニクス製造業界でのキャリアに進む人であっても、遠回りのルートをたどることがある。シャーロット・ニューウェルは昔から宇宙が大好きで、子供の頃にはスペースキャンプにも参加した。彼女は最初、理容師の道に進んだが、偶然の会話をきっかけに航空宇宙業界に入りたいという野心を再び燃え立たせた。地元のコミュニティカレッジで受けたエレクトロニクスの単一の授業から始まった彼女の歩みは、やがてグローバル・エレクトロニクス協会が認定する複数の業界資格の取得へとつながり、最終的には宇宙服や月着陸船、人工衛星を製造するキャリアへと実を結んだ。インテュイティブ・マシーンズ(Intuitive Machines)で宇宙飛行士たちとともに働くシャーロットは、月着陸船「アテナ(Athena)」での仕事から「神々の美容師」というニックネームで呼ばれるようになった。

学士号の取得を進めながら、理容師からエンジニアへと転身した彼女の道のりは刺激的であると同時に、学生が将来あり得るキャリアやそこへ至る道筋を知るうえで直面する限界も浮き彫りにしている。エレクトロニクス業界の平均賃金は15万ドル(約2360万円)に上るが、雇用主は人材の確保に苦労している。エレクトロニクス企業の60%が積極的に採用を行っているものの、必要な人材を見つけられずにいる。

もちろん、このような状況にあるのはエレクトロニクス製造業だけではない。造船業をはじめとする海洋関連の職種もまた、経済的な機会への道を提供している。ジェイミー・ダイモンは、大学の学費による負債を抱えることなく10万ドル(約1570万円)以上の年収を得られるこの業界を、アメリカンドリームの好例として挙げたほどだ。また、独立潤滑剤製造業者協会(ILMA)は、将来の働き手に対して業界の認知度を高め、次世代の「摩擦との闘士」を育成しようと取り組んでいる。

労働市場におけるこのミスマッチは、働き手にとっても企業にとっても好ましいものではない。大学に進学しないルートを含め、キャリアの選択肢をより深く模索する取り組みを支援することが極めて重要である理由もそこにある。例えば、ブライトバウンド(Britebound)が提供するプラットフォーム「GoZig」は、パーソナライズされたキャリアナビゲーションを提供している。アセスメントを活用することで、学生が自身の特性やスキル、興味に基づいて、1800を超える職種の中から模索すべき分野を絞り込めるよう支援している。

しかし、2000近くに及ぶ選択肢から選ぶこと自体が十分に困難であるとしても、真の課題は、学生たちにキャリアを「どこから始めるか」だけでなく、「それが最終的にどこへつながるか」を理解させることにある。若者はこれを2つの次元で考えることができる。1つは特定の業界内にどのような機会が存在するのか。もう1つは、将来的な業界の再編や衰退に備えて、同様のスキルを活かせる隣接する職種には何があるのか、という点だ。

人材不足に直面している多くの業界において、エントリーレベルの職種が、最初から10万ドル(約1570万円)以上の年収を提供するわけではない。しかし、人材難の業界は、独自の「人材育成」に長けていることが多い。バリスタやレストランの受付係が同じ役割のまま昇進の機会も少なく2〜3年を過ごす一方で、エレクトロニクス技術者であれば同じ期間でエンジニアへとステップアップすることも可能だ。

昨年発表された「アメリカ雇用品質調査(American Job Quality Survey)」は、労働者の実体験と雇用の質を評価する初の実態調査を提供するとともに、質の高い雇用を定義した。質の高い雇用を定義する5つの次元のうち、2つは「経済的な幸福」と「成長および育成の機会」であり、これらはまさに、あまり知られていない多くの業界が提供しているものそのものだ。

潤滑剤製造、エレクトロニクス製造、造船など、どのような業界であれ、より幅広い選択肢に対する認知度と関心を高めることは、人々を適切な職種につなげるための重要な足がかりとなる。しかし、真の解決の鍵は、若者やキャリアチェンジを検討している人々が、2年先、3年先、あるいは5年先の可能性を見通せるよう支援することにあるだろう。キャリアパスは最初の就職で終わるものではない。若者たちに必要なのは、最初の給与明細だけでなく、その後に続くキャリアの軌道全体において何を期待できるかという指針なのだ。

(forbes.com 原文)

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