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ロールモデル、可視化――凹凸を強い武器にするためにできること【宇宙脳は未来をひらく鍵になるか】#後編

実は、著名な起業家やアーティスト、アスリートにも、発達障害のある人たちと重なる脳・神経の特性をもつ人が少なくないという。彼らはその発達特性ゆえに生きづらさを抱えながらも、新たな視点や発想を生み出し、イノベーションの原動力になることがある。

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本連載では、こうした常識の枠を越えた認知の特性と、それに伴う生きづらさを併せもつ人々を、「宇宙脳」と定義。さまざまな業界で活躍する宇宙脳の人々を取材し、その思考プロセスや人生の軌跡を紐解きながら、これからの時代に必要とされる新たな知のあり方を提示していく。

前回は、本連載でインタビュアーを務め、発達障害の当事者でもあるissue + design代表・筧 裕介氏に、子どもの頃に抱えてきた息苦しさや、その背景となった日本の教育制度の課題などについて、Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香が迫った。

今回は、発達特性をどのように強みへ変換するのか。筧氏の博報堂時代の実体験や、そのために発達障害の当事者や周囲が手にしておきたい情報、そして同社による発達特性を可視化する新たな試み、「8つの知能インデックス」について聞いた。

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クリエイティビティは鍛えられる━━発達特性を強みに

谷本:筧さんは認知症や防災、育児、まちづくりなど、世の中のさまざまな課題をデザインで解決していらっしゃいます。発達障害の当事者である筧さんが、その創造性を開花させた過程を伺えますか。

筧:新卒で入社したのが、大手広告会社の博報堂でした。常に新しい、クリエイティブなものをつくることが必要な部署に配属され、人生で一番大きな壁にぶち当たりました。

それまでの私は、物事を理詰めで考え、正解を見つけることが得意だったんです。データを分析して、論理的に戦略を立てる。左脳的なアプローチを強みとしていました。しかし、そこでの業務ではゼロイチを求められることが多く、正解がない状況でした。

そのため全然パフォーマンスを発揮できず、企画を出しては当時の直属の上司から「つまらない」と言われ、突き返されていました。そして来る日も来る日もダメ出しを受け続け、ゼロからクリエイティビティを鍛えていきました。するとある時、「おもしろい」とは人とは違う視点、新しい着眼点なんだと気づいたんです。そうした視点でアイデアを考え、言葉やビジュアルにし続けていく中で、次第にクリエイティビティが高まっていったんです。だから私は、クリエイティビティは生まれつきの才能だけではないと思っています。

ただ、私のようにADHD(注意欠如・多動症)の発達障害がある人は、その特性によって、意識がさまざまなところへ飛びやすく、多くの情報を取り込もうとする傾向があります。イノベーションとは、異なる情報や経験を掛け合わせて新しい発想を生み出し、それを社会に実装して新たな価値を生み出すことです。そういう意味では発達特性が、イノベーションの実現に大いに役立つ可能性があります。私自身、新卒で入社してから数年間ひたすらアイデアを出し続けるトレーニングを重ねる中で、そうした特性を強みに変えながら、少しずつ発想力を高めてきた実感があります。

また、新しい事業を立ち上げ、それを成功させられるビジネスリーダーたちを見ていると、その実行力や粘り強さは並外れていると感じます。おもしろいアイデアを思いつくだけではなく、それを形にして世の中に送り出し、事業として広げていくためには、ものすごい集中力と持続力が必要です。

発達障害の特性として語られることのある「こだわり」や「過集中」は、時にそうした場面で大きな力になることがあります。失敗してもめげず、周囲から批判されても簡単には諦めない。中には、そうした粘り強さによって、大きな成果を生み出す人もいるようです。

次ページ > 創造の出発点は「言葉のデッサン」

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