企業の潜在能力を企業合併を通じて引き出してきた「M&Aの旗手」安藤智之が、M&Aを活用して成長する上場企業、「ストロングバイヤー」をピックアップ、株価のついている企業とそうでない企業の差を分析、さらにすべての経営者・投資家たちのために、M&A専門家ならではの目線で「この会社はM&A戦略がうまい!! 今市場から評価されるポイントはこれだ」を丁寧に解説する。
売る側、買う側、仲介者。3者を経験して思うのは━━
『これから時価総額が伸びる企業を、事前に見つけることができれば——』
投資家であれば、誰もが一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。もちろん未来を正確に予測などできないし、そんな都合の良い情報が簡単に手に入るわけでもありません。
ただし、まったく手掛かりがないわけでもないのです。
私はこれまで、M&A仲介者として多くの企業の譲渡・譲受に携わり、自ら会社を譲渡する側にも立ってきました。現在は譲受企業(以下「買い手」という)の立場からもM&Aを考えています。
売る側、買う側、そしてその間に立つ仲介者。三つの立場から見てきて感じるのは、M&Aを経営戦略の中心に据え、企業価値を伸ばす会社には共通点があるということです。
IPOしたばかりで「ストロングバイヤーになり得る兆候」を見つけられるか
前回は、ストロングバイヤーを「M&Aの投資利回りを大きく毀損することなく、年間のM&A投下額を継続的に増やせる企業」と定義しました。
では、まだIPOしたばかりの段階で、ストロングバイヤーになり得る兆候を見つけることは可能なのでしょうか。
上場企業のIRを見れば、『M&Aによって非連続な成長を実現する』『今後3年間で○億円を投資する』といった言葉は珍しくありません。しかし、「M&Aをすると言っている会社」と「実際に何社もの企業をグループに迎え、利益を積み上げる会社」は同じではないのです。
投資家として知りたいのは、数年後に『やはりM&Aが上手かった』と説明することではなく、まだ結果が出ていない段階で、『この会社は他と何かが違う』ƒと気付くことです。
今回は、M&A仲介の現場で見てきた「譲り受けたい会社」と「売主から選ばれる会社」の違いから、その手掛かりを考えてみたいと思います。



