頭文字からFANG株と呼ばれる、これらの銘柄は全体的には低調だった2015年で最大の勝ち組だった。しかしウォール街のストック・ウォッチャーらは、この動きも2016年には終焉を迎えると警告する。
Fundstrat社のトム・リー氏は、FANG株のめざましいパフォーマンス自体がそもそも普通ではなかったと述べている。
過去10年間においてS&P500の上位10銘柄は、株価指数の下位10銘柄の損失と同じだけ利益を出す傾向があった、とリー氏は指摘する。しかし、2015年はそうした相殺が起こらず、上位10銘柄は下位10銘柄を150ベーシスポイント上回っている。FANG株は2016年に同様のアウトパフォーマンスを継続する可能性が低いと同氏は見ている。
Fundstrat社は、来年にかけてS&P500のなかの上位10銘柄は平均290ベーシスポイント下回るとして、FANG株の大幅上昇の終焉を予測する。「率直に言えば、過去の事例からFANG株は2015年に空売りするほうが良いと言えます」
リー氏の提案の信憑性を高める近年の事例がある。FANG株の2銘柄であるアマゾンとグーグルは2014年のS&Pの下位10銘柄に入っていた。一方でバークシャー・ハサウェイやユニオン・パシフィックらは、昨年の株価指数に最大級の寄与をしたが、一転して今年は沈み込んでいる。
これらを踏まえて、リー氏は2016年に下位から上位へと上昇する9銘柄を挙げる。National Oilwell Varco、Conoco Phillips、シェブロン、エクソンモービルといった石油・天然ガス関連が多い。小売のウォルマート、ハイテク株のHP IncとIBM、消費財のプロクター・アンド・ギャンブル、そして機械大手のCaterpillarも上昇が期待できる。
こうした銘柄は奇妙に見えるかもしれないが、同様の指摘をするアナリストはリー氏だけではない。
ジェフリーズ社のショーン・ダービー氏もまた「フェイスブックやアマゾンは業績を維持するかもしれないが、市場のメカニズムから考えると株価は下落する」と述べている。
ダービー氏は「FANGの業績の悪化が原因ではなく、これまで見捨てられてきた銘柄の評価が相対的に上昇することで、この現象が起きる」という。
ハイテクのスター株が下落するとその株価に懐疑的だった投資家らは「それ見たことか」と言うだろう。しかし、ダービー氏もリー氏も、市場をリードする銘柄が変わっても、それが市場全体の下落を伴うとは考えていない。
「2015年の株式相場は主にグロース株によって上昇した」とリー氏は指摘し、来年はそれと反対の現象が起こると予測する。差し迫った利上げと鈍化する世界経済を背景に、グロース株に投資することは自然とも言えるが、来年はその流れが変わりそうだ。
「2016年にFANG株が値を下げれば、これまで逆風にさらされたバリュー株が上昇するだろう」と同氏は予測する。