創業当時の会社のことを思い出してほしい。誰もが同じ会話を耳にし、質問にはすぐに答えが返り、創業者は社内で起きていることのほぼすべてを把握していた。まるで食卓を囲む家族のような感覚だった。
しかし、会社が成長するにつれて、創業者が率いるのは家族のような集まりではなくなる。代わりに、コミュニケーションが分散し、インフラが重要となる「都市」のような組織へと変貌を遂げるのだ。
企業のこうした成長痛は、従業員数が50人に近づく頃に強まることが多い。リーダーが最初に気づくのは、より煩雑になったコンプライアンス(法令順守)上の課題かもしれない。しかし成長は、コミュニケーションやマネジメントからリーダーの意思決定に至るまで、あらゆる面で異なるアプローチを求める。
チームが「組織」に変わるとき
小規模企業や成長企業と10年間関わってきた中で、組織がこの段階に近づくにつれて、重要な転換が起きるのを目にしてきた。
規模の小さい企業は、創業者の目配り、会話の共有、個人的な人間関係、組織内の暗黙知によって運営されることが多い。これは組織というよりも、チームの運営に近い。しかし、従業員数が増えるにつれて、個人的な親密さに代わって「構造(ストラクチャー)」が徐々に必要になっていく。
従業員がほんの少し増えただけでも、管理職の役割、報告関係、コミュニケーション経路はそれ以上に拡大せざるを得なくなる。正式な部門がない状態から複数の部門が新設され、創業者による直接の管理から、何層ものマネジメントレイヤー(階層)へと移行することもある。
新たな従業員が1人加わるたびに、関係性、依存関係、意思決定、そして情報が遅れたり誤解されたりする機会が増える。こうした企業の成長痛は、単に管理する人数が増えた結果ではない。リーダーが、はるかに複雑な組織を管理し始めることで生じるのだ。
「すべてを自分で処理する」ことの限界
最近、人事機能の一部または全部のアウトソーシングを検討している、成長途上の小規模企業のリーダーたちと交わした会話を振り返ってみた。そこで気づいたのは、リーダーが「人事上の問題」と表現する事象の多くは、実は「組織の運営方法が、ビジネスの成長スピードに追いついていない」ことを示すサインである、ということだ。
私が注意を払うようになった言葉の一つに、「私が自分で処理する」というものがある。
企業の初期段階では、創業者は全員をよく知っており、緊密に連携している。あらゆる承認、人事上の質問、デリケートな話し合いにおいて、創業者が窓口として機能することができる。これは、規模が小さい時期に迅速に動くための強みとなり得る。
しかし、企業が成長するにつれて、この強みが危険信号へと変化していくのを私は見てきた。あまりにも多くのプロセスが「オーナーに聞いて」で終わるようになると、従業員を増やして組織全体の能力を高めているつもりでも、結局は同じ意思決定者の負担を増やすだけになってしまう。
成長には、1人の判断や都合に頼るのではなく、組織としての能力を構築することが求められる。そして、当初のプロセスが変わらなければ、それはやがて組織最大のボトルネックになってしまうのだ。
成長痛を示すリーダーシップの変化
従業員50人前後になると、以下のようなリーダーシップ上の変化が、企業の非公式な運営方法がもはや拡張できないことを示すサインになることが多い。
1. 意図的なコミュニケーションが不可欠になる
廊下での非公式な立ち話は、実質的なコミュニケーションシステムに置き換えなければならない。これには、管理職会議、体系的なオンボーディング、明確に示された期待事項、パフォーマンス上の問題の記録、継続的なフィードバックに支えられた正式な評価プロセスなどが含まれる。
2. 一貫性が極めて重要になる
規模が小さいときは、管理職がそれぞれ異なる方法で採用、パフォーマンス管理、有給休暇(PTO)の申請、コーチングを処理していても、大きな問題にはならない。しかし成長期においては、個々のマネージャーの即興に任せる組織よりも、構造や管理上の決定に一貫性を持たせている企業の方が優位に立つ。
3. 非公式な仕組みが限界に達する
「これまでずっとこの方法でやってきた」「覚えておくから大丈夫」「社内規定なんて必要なかった」といった言葉に頼るやり方は、もはや通用しない。組織が成長するにつれて、個人の記憶(暗黙知)よりも、再現性のあるシステム(仕組み)の方が価値を持つようになる。
コンプライアンスが突如として重荷になる理由
組織が複雑化するにつれて、コンプライアンスも同様に重荷に感じられるようになるのは当然のことだ。実際、コンプライアンスは企業の成長痛が最初に表面化する領域の一つであることが多い。
従業員が増えれば、文書管理、休暇管理、福利厚生管理、その他の人事責任も増える。一部の雇用関連法は、従業員数が特定の基準に達した時点で、追加の報告義務、適用対象、または管理上の義務を生じさせる。また、コンプライアンスが複雑に感じられるのは、成長に伴って増大する複雑性を一貫して管理できる「システム」の存在が不可欠になるからでもある。
持続的な成長に対応できる組織づくり
従業員50人に近づいている企業、またはすでにその規模で運営している企業は、以下の能力を意図的に構築できるし、そうすべきである。
• 人材面:体系的なオンボーディング、継続的なパフォーマンスフィードバック、管理職の育成、期待事項の明確な伝達のためのプロセスを導入する。
• 業務面:人事と給与計算のプロセスを統合し、一貫した管理ワークフローを確立し、信頼性の高いテクノロジーシステムを維持する。
成長企業のリーダーは、権限委譲を習得し、管理職に説明責任を持たせ、自身の個人的な意見に依存しない意思決定の枠組みに頼らなければならない。また、定期的なチェックイン、共有された期待事項、どの管理職が担当していても一貫した従業員体験によって、強い企業文化を築くべきである。
成長がリーダーの仕事を変える理由
成長する都市が家族の食卓のように機能するとは誰も期待しない。都市にはインフラ、サービス、計画、リーダーシップ、そして分散しながらも一貫したコミュニケーションが必要だ。成長する組織にも同じことが求められる。
従業員数50人の節目において、最も重要な変化は、ビジネスがリーダーに求める役割そのものだ。リーダーはもはや、小さなチームを率いているだけの存在ではない。私の経験上、自身の役割が根本的に変わったことを認識し、成長を支える構造を自ら進んで構築することで対応できるリーダーこそが、次のステップに向けて躍進する準備ができた、繁栄する組織を育て上げることができるのだ。



