長年にわたり、AIブームは資金が常に容易に調達できるという前提の上に成り立ってきた。低コストの債務、無限とも思えるプライベートクレジット、あるいは利益を確定して、さらに数十億ドルを調達するためのIPO(新規公開株式)の機会などを通じてだ。
しかし、AI競争の現実がより明確になるにつれ、その前提はあらゆる資金源において厳しく検証されつつある。AI企業のオフバランスシートの隠れた債務が、2008年以前のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場におけるネットエクスポージャーを上回っている現状において、投資家はこう問わざるを得ない。「賢い投資家は、いつになったら資金を浪費する事業への投資をやめるのだろうか?」と。
もしその答えが「近い将来」であれば、投資家はAIへの投資を継続するための新たな資金が得られないことによる影響に備えなければならない。
下振れリスク:S&P 500に20%の打撃
AI関連の流動性が枯渇すれば(その兆候はすでにある)、S&P 500には大きな下振れリスク、すなわち20%の下落リスクがあると私は見ている。その大部分はAI関連銘柄のバリュエーションに集中するだろう。このリスクをどのように数値化するか。
まずは、1兆4000億ドル(約220兆円)の隠れた期待利益から始める(詳細は『最重要監視リスト:最悪のAI利益操作企業』を参照)。AI企業がその期待の50%、つまり7000億ドル(約110兆円)を達成すると仮定する。これにS&P 500の予想株価収益率(PER)である21倍を掛けると、失われた隠れた期待利益の価値である14兆7000億ドル(約2310兆円)が導き出される。これはS&P 500の総時価総額の約21%、そしてAI大手15社の時価総額の約45%に相当する。AI投資に対する経済的リターンが最終的に高くなれば下振れ幅は小さくなり、その逆もまた然りである。
なぜワシントンはAIを救済しないのか
世界金融危機や新型コロナウイルス危機とは異なり、政府による救済措置は解決策にならない。最近の米国債売りが示すように、米国政府は歳出余地をおおむね使い切っている。仮に政府が債券投資家から良好な信任を得ていたとしても、未達に終わる7000億ドル(約110兆円)から1兆4000億ドル(約220兆円)に上るAI関連利益の穴を埋める手段はないと私は考える。
流動性後退を示す、増え続ける警告サイン
後から振り返れば、大規模な流動性逼迫が始まった瞬間を特定するのは容易だ。しかし、その瞬間をリアルタイムで予測することははるかに難しい。市場がいつ資金を引き揚げるかを正確に予測するつもりはない。しかし、市場全体で十分な数の小さな流動性逼迫が発生しているのを見て、流動性の潮目が変わり、引き始めていると確信している。ウォーレン・バフェットが言うように、「誰が水着を着て泳いでいるか」が明らかになるのもそう遠いことではないだろう。それまでの間、AI取引のリスクとリターンのバランスが変化したと考えており、投資家は今、利益を確定させるべきかもしれない。



