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2026.10.09 18:00

巧妙な言い訳と仕返し、「悪意ある創造性」を持つ人の3つの兆候

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多くの人は、創造性をポジティブな資質と考えている。私たちは創造性を芸術や発明と結びつける傾向があり、懸念すべき行動の兆候として捉えることは滅多にない。創造性を研究する心理学者たちは、その影の部分にも注目しつつある。独創的なアイデアを思いつく能力に、善悪の感覚は備わっていない。人はその能力を誰かを助けるために使うこともできれば、誰かを欺いたり傷つけたりするためにも使える。

研究者はこれを「ダーク・クリエイティビティ(闇の創造性)」と呼んでいる。特に、他人を傷つけることを目的とする場合は、「悪意ある創造性(Malevolent Creativity)」という言葉を使う。

日常生活におけるダーク・クリエイティビティは多くの場合、ごくありふれたものだ。何か大掛かりなこととしてではなく、巧妙に練られた言い訳や、誰かにひそかに仕返しをするといった形で現れる傾向がある。以下の兆候は、大規模な集団を研究した際に研究者が見いだしたパターンに基づいている。こうした兆候は、ダーク・クリエイティビティの行動を理解する助けにはなるが、身近な人を診断したりレッテルを貼ったりするためのツールではない。

兆候1:「自分は例外」とする巧妙な正当化を用意している

ほとんどの人はたまにルールを破り、その後に少し後ろめたさを感じるものだ。ただし、ダーク・クリエイティビティの傾向がある人には1つ大きな違いがある。ルールを破ったとき、なぜそれが許される行為だったのかについて、思慮深くて説得力のある説明を用意しているのだ。

たとえば、経費を水増し申請する同僚を想像してほしい。そのことを尋ねられると、その人は「会社は何年も自分に十分な給料を払ってこなかったのだから、これは正当な埋め合わせだ」と説明する。その説明は単純な嘘ではない。ある程度考え抜いて作られたストーリーであり、多くの場合、本人もそれを信じている。

これは「道徳的離脱(Moral Disengagement)」と呼ばれる。人は、自分の中にあるモラルに反する行動をとろうとするとき、通常であれば生じるはずの内なる罪悪感をさまざまな方法で抑え込む。有害な行為であっても、自分の中で「正当な理由がある」とすり替えるのが、その典型的なやり方だ。

学術誌『Social Behavior and Personality』に2024年に掲載された研究では、道徳的離脱は悪意ある創造性を予測する最も強力な要因の1つであることが明らかにされている。創造的な人がこれを得意とするのは理にかなっている。自分の行動には問題はないという視点を含め、柔軟な思考は状況を多角的に捉えるのに役立つからだ。

これは適切に理解しておく必要がある。巧妙な言い訳を一度しただけでは、その人の本質はほとんど何もわからない。研究者たちが注目しているのは、長期にわたって繰り返される傾向だ。

兆候2:「不当な扱いを受けた」ときに悪知恵が働く

その人の創造性が最も活発になるタイミングに注目すると本質が見えてくることがある。多くの人の場合、創造性が活発になるのは、好奇心を抱いているときや楽しんでいるときだ。一方、より「ダーク」な創造性を持つ人の場合、傷つけられた後であることが多い。

このパターンは実験室での研究で繰り返し示されている。学術誌『Frontiers in Psychology』に2026年に掲載された研究では、仲間外れにされた、あるいは不公平に扱われたと感じることが、仕返しをするためのアイデアの増加、さらにはそのアイデアの独創性の高さと関連していることがわかった。

心理学者のハンシカ・カプールとジェームズ・C・カウフマンが提唱したダーク・クリエイティビティのAMORALモデルでは、ダーク・クリエイティビティは個人の傾向と、その人が置かれた状況との組み合わせから生じると説明されている。これは、ほとんどの人が傷つけられた後には、このような衝動を感じる可能性があるということでもある。そうした衝動を抱くことは珍しくない。重要なのはその衝動をどう扱うかだ。

たとえば、2人の人物がグループの夕食会に招待されなかったとしよう。1人は、その晩なぜ招待されなかったのか、もしかすると自分とは何の関係もない単なる手違いだったのかもしれない、などと考える。もう1人は、次にそのグループの人たちに会ったときに、相手を傷つけつつ簡単には反論できないような言葉を練り続ける。

心理学者は、前者のような思考スキルを「再評価の独創性(creativity in reappraisal)」と呼んでいる。これは、辛い状況を新しい視点で見つめ直し、その痛みを和らげる能力のことだ。2人とも同じ出来事について創意工夫して考えている。ただ、その能力は異なる目的のために使われている。

兆候3:巧妙なアイデアが、他人の犠牲の上に成り立つ

3つ目の兆候は、最終的に誰がその代償を払うのか、という点に関係している。ダーク・クリエイティビティを持つ人の計画が成功すると、多くの場合、誰かが不利益を被る。同僚が自分の仕事の功績を奪われることもあれば、友人が「少しやりすぎ」な冗談の標的になったりすることもある。

この研究から得られる有益な視点の1つに、「ダーク・クリエイティビティ(悪意ある創造性)には、ほぼ必ず『標的(ターゲット)』が存在する」というものがある。通常の創造性であれば、特定の課題や白いキャンバスに向かって発揮されるが、ダーク・クリエイティビティの場合は、その影響を受ける誰かがいる。そのため、誰かが巧妙なアイデア(悪知恵)を繰り出していることに気づいたら、「誰がその代償を払っているのか?」とシンプルに分析してみるといい。もしその矛先がいつも特定の人物に向けられているなら、それは単なる偶然の出来事ではなく、巧妙なアイデアを繰り出し続けるその人物の本質を雄弁に物語っているといえる。

学術誌『Scientific Reports』に2025年に掲載された研究では、この傾向が共感性の低さと関連づけられている。また、他の研究ではこの傾向を「ダークトライアド(邪悪な3つの性格特性)」、つまり他人を操る傾向や、他者への配慮の欠如と関連する性格特性と結びつけている。研究ではこうした特性は、一般の人々を対象とした尺度で測定される。誰もがこうした尺度のどこかに位置しており、スコアが高いからといって臨床的な診断が下されるわけではない。いくつかの観察に基づいて誰かをサイコパスと呼ぶことは、研究の仕組みを誤解していることになる。

3つの兆候の共通点

創造性自体は中立的なものだ。脳画像を用いた研究では、有益なアイデアと有害なアイデアは全く同じではないものの、重なり合う精神的なプロセスが使われていることが示唆されている。その方向性を左右するのは共感と、不満に駆られて行動を起こす前に冷静になる能力だ。

これらの調査結果は、大規模な集団における平均的な傾向を示すものであり、個人に関する結論ではない。創造的な人の大半が何かを企んでいるわけではなく、共感性や社会的支援といった保護要因はこうした傾向を弱めるようだ。より有益な気づきは、自分が傷ついたときに自分の想像力が向かう先に気づくことかもしれない。

(forbes.com 原文)

翻訳=溝口慈子

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