サイエンス

2026.10.05 17:30

パクチーに「石鹸やカメムシ」を感じるのは5人に1人、その遺伝子メカニズム

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料理に入っているパクチー(コリアンダー、香菜とも)の葉を一つひとつ取り除く人を見かけると、「好き嫌いが激しい人なんだな」という印象を持つかもしれない。だが、実はこれは好き嫌いの問題ではないことが多い。

こうした行動をとる人の嗅覚は、多くの人とは違うメカニズムで動いている。その仕組みはごく一般的な生物学の理論で説明できるものだ。

2012年に学術誌『Flavour』に掲載された、1600人以上の若者を対象にした研究によると、調査対象のうち「パクチーが嫌い」と答えた人の割合は、その人の出自によって3%から21%までの大きな開きがあった。この調査で最も高い21%(約5人に1人)という数字は、東アジアにルーツを持つ参加者において記録されたものだ。

一方、「嫌い」と答えた人の割合が最も低かったのは、中東や中南米、南アジアにルーツを持つ人たちだった。これらは、料理にパクチーが最も多く使われている地域でもあり、因果関係を解き明かすのを難しくしている。「パクチーを苦手としない人たちが料理に入れるようになった」とも考えられるし、「子どものころから食べているから、においが気にならなくなった」とも考えられるからだ。

なお、この調査では、パクチーを「石鹸のように感じるか」ではなく、「嫌いかどうか」を尋ねている。この2つの設問は関連しあっているが、同じことを尋ねているわけではない。興味深いのは、「石鹸のような」という表現が、決して誇張ではない点だ。実際、これは化学的な反応をかなり正確に表現している。

パクチーの葉に含まれる成分

パクチーの葉には、アルデヒドが高濃度で含まれている。アルデヒドは揮発性の高い、小さな分子からなる化合物で、パクチーのにおいのほとんどはこの成分によるものだ。

2005年に『Journal of Separation Science』誌に掲載された研究では、気化しやすい化合物の同定・定量に用いられる機器「ガスクロマトグラフィー」による計測と、人の嗅覚で実際に確かめたにおいの評価の連携により、パクチー特有の芳香を定義する化合物を突き止めようとした。

その結果、パクチーの葉特有のにおいは、その多くがアルデヒドの一種である「(E)-2-アルケナール類」によるものだということがわかった(その代表的なものには、カメムシのにおい成分の一部としても有名な「(E)-2-ヘキセナール」がある)。

フレーバー(香りと味を合わせた感覚)の化学に関する文献では、抽出された(E)-2-アルケナール化合物を描写する言葉は一定している。「脂臭い(酸化した油のにおい)」「刺激的」「石鹸に似ている」の3つだ。

これは、特に奇をてらった表現ではない。類似のアルデヒドは、本当に石鹸やローションで発生する。なぜなら、これらの製品の主原料となる脂肪は、時間の経過とともに分解され、こうした化合物に変わっていくからだ。つまり、古い石鹸のにおいと、パクチーのにおいのあいだには、実際に共通するものがあるのだ。

つまり、パクチーを口にする人は誰もが、石鹸と類似した化学構造を持つ成分を口にしていることになる。そうなると問題は、「なぜ一部の人が気づくのか?」という点ではなく、むしろ「なぜこれに気づかない人がいるのか?」ということだ。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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