オーストラリアで最も裕福な人物である大富豪ジーナ・ラインハートの不安定な家族関係に、和解の可能性を示す初めての具体的な兆しが現れた。息子のジョンが大株主であるカナダの探鉱会社をめぐる取引である。
ホワイト・クリフ・ミネラルズは、カナダ最北部の準州ヌナブトで、有望な銅鉱床を発見したとみられる。
ラインハートの息子は、母方の祖父で鉱業の先駆者だった故ラング・ハンコックにちなみ、姓をハンコックに変更した人物で、ホワイト・クリフの初期投資家だった。約5%と報じられる持ち分を積み上げた後、同社の取締役に就任した。
その母は、ホワイト・クリフに600万ドル(約9億4300万円)(880万豪ドル)を出資して13.5%の権益を取得し、息子の持ち株比率を上回った。同社は最近、港町クグルクトゥク近郊のレイ・プロジェクトでの掘削から、有望な銅の分析結果を報告している。
世界クラスの分析結果
最近の最良の掘削区間は295フィート(90.4メートル)で、銅品位は世界クラスの4%だった。ラインハートが注入する資金は、掘削計画の加速に充てられる。
ラインハートとハンコックがそれぞれ株式を保有する企業は、ホワイト・クリフ・ミネラルズのほかにもある。ドイツを中心にリチウムおよび地熱エネルギー開発を手がけるバルカン・エナジー・リソーシズである。
ホワイト・クリフをめぐる共通の関心、とりわけ同社が特別株式発行を通じたラインハートの投資を公表したことは、両者の関係の緊張が和らぎつつある兆しといえる。この発行には、ハンコックを含む全取締役の承認が必要だったはずだ。
家族間の確執
ラング・ハンコックの遺産をめぐる争いは、長年にわたる家族間の確執と複数の訴訟を引き起こし、いまだ完全には決着していない。
一族の資産の大半を支配するラインハートの資産額は254億ドル(約3兆9900億円)と推定されている。オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー紙によると、ハンコックの資産は25億豪ドル(17億5000万ドル(約2750億円))と評価されている。
一族の富の基盤は鉄鉱石だが、製鉄原料である同鉱物への需要が減少するなか、他のコモディティがより重要な役割を果たし始めている。
ラインハートはリチウムやレアアースに投資しているほか、オーストラリア最大級の民間石油・ガス事業の一つも所有している。
ラインハートもハンコックも、長年の争いが終わりに近づいているとは公には述べていない。しかし、ラインハートがハンコックを追うようにホワイト・クリフに投資したこと、そして両者がバルカンに共通の関心を持っていることは、関係改善の兆しである。
今年前半に72歳になったラインハートは、広範な一族事業を率いる後継者を選ぶ前に、和解を模索している可能性が高い。



