OpenAIのChatGPTが広めたチャットボットの進化形であるAIエージェントが今年、一気に台頭し、次なるAI成長の波を牽引している。
AIの急成長とエージェントの登場は、イーロン・マスクらが次の暗号資産市場のブームに向けて静かに準備を進めているタイミングと重なる。
そんな中、ウォール街で注目される経済学者が、AIによって引き起こされる取り付け騒ぎが金融混乱を招く可能性があると警告した。
米資産運用大手アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロックによれば、Metaの「Muse」やイーロン・マスク率いるスペースXAIの「Grok Bot」といったAIエージェントが、家計の現金を全米平均0.1%の利回りの預金口座から3%〜5%の利回りを提供する口座へと一斉に移動させることで、銀行が依存している低コスト預金の大部分を失い、取り付け騒ぎを引き起こす可能性があるという。
暗号資産や、利息に似た利回りを支払うステーブルコイン預金が銀行預金にどのような影響を及ぼすかをめぐる懸念は、「クラリティ法案」として知られる暗号資産市場構造法案が今月上旬に米連邦議会を通過する上で最大の障害の1つとなっていた。
銀行業界はクラリティ法案への賛成投票に強く反対し、警告を発してきた。ステーブルコインの報酬や利回りに関する規定が、資金を暗号資産プラットフォームへ移す動きを促し、伝統的な銀行預金を流出させる懸念があったからだ。米独立系コミュニティ銀行協会(ICBA)は、伝統的なコミュニティバンクから最大1兆3000億ドル(約205兆円)が流出し、融資能力を損ない、金融危機を引き起こす可能性があると予測している。
「もしすべての家計がAIエージェントを使って現金残高のリターンを最適化すれば、銀行は融資の原資として依存している低コスト預金の大部分を失う可能性があり、それは金融システム全体にとって問題となる」とスロックは記し、Revolut、SoFi、Varo、LendingClub、Wealthfrontなどを例として挙げた。



