重要なお知らせ 「Forbes」の名称を使用した営業活動にご注意ください

サイエンス

2026.10.07 18:00

衛星データがサメの移動ルートと生息環境を可視化、「シースケープ」が解明する海の生態系

stock.adobe.com

stock.adobe.com

宇宙から北大西洋を見下ろす場面を想像してほしい。一面の海であり、森や山は存在せず、生息環境をはっきりと分ける境界線が引かれているわけでもない。大陸沿いの浅い海域から外洋まで、青い水面が果てしなく広がっているだけだ。

しかし、もし人間が海で暮らす生物たちと同じように海を見ることができたなら、まったく違った地図が完成するはずだ。そして、そうした目に見えない海の景観をどうすれば可視化できるか、科学者がその方法を解明しつつある。

2026年7月に『Landscape Ecology』に掲載された研究は、海洋生物の82個体(ヨシキリザメ28匹、オサガメ26匹、ナガスクジラ28頭)を衛星で追跡したデータをもとに、一つの単純な問いを立てた。「海の生き物は、特定の海洋環境を自分で選び取っているのか」という問いだ──答えは「イエス」のようだ。

こうした考えを「外洋シースケープ(pelagic Seascapes)」と呼ぶ。つまり、海を個別の測定値(水温や、光合成を担うクロロフィル[葉緑素]の濃度など)の集合体と見るのではなく、複数の物理的特性と生物学的特性を組み合わせ、見分けのつく環境カテゴリーに統合するという考え方だ。こうした特性には、海面温度や塩分濃度、海面高度、海氷、クロロフィルa濃度、海色や蛍光強度を測る指標などが含まれる。

「シースケープ地図」と衛星データの組み合わせ

米海洋大気庁(NOAA)のウェブサイト「コーストウォッチ」は、絶えず変化する外洋の世界地図を作成・無料公開しており、外洋の生息環境を理解する標準的な方法を提供している。

海は一時も止まらない。森は、何十年が経過してもそのままの状態を保ち得るが、海の生息環境は、海流の移動や温度の上下、生物学的な生産性の増減に伴って、変化し、拡大し、形を変えていく。水塊(水温や塩分濃度など性質が似通った海水の塊)は、境目がはっきりせず、境界線は拡散している。しかし、こうした絶えず変化する特性であっても、他と違いのある生態学的な条件を構築することはできる。「この海域は水温が22度である」という表現と、「この海域は温かく栄養に富み、複数の生態学的な条件が重なり合っている」という表現を比較してほしい。後者の方が、海洋生物が実際に体験している世界にずっと近いかもしれない。

次ページ > シースケープが変える海洋保全と予測の未来

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事