日本の高齢化率(65歳以上比率)は2026年現在既に約30%に達しており、将来的に約40%(約5人に2人が高齢者)に達すると予測されている。まさに「超高齢社会の先進国」として未知の領域を進んでいるのだ。だからこそ今、「歳を重ねた人間がどう生きるか」という問いは、社会全体の幸福度を左右する切実なテーマだ。
街中で散見される「ぶつかりおじさん」や職場・コミュニティの「老害」現象のように、加齢に伴い周囲を不機嫌や威圧感で圧迫してしまう社会のままで、私たちは豊かな未来を描けるだろうか。
一方で、筆者が所属するパリの日本人テニスチーム(1986年設立、現在5チーム)で共に活動する梅只泰夫氏(73)の立ち居振る舞いは、それらとは真逆である。
18歳で渡仏し、パリ在住歴50年を超える梅只氏は、テニスの腕前も確かで、設立以来40年にわたりチーム運営に関わり続けてきた「重鎮」だ。いわゆる老害として権威を振りかざしてもおかしくないところだが、実際の姿勢は正反対。若手や新参者が伸び伸びと活動できるよう全体に気を配り、年齢・性別・立場に関わらずフラットに接しながら周囲の尊敬を集めている。
梅只さんは「なぜ理想のシニア」なのか
「シニアとしての理想的な立ち居振る舞い」を体現する梅只氏。なぜそのような振る舞いができるのか、日仏のビジネスや社会を見つめ続けてきた同氏に話を伺うと、日本の常識とは大きく異なる光景が見えてきた。
「フランスでは、年寄りだから威張ることも、逆に年寄りだからと意見を聞かないことも一切ありません。赤ちゃんからお年寄りまで、誰もが一人の対等な人間として扱われるからです」
半世紀以上にわたり現地の暮らしと人々に密着してきた梅只氏の視点から、フランスに「老害」も「ぶつかりおじさん」も存在しない秘密を紐解く。



