企業経営や投資の世界で卓越した成果を残してきたリーダーたちは、何を拠り所に意思決定を重ねてきたのか。本連載では、日本を代表するビジネスリーダーや投資家が人生の指針としてきた「バイブル(座右の書)」に迫る。
今回登場するのは、2005年に元手300万円で投資を始め、24年に累計利益100億円を達成した個人投資家のテスタ氏。独学でトレード技術を磨いたという彼が、自身の投資哲学を確信へと変えた一冊とは。
なぜ勝てるのか、感覚がロジックに変わるまで
この本(『バフェットとソロス 勝利の投資学』)と出合ったのは、投資を始めて4、5年目くらいだったかと思います。当時、数千万円程度の利益は出ていましたが、自分でもなんで勝っているのかわかっていなかった。勝つべくして勝っているのか、たまたま勝っているのか見えてなかったんです。自分のやり方に確信がもてないときに、読みました。
そもそも僕は本が読めないんです。面白そうと思って読み始めても、3ページくらいで眠くなってしまい、ここ10年で最初から最後まで読み通した本もcis(しす・個人投資家)さんの一冊くらい。昔は毎日300本くらいブログを読んでいたし、ネット記事はむしろ読みたい。Xから流れてきた情報や、そこから飛んでニュースメディアの長い記事を読むのは苦じゃないんです。
でも、本となると読めない。それでもこの本は面白かったから読めたんです。(ウォーレン・)バフェットは知っていましたが、(ジョージ・)ソロスのことは知りませんでした。ふたりのやり方はまったく違うんですけど、勝ち続けるために根本では同じことをしている。勝ち続けている人は、例外なく「期待値」を積み重ねているんです。
日ごとに勝ち負けはあっても、月平均で見てプラスに持っていく。これは結果を積み重ねているのではなく、取引ごとの期待値を積み重ねているんです。バフェットもソロスも自分の知識とトレード方法のなかで、最善の期待値を取りにいっています。一回の取引で一喜一憂していたのでは、その判断が正しかったかはわかりません。たとえマイナスで終わっても、期待値があったのであれば次もやるべきなんです。それを自分で理解していないと必ず間違える。
そういう意味でいうと、彼らは一見大きなリスクをとっているように見えて、実はとっていない。これは株をやるうえで重要なことです。とんでもない金額を張るけれども、自分のやっていることを完全に理解していて、理解できないリスクはとってない。つまり、自分が何をしているのか、どこまで損をし得るのか、理解したうえで張っている。
僕は当時すでにデイトレで、負ける日が営業日ベースで月に1、2日程度、20勝2敗といった具合で、毎月収支がプラスになっていました。この本を読んだことで、リスクをとらなければ儲けられないという間違った常識が覆され、ふわふわと思っていたことが言語化された感覚がありました。



