ヘルスケア

2026.09.30 12:30

20秒の音声データで「糖尿病リスクを判定」できる可能性、AIが分析 最新研究

stock.adobe.com

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AIを活用した音声分析により、わずか20秒の音声データから2型糖尿病の血液検査を受けるべき人を特定できる可能性があることが最新の研究で明らかになった。この技術が実用化されれば、スマートフォンや電話を通じた手軽なスクリーニング検査が実現する。

本研究はイタリアのミラノで開催された欧州糖尿病学会(EASD)の年次総会で米国時間9月28日に発表された。研究チームは、英国と米国の2万1129人から収集した6万3283件の音声データを用いてAI音声モデルを訓練した。その後、イソップ寓話を朗読する20秒間の遠隔録音データでテストを行ったところ、2型糖尿病であると自己申告した人の80%に対してAIが高いリスクスコアを判定したという。

ただし、黒人の参加者の録音データではAIの精度が低下した。研究チームは、2型糖尿病を自己申告した黒人の参加者数がそもそも少なかったことに加え、心疾患や高血圧、肥満といった、声に類似の変化をもたらす他の疾患を抱える人が含まれていたことが原因だと推測している。

さらに、自宅でHbA1c(ヘモグロビンA1c)血液検査を受けた801人を対象とした追加テストも実施された。その結果、血液検査で2型糖尿病と判定された人のうち、音声モデルでも高いリスクスコアが示された割合は75%に達した。最終的に2型糖尿病患者の82%を特定できたものの、偽陽性率は47%となった。

同モデルは、HbA1cの検査結果に基づいて、2型糖尿病のリスクを低・中・高の3段階で分類できることも確認されている。

しかし、この技術はあくまでスクリーニングツールとして設計されたものだ。高リスクと判定された患者を優先的に血液検査へ回すスクリーニングとしての活用が期待されるが、実用化にはさらなる臨床評価が必要となる。

人間の音声から糖尿病を検知するというアプローチ自体は、決して新しいものではない。2023年にKlick Labsの研究チームが発表した調査では、267人から収集した1万8000件以上の録音データを分析し、2型糖尿病患者とそうでない人との間で異なる14の音響的特徴を特定していた。

しかし今回の研究は、過去の調査をはるかに上回る規模のデータを使用し、さらに患者の自己申告だけでなく、実際のHbA1c検査の数値を比較対象とした点で大きな意義を持つ。

研究チームによると、英国では2型糖尿病患者の約30%が未診断のまま放置されている。40歳以上を対象とした5年に1度の同国の公的医療保険制度「国民保健サービス(NHS)」の定期健康診断(糖尿病スクリーニングを含む)を受診する成人の数は、対象者全体の約40%にとどまる。また、2024年に発表された別のデータによると、世界の成人糖尿病患者の割合は1990年の7%から2022年には14%(約8億2800万人)へと倍増した。

今回の年次総会で研究成果を発表する医療AI企業Symiaの研究員、ギードレ・チェプカイティテは次のように述べている。「これはスクリーニングの常識を変える可能性を秘めている。音声データは電話やアプリ経由で収集できるため、これまでの手段ではアプローチできなかった健康診断を一度も受けたことがないような層にも血液検査を促すことができる」

(forbes.com原文)

翻訳=江津拓哉

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