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2015.12.17

ビッグデータのビッグな噂

dizain / Shutterstock

ビッグデータは変化し続ける金融市場に多大な影響を与えている。

「ビッグデータ」とは、極めて膨大なデータセット。しかしそれは、処理可能なデータ量を意味するだけにはとどまらず、データ処理速度および処理可能なデータの種類をも意味する。難点は、全データを理解および視覚化しやすい形へと変形させ、確かな情報に基づく決定判断を導き出すこと。

ビッグデータ利用は上昇傾向。International Data Corpによると、ビッグデータ市場は2019年までに年間23%上昇。証券と投資サービス業界、銀行業界がビッグデータ利用率で最速成長を見せる。

ビッグデータが金融業界を変える5つの方向性。

金融世界に蔓延する深いもやのせいで不正行為が把握しにくかった。

米国における金融・経済危機要因国家委員会の2011年報告によると、「透明性の欠如が危機に貢献。市場参加者や企業は、金融機関がリスクの高い抵当資産やその他の損失にさらされていることを知らなかった」。

金融市場のデータが公表されれば、不透明な他業界にも風穴を開けられる。金融データを白日の下にさらすことで取引が促進され、金融市場の成長は助長される。

金融業界における透明性は、証券取引所立会場の具体的現況を追跡し、消費者に対する誤請求や個人情報盗難を監視することで、詐欺やその他不審な活動を発見する際に役立つ。

分析リスク
ビッグデータは、銀行やオンライン金融業者にFICOスコアを上回らせ弁済能力を査定。

オンライン金融業者は、見込み客がローン申し込み用紙を記入する際、嘘の記入がないか覗き見ることができる。テキストデータ分析は、見込みある借用人の借入理由の信憑性を判断できる。

またビッグデータは、顧客の信用調査書や消費性向を数秒で分析し、より迅速な信用調査を可能にするとリスク管理コンサルティング会社Advantage Replyは指摘。

アルゴリズムによる取引
ビッグデータは、アルゴリズム取引に伴い資本市場に参入。

Wall Street Journalは、アルゴリズム取引は急伸しており、2016年の通貨取引総額の約3分の1を占めると報告。

消費者データの利用
銀行はこれまで互いに関連性のない複数の顧客データを別個の「サイロ」に格納してきた。ビッグデータシステムで顧客データを統一化できず、統一データを分析できないとなるとその代償は高くつく。
Capgemini Consultingの報告によると、顧客データを分析している銀行は、それをしていない銀行に対してマーケットシェアにおいて4%リードし、顧客減少を分析している銀行はそれをしていない銀行より12%リード。

変革する文化
ビッグデータが金融業界を変化させている最も具体的且つ重要な局面は文化的変化。

金融業界における開放性の価値に気付き、革新を推奨しなければならない。

要するに、ビッグデータは単なる業界流行用語ではない。それは金融業界の文化を変えるビッグな存在。より開放的で透明性のある業界を目指さなければ、大打撃を受けるであろう結末を金融業界に知らしめようとしているのだ。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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