米連邦住宅金融庁(FHFA)のビル・プルト長官は、ファニーメイ(連邦住宅抵当公庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)について、米国における主要な信用スコアモデルである「FICOクラシック」と「バンテージスコア」の双方を組み合わせた単一の価格体系を導入すると発表した。住宅ローン市場でFICOが長年握ってきた覇権が崩れるとの見方から、米国時間9月29日に同社の株価は約27%急落した。
プルトは前日の28日夜、両機関がこれまで個別に設けていた価格体系を統合し、バンテージスコアとFICOクラシックの双方を組み込んだ単一の体系にすると発表した。これを受け、米東部時間29日午後1時の時点でFICOの株価は27%安で推移している。なお、長官はXへの投稿でこの方針を明らかにしたが、新体系の具体的な導入時期については言及していない。
FHFAはこれに先立つ今月9日、ファニーメイとフレディマックの承認を受けた金融機関が、適格な住宅ローンに「バンテージスコア4.0」を利用する際、事前許可の取得義務を撤廃したと発表していた。
住宅ローン大手のロケット・モーゲージは28日夜、複数の信用スコアモデルを推進する長官の姿勢を歓迎した。同社は4カ月間のテストの結果、バンテージスコア4.0によって「信用スコアリングのコストを削減しつつ、より多くの顧客が審査を通過し、手続きを進められるようになった」と報告。第4四半期から、適格な住宅ローンにおける推奨信用スコアとして同モデルを採用すると発表した。
エクイファックスやエクスペリアンとともにバンテージスコアを開発・共同保有するトランスユニオンは29日、「住宅ローン市場における競争促進とスコア選択の自由化」を支援するため、2028年12月まで住宅ローン向けバンテージスコアの利用料を1件あたり99セント(約156円)に引き下げると発表した。
しかし、一連の発表を受け信用スコア業界全体の株価は下落した。米東部時間29日午後1時の時点で、トランスユニオンは約4.5%安、エクイファックスは約3.5%安、エクスペリアンも約2%安となった。
米国の住宅ローン市場において、FICOは長年にわたり支配的な地位を築いてきた。ファニーメイとフレディマックも歴史的に、ローンの審査や価格設定システムにおいて同社のスコアに依存してきた。しかし今回、すべての貸し手に対してバンテージスコア4.0の利用が承認されたことで、金融機関はFICOに代わる強力な選択肢を得ることになる。今年5月から8月にかけてファニーメイとフレディマックが審査した住宅ローンのうち、すでに約9%で同スコアが利用されていた。
ドナルド・トランプ大統領の指名を受け2025年3月にFHFA長官に就任したプルトは、ファニーメイ、フレディマック、および連邦住宅貸付銀行(FHLB)を監督する任にあたる。プルトは、住宅ローン費用の削減や代替的な信用データへのアクセス拡大、信用報告要件の見直しとともに、信用スコアリング市場における競争の促進を最優先課題に掲げてきた。



