資産運用

2026.10.01 09:45

スーパーの棚から株価を読む──シンガポールに拠点を置くグローバル投資会社 柳翔太の分析術

第2回、第3回のGyoseki大会で優勝し、現在はシンガポールに拠点を置くグローバル投資会社のアナリストととして従事する柳翔太

第2回、第3回のGyoseki大会で優勝し、現在はシンガポールに拠点を置くグローバル投資会社のアナリストととして従事する柳翔太

日本の資本市場が歴史的な転換期を迎え、新NISAによって資産運用がより身近なものとなる中、就活を控えた大学生にとっても、証券業界や資産運用業界への関心が高まっている。しかし、日本は海外に比べ、実践的な金融教育の機会が決定的に不足している。この課題に挑むのが、日本最大級の大学生企業分析コンテスト「Gyoseki Competition(Gyoseki大会)」だ。早稲田大学国際教養学部で経済を学んだ柳翔太は、在学中に第2回、第3回のGyoseki大会で連覇を果たし、シンガポールに拠点を置くグローバル投資会社にアナリストとして入社した。学生時代、スーパーの店頭に足を運ぶ独自の分析にたどり着いた柳に、投資家としての原点と、大会で得た学びについて聞いた。

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──まず、投資に興味をもったきっかけを教えてください。

柳翔太:中学生の頃です。最初は「金融業界で働く人って格好いいな」という程度の関心でした。振り返ると、祖父の影響があったのかもしれません。祖父は個人で様々な資産に投資していて、当時は特に意識していませんでしたが、祖父の話を聞くうちに興味をもつようになったのだと思います。

高校生になると自分でもやってみたくなり、お年玉などを元手にFXや株式の売買を始めました。やっていると、自然と「リターンを出したい」と思うようになる。調べるうちに様々な投資戦略やリサーチの手法があると知り、ゲーム感覚でのめり込んでいきました。本屋で本を買ったり、ネットで調べたりしながらの手探りです。

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大学は付属校からの内部進学で受験がなかったので、空いた時間に好きな英語をひたすら勉強していました。そのうちに、英語で経済や金融を学んでみたいと思うようになり、国際教養学部に進み、経済を専攻しました。大学の投資サークルには入らず、金融の考え方を実践的に学ぶ学外の講座「Identity Academy」に参加しました。その講座の同期に「一緒に出よう」と誘われたのがGyoseki大会でした。

──第2回大会はサントリー食品インターナショナル(現サントリービバレッジ&フード)、第3回大会はカゴメを分析し、連覇しました。どのように分析を進めたのですか。

株式を見るとき、論点は大きく3つあると考えています。その企業は質が高いのか。属する業界は魅力的なのか。そして、それらはすでに株価に織り込まれているのか。これを明らかにすることが、最終的に「買いか売りか」の判断につながります。 

実際には、まず株価を動かしている事業を特定し、その売上高を数量と単価に分解します。さらにドライバーを細分化し、収益を左右するコアな要素が将来どう伸びるかを、競争優位性や業界の成長性、需給などから予測していきます。

両社とも、スーパーなどの店頭で売られる商品が中心です。単価はまだしも、数量の伸びを測るのが難しい。そこで重要なのが、店の棚にどう並べられているかです。チームでスーパーに足を運んで商品の並び方を確かめ、店員さんに「このケチャップとあのケチャップ、どちらが売れますか」と聞き、複数の店で価格を見比べました。

カゴメであれば、トマトを栽培する人、ペーストにする人、ケチャップに加工する人と、サプライチェーンにも様々なプレーヤーがいます。その中でカゴメがどこを押さえているのか。そうしたことを確かめながら、「この会社は面白いのではないか」という結論を導いていきました。 

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文=中居広起

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