気候・環境

2026.09.29 19:48

ネパール大洪水の背景に何があったのか──最新研究が示す新たな知見

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8月下旬、中国とネパールの国境付近で発生した悲惨な雪崩と土石流により、5000人以上が行方不明のままであり、1300人以上が命を落とした。これは歴史上最も壊滅的な自然災害の一つとして記録されることになるだろう。そしてその状況の多くはSNS上で拡散された。災害発生後、気候変動や地滑り、永久凍土の融解、地震、氷河の不安定化など、さまざまな原因説が提示された。そして9月17日、世界の科学者らで構成される共同組織「ワールド・ウェザー・アトリビューション(WWA)」が発表した研究により、この悲劇的な災害の原因に関する新たな知見が明らかになった。

何が起きたのか:経緯の振り返り

標高5150メートルから3750メートルへと、岩石や土砂、氷の塊が崩落した。そこから放出されたエネルギーは非常に大きく、地震として感知されるほどだった。WWAのプレスリリースによると、「氷、岩石、土砂が山肌を急速に流れ落ちる際、摩擦と力学的エネルギーによって氷河の氷の一部が融解し、大量の融解水が生じた可能性が高い」という。

この土石流には、氷河、永久凍土、氷河の下の土壌、そして河川からの水が含まれていたと考えられる。押し寄せた氷、土砂、堆積物、そして水の威力は凄まじく、橋や家屋、農地、その他の人工構造物をことごとく破壊した。これは、自然界の物質や不安定化した地形、そして重力がもたらす凄まじい破壊力を如実に物語っている。不幸なことに、この人道的悲劇は今なお現在進行形で続いている。

なぜ起きたのか:新たな知見

結論はこうだ。「根本的な地質構造が、どこでどのように斜面が崩落するかを決定づけていた一方で、長期的な温暖化や、降水が雪から雨へと変化したことが、氷で満たされた亀裂や岩石と氷の接触面を弱め、水圧を上昇させることで、斜面の安定性を低下させた可能性がある」とWWAのプレスリリースは説明している。この知見は重要である。なぜなら、気候科学者と気候変動懐疑論者の双方が主張してきた内容と合致するからだ。気候変動が、必ずしもこの災害を直接「引き起こした」わけではない。しかし、この言説には「だが」という但し書きがつく。報告書は続けてこう指摘している。「したがって、気候変動は崩壊の根本原因というよりも、もともと存在していた地質学的な脆弱性に対して作用した、不安定化因子として理解するのが最も適切である」

率直に言って、科学者や軍事組織、その他の機関は、何十年も前から気候変動を「脅威の増幅器(脅威マルチプライヤー)」あるいは促進要因として理解してきた。約10年前、筆者は「最も乱用されている問いの終焉:それは気候変動によって引き起こされたのか?」という記事を執筆し、「この災害は気候変動が原因なのか?」という問いがなぜ問題をはらんでいるのかを説明した。筆者は、もっと文脈に即した枠組みが必要だと主張した。気候変動は現代の危機であり、その影響を誇張する必要はない。それ自体で十分に壊滅的なのであり、信頼性を担保するためには適切な枠組みでの議論が必要なのだ。最近でも、筆者はForbes.comの記事で次のように述べた。「今後の分析を待つ必要があるが、気温の上昇や永久凍土の融解、および氷河の崩落が、この悲劇的な災害の要因になったと考えるのは決して無理なことではない」

何ができたのか

ネパールの多くの集落は、河川系統に沿って位置している。長年にわたり、一般的な河川氾濫を警告するための信頼できる早期警戒システムが構築されてきた。しかし不運なことに、今回の洪水は決して典型的なものではなかった。WWAの報告書は次のように指摘している。「今回の災害は、既存の災害リスク軽減対策の想定や予測の限界を超えていた。既存のどのような早期警戒システムも、十分な猶予時間を提供したり、最も大きな被害を受けた地域で見られたような規模の被害を防いだりすることは不可能であり、これは適応の限界を浮き彫りにしている」。地球の「第3の極」と呼ばれるヒマラヤ山脈での温暖化、氷河の質量減少、永久凍土の融解、過去の地震活動による地形の不安定化、そして社会経済的な脆弱性といった複雑な要素が重なり合い、リスクをさらに増幅させている。これは、自然災害への曝露(影響を受ける危険性)、脆弱性の度合い、そして回復力によってリスクが決定されるという典型的な事例である。

2024年、筆者は全米アカデミーズの同僚たちと共同で、2020年から2021年にかけて米国ガルフ沿岸地域(メキシコ湾岸)に影響を与えた複合災害を調査した報告書を執筆した。ネパールの災害は、連鎖的に発生する複合災害(マルチハザード)の典型例である。それは具体的に何を意味するのだろうか。筆者らの委員会は報告書にこう記している。「本研究の目的のために、委員会は『複合災害』を、重複、同時、あるいは連続して発生する破壊的な出来事の結果として定義する。これらは地域社会や地域の社会的、政府的、あるいは環境的な機能を損ない、その地域が回復して不可欠な活動を再開するための能力を低下させるものである」。さらに報告書はこう続ける。「これらの相互に関連する機能が弱まることで、災害復旧期間が阻害され、長期化する。その結果、地域社会は将来の破壊的な出来事から受ける悪影響を、さらに増幅された形で経験しやすくなる」。また、議論の中で筆者らは、一部のコミュニティが「複合災害の影響を受けるリスクを、不釣り合いなほど高く抱えている」ことにも言及した。これこそが、まさに現在のネパールで起きていることであり、今後何年にもわたって続くことなのだ。

この災害の直後、人々がそれぞれの「原因追究」の立場(派閥)に固執する様子を、筆者は関心を持って見ていた。筆者の視点からは、これが複数の寄与因子が絡み合った複合災害であることは明白だった。残念ながら、それが今後の私たちの現実となる。熱波や熱帯低気圧も自然に発生するものだが、私たちは今や、それらの現象を促進・増幅させる要因が存在する世界に生きている。私たちはそれに応じて設計し、適応し、備えをしていく必要がある。

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