メモリー半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)の株価は、約1082ドルで取引されている。満期までおよそ1年のオプション(株式をあらかじめ決めた価格で売買する権利)の価格から逆算すると、1年後の株価は、597ドルから1963ドルの範囲に収まる可能性が高い。その確率は、およそ3分の2である。
非常に大きな幅だ。それでもオプション市場は、マイクロン株の値動きが、これまで実際に見せてきたよりも穏やかになると予想している。また、業績がより安定するという経営陣の主張を支えているのは顧客との供給契約だが、その契約がカバーしているのは、同社のメモリー出荷量の半分に満たない。
オプション市場が見込むマイクロン株の値動きは大きい
株価がこの範囲の下限まで下がれば、マイクロン株の評価額は、いまより約45%減る。上限まで上がれば、約81%増える。株価が1年後に範囲の外で終わる確率も、およそ3分の1(約32%)ある。
ドル建ての絶対額で見ると、この範囲は上下で釣り合っていないように見える。株価はゼロを下回ることはない一方で、上には限りがないからだ。この形そのものは、株価が上下どちらに動くかについて、何も示していない。
同じ範囲でも、投資家によって持つ意味は大きく異なる。過去52週間、株価は約157ドルから約1213ドルの間で動き、いまはその高値を約11%下回る水準にある。安値の近くで買った人は、株価が範囲の下限まで下がったとしても、なお大きな利益を抱えている。高値の近くで買った人は、同じ下限まで下がれば、持ち分の価値がおよそ半分に減る。
ただし、見込まれる値動きはこれまでより小さい
オプション市場は、マイクロン株のボラティリティ(株価の変動の大きさを年率で表した値)を約60%とみている。一方、過去1年間に株価が実際に動いた幅から計算すると、約82%になる。オプションの価格から逆算した前者を「インプライド・ボラティリティ」、実際の値動きから計算した後者を「実現ボラティリティ」と呼ぶ。インプライド・ボラティリティが実現ボラティリティを下回るのは、珍しいことである。つまり市場は、マイクロン株の値動きがこれから落ち着くと予想しているのだ。
業績の先行きが読みやすくなるというマイクロンの主張は、16件の戦略的顧客契約に支えられている。契約期間は通常5年で、2030年末までである。いずれもテイク・オア・ペイ契約(顧客が最低数量を引き取らない場合でも固定代金の支払義務を負う保証契約)で、顧客が買い取る数量を拘束力のある形で約束している。最大規模の契約の多くは、既存製品の上限価格を2026年4〜6月期の市場価格に据え、あわせて契約期間を通じて適用される下限価格を設けている。



