経営・戦略

2026.09.29 10:43

企業の「バリュー」を顧客中心の「行動」に落とし込む方法

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企業のバリュー(行動指針)は、組織が文化を築き、意思決定を行い、日々の業務を運営する上での道標となる。しかし、それらのバリューは、チームメンバーが常に実践できる明確な行動(特に顧客との関わりにおける行動)に翻訳されたときにこそ、より大きな影響力を発揮する。

抽象的な基本理念を日々の行動に落とし込むには、単に会社の姿勢を伝えるだけでは不十分だ。以下では、フォーブス・ビジネス・カウンシル(Forbes Business Council)のメンバーが、リーダーが企業のバリューを従業員にとってより具体的で実践的なものにするための方法を紹介する。

1. 日常の小さな決断にバリューを組み込む

バリューは、日々の小さな決断の中に現れなければならない。例えば、もし「透明性」を重視すると掲げるのであれば、トラブルが発生したときこそ、チームは顧客に対してオープンにコミュニケーションをとるべきだ。優れたバリューとは単なる言葉ではなく、人々が目にし、体験できる行動となるものである。 ── ラケル・ゴメス(Stafi)

2. バリューが意味する「具体的な行動」を定義する

リーダーが企業のバリューを顧客向けの行動に変えるには、それぞれのバリューが実際の行動においてどのような形をとるかを定義する必要がある。例えば、コアバリューが「思いやり」であれば、チームにとって思いやりとは「急かさずに耳を傾けること」「迅速に対応すること」「明確に伝えること」「最後までやり遂げること」を意味すると理解されていなければならない。リーダーはこれらの行動を自ら率先して示し、実践している従業員を評価し、研修やフィードバックを通じて定着させるべきだ。 ── クリスティナ・アラン(EVOLVE Integrative Psychotherapy)

3. 求める行動を自ら手本として示す

バリューは単なるスローガンや壁に貼られた言葉ではない。意思決定のあり方、チームの協力体制、そして顧客への対応に影響を与えるものであるべきだ。リーダーには、そうした行動を手本として示し、明確な期待値を設定し、コーチングやフィードバックを通じて定着させる責任がある。リーダーが「望ましい姿」を一貫して示し続けることで、バリューは文化の一部となり、最終的には顧客が日々のあらゆる接点を通じてその文化を体験することになる。 ── 滝島健吾(Baylor Genetics)

4. バリューと日々の行動指針を切り離す

私たちのバリューは、自分たち自身や一緒に働くすべての人に対して抱く期待値だ。私たちは、日々のあり方を示すもう一つの行動規範として「The Ologie Way」を構築した。そこには「行動を重視する」「こだわりすぎない」「好奇心を持ち続ける」といった項目がある。このように切り離すことで、組織全体にバリューを実践し、全力を尽くし、良い人間であり続け、シンプルに物事を進める余地が生まれる。バリューを生き、行動規範を通じてそれを示していくのだ。 ── フェルナンド・ベルガス=コリア(Ologie)

5. 行動に対する明確な期待値を設定する

採用時には、何を期待しているかだけでなく、それをどのように実行してほしいかについても明確にする必要がある。企業のバリューを反映した行動を定義し、ロールモデルとなる人物を特定し、バリューを損なう行為には迅速に対処する。行動で示すリーダーシップは、スタッフに対する期待値を明確にし、一貫性のある顧客対応を生み出すことにつながる。 ── エリック・ブルックス(Fabeyl)

6. 実際の課題に照らし合わせてバリューを検証する

毎回の全体会議で、私たちは1つのバリューを選び、まずリーダー全員が、それをどのように実践できたか、また個人的にどこを改善できるかを表明することから始める。その後、チームごとに分かれ、その週に取り組んでいる実際の課題にそのバリューを照らし合わせて検証(プレッシャーテスト)する。リーダーが自らの失敗を認める姿を見て育ったチームは、顧客に対するミスに対しても同様に主体性と誠実さを持って対応するため、これが直接的に顧客対応の向上につながる。 ── アビヌール・ドゥル(SewerAI Corp.)

7. バリューをカスタマー・エクスペリエンスに結びつける

企業のバリューは、従業員がそれをカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)と結びつけて考えられるようになったときに現実のものとなる。ヘルスケア分野においては、共感、明確なコミュニケーション、そして信頼を通じて、ケアをより利用しやすく、かつ手頃な価格で提供することを意味する。従業員自身も一人の医療消費者であるため、社内で自社のバリューが体現されているのを目にすることで、顧客とのあらゆる接点において同じバリューをより自然に発揮できるようになる。 ── ポール・シャーキー(UnitedHealthcare)

8. バリューを業務ルールに落とし込む

バリューが単なるスローガンに終わってしまうのは、それが実行されないからだ。そのため、「透明性」を業務ルールに落とし込む必要がある。例えば、サービス障害が発生した際、影響を受けた顧客に対して24時間以内に、編集されていない「事後分析シート(Postmortem Matrix)」を公開することから始めてみよう。ミスが生じた技術的な理由をありのまま共有することをチームに義務づけることは、企業の体面を保つことよりも、徹底した真実を重視していることの証明になる。チームは、リーダー層が透明性を徹底しているのを見ることで、それを自らの手本とするようになる。 ── ヴォレン・ヴルコフ(Enhancv)

9. コラボレーションを通じてバリューを強化する

他人が体現しているのを目にできるバリューこそが、組織に定着するものだ。部門を超えたコラボレーションとは、チーム全体が明確な意図を持って集まり、実際の障害や課題を共同で解決することを意味する。これを透明性、可視性、誠実さ、そして共感を持って行うためのコツは、人々に発言の場を与え、声に出して議論してもらうことだ。人々が手本にするのは、遅すぎるタイミングで評価されたことではなく、その瞬間に称賛された行動である。 ── メロン・フェイン(MULU Corp.)

10. コアバリューごとに具体的な行動を定義する

組織の従業員に、コアバリューに関連する具体的な行動を細分化し、定義させるとよい。そして、それらの具体的な行動を、採用面接、人事評価、表彰など、従業員ライフサイクルのあらゆる段階に組み込むのだ。 ── エルズ・スコニー(Fractional People People)

11. それぞれのバリューを「動詞」に変換する

多くのバリューは「動詞」の段階で失敗する。例えば「誠実さ」という言葉は意図を表すものであり、行動を示すものではない。それぞれのバリューを、目に見える1つの行動に変換しよう。例えば「当事者意識(オーナーシップ)」であれば、「苦情を最初に聞いた者が、顧客を他人に回さずに最後まで対応する」といった具体的な行動に落とし込むことができる。これを日々のブリーフィングで言及し、売上などの業績数値と並べて検証するのだ。人々が日々実践することこそが文化であり、それ以外のものは単なるポスターにすぎない。 ── エッサ・ファキー(Areen Hospitality)

12. バリューを測定可能で再現性のあるものにする

それぞれのバリューを、測定可能で再現性のあるものにすることだ。私たちはバリューをクライアント向けアンケートの質問項目に変換し、赤・黄・緑でスコア化している。これにより、どのバリューが実践されており、どのバリューが単なる願望に留まっているかがフィードバックを通じて明らかになる。また、Slackでの「称賛(kudos)」には特定のバリューのタグを紐づけることで、一般的な褒め言葉ではなく、バリューに基づいた言葉遣いを強化している。さらに、毎月のチームミーティングでは1つのバリューにスポットライトを当て、その月にどう実践したかを問いかけている。バリューを可視化する習慣を築かない限り、それは抽象的なままだ。 ── アーロン・ウォロウィック(Event Garde)

13. 透明性を顧客に対しても実践する

バリューを顧客に実感させたいのであれば、全体会議で語るだけでは不十分だ。チームは、特定の瞬間においてそのバリューに責任を持たなければならない。例えば、Uniqode(ユニコード)では「透明性」を重視すると掲げている。そのため、顧客がQRコードをスキャンし、自分のデータがどう処理されるかを知りたいと考えたときには、透明性を示さなければならない。このような場合、私たちはチームに対し、顧客に開示する情報を減らすのではなく、より多く示すよう指導している。リーダーがこうしたバリューの変換を日々実践して見せることで、バリューは単なるスローガンではなく、実際の行動へと変わっていく。 ── シャラット・ポサラジュ(Uniqode)

14. 継続的な改善の姿勢を示す

AdhereHealthでは、継続的な改善のマインドセットを通じて、バリューを行動に移している。私たちはクライアントのフィードバックに注意深く耳を傾け、チームに投資し、ヘルスケアの進化に合わせて適応している。このアプローチは、従業員に対して「耳を傾け、学び、改善し、クライアントにサービスを提供するより良い方法を見つける」という、日々倣うべき明確な手本を示している。最終的には、これがより強固なパートナーシップの構築に役立ち、より大きな長期的価値と成功をもたらすことにつながる。 ── ケンプトン・プレスリー(AdhereHealth)

15. バリュー主導の行動を評価する

結果だけでなく、プロセスにおける行動を称えよう。顧客対応において、たとえ些細な瞬間であっても、企業のバリューを実践したチームメンバーを評価する。評価された行動はすぐに組織の基準となり、あらゆる顧客対応にバリューが反映される文化が構築される。 ── オリビア・フェロ(SheMed)

16. 内側からバリューを構築する

個人の成長が全体の成功を牽引する環境を育むため、私たちは「生きること、学ぶこと、成長すること」を中心としたバリューを定めた。これらの核となる原則は、いわば「バリューの雪だるま」のように機能する。個人の成長から始まり、外側へと波及して他者に良い影響を与えていくのだ。すべてのバリューは、この進化的な成長プロセスに基づいて拡大し、自らを強化するサイクルへとフィードバックされる。そして、同じ志を持つ人々を引き寄せ、組織を強固なものにしていく。 ── タイネシア・ボイヤー=ロビンソン(CapEQ)

(forbes.com 原文)

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