米国の大学で「文系離れ」が進んでいる。同分野で授与された学士号の数は、過去30年以上で最低の水準に落ち込んでいる。
米芸術科学アカデミーは、2025年に米国の大学で授与された人文学分野の学士号は16万4847件で、1991年以来の最低水準となったと報告した。これは、人文系の学位取得者数が直近の最高値を記録した2012年と比較して、30.4%減少したことになる。
こうした傾向は、学部教育の様相を一変させている。2005年当時、授与された全学士号のうち、人文学の学位が占める割合は15%近くに上っていたが、2025年にはその比率がわずか8.1%にまで低下し、1987年に統計を開始して以来、最低の水準を記録した。
人文学の人気低迷は今後も続くのか?
一般教養の伝統的な柱となってきた科目では、特に急激な減少が見られた。2012~2025年の間に、英語学の学位授与数が43.8%減少したほか、歴史学は40.6%減、英語以外の言語学と文学は50.8%減少した。宗教学に至っては56.3%減と、最大の落ち込みを記録した。
人文学にとって、1つだけ有望な兆しがある。それは、学位授与数の減少速度が近年鈍化していることだ。人文系の学位取得者数は、2021~2023年に12.7%減ったが、2023~2024年にかけては2.1%減と減少幅が縮小し、その翌年にはわずか0.4%の低下にとどまった。
だが、学生の登録状況に関するデータによると、この傾向は一時的なものに過ぎない可能性がある。米芸術科学アカデミーの分析によると、人文学を主専攻とする学生数は、2015年の55万6369人から2025年には39万8589人へと28%減少した。
特に、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)以降、この減少傾向は加速している。2020~2025年にかけて、人文学や一般教養科目を専攻する学生数は17%減少した一方で、経営学や工学、自然科学、健康科学といった分野では、パンデミック期に落ち込んだ学生数が回復した。
このことは、人文系の学生の減少傾向がまだ底を打っていない可能性を示唆している。現在、人文学を専攻する学生が大幅に減少し、学部段階での人材基盤が縮小していることから、将来的に同分野の学位取得者がさらに減る可能性がある。



