ワイヤレスとインターネット税の抑制がテクノロジーの未来を左右する

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インターネットの進化に待ったをかける動きがある。アメリカ議会がインターネットへの新たな課税導入を検討しているのだ。インターネット接続サービスはInternet Tax Freedom Act (ITFA) および付随する法律によって課税対象から外されているが、その保護期間が2015年12月11日に期限を迎えている。

もしインターネット接続が課税対象から外されなければ、各州や連邦政府の議員によって新たな財源の餌食とされてしまう。その影響のスケールを測るためにも、ワイヤレスサービスへの過剰な課税がどれほど消費者の重荷になっているかを理解する必要がある。

Tax Foundation のレポートによると、消費者はワイヤレスサービスの利用にあたって、各州で他のモノやサービスに対して支払う税金に加えて60億ドル(7,320億円)追加で税金を支払っている。それらの数字は1台あたりの月額使用料の平均を46.64ドルとして抽出したものだ。

州レベルでは、携帯のワイヤレスサービスにかかる税率は2003年の10.2%から2015年には11.5%まで上昇した。それに、現在の連邦税6.5%が上積みされると、アメリカでは平均的な消費者はワイヤレスサービスに18%もの高い税金を課せられていることになる。他のモノに対する税率の平均は7.6%であることを考えると、ワイヤレスサービスに対する税率の高さは異常だ。

各州は64%の税負担を消費者側へ強いているが、税率は州によって異なる。フロリダ州は税率を縮小したし、オレゴン州やネバダ州、アイダホ州における税率は5%以下だ。それらの税率を低く抑えている州は、ワイヤレス携帯端末が多くの貧困層にとってもっとも賢いコミュニケーション手段であり、それらの層に属する59%の成人は携帯端末しか所有していないことをよく理解している。ワイヤレス携帯端末は様々な場所で利用でき、低所得者層の家族がインターネットを使うのに最も経済的な方法である。

アメリカでワイヤレス携帯端末の利用者は3億人にのぼり、安い料金で家族や友人とインターネットサービスを通じてコミュニケーションをとることを可能にした。ワイヤレスサービスは労働の生産性を高め、賃金の上昇にもつながった。それにも関わらず、各州はワイヤレスサービスが可能にしたこれらの役割を認めるどころか、タバコやアルコールに課す税金と同じ感覚で消費者に負担を迫っている。

携帯端末のワイヤレスサービスが家庭や経済に様々な恩恵をもたらした一方で、インターネットも経済活動のあらゆる面で大きな貢献をしてきた。インターネットによる社会的なインパクトは、商取引や教育、ヘルスケア、雇用分野においてテクノロジーを改善させた。

インターネットが出始めのころ、それに関わるテクノロジーの先行きは不透明で資金面でもリスクが大きいとされていた。18%も税を上乗せされては歯が立たないレベルだと考えられていた。幸い、政治家たちはインターネットが安定性を確保し今の地位を築くまで忍耐強く待ち、その間に技術も格段に進歩した。そして今、インターネットの優位性が揺るぎないものとなったのを見計らったように、政治家たちはインターネットへの課税に新たな財源をきりひらこうと躍起になっているように見える。

事実、我々はインターネットの次なる変革のステージに来ている。それは Internet of Things (IoT)だ。IoTは無線電波を使い、工場のフロアロボットや、自動走行車やドローンなど多様な機器に応用可能で、4兆ドルから11兆ドル(488超億円から1,342億円)の経済規模が見込まれている。IoTで使用する周波域は現行のワイヤレス機器よりも低く、情報の暗号化も一層改善すると言われる。

インターネットアクセスに対する課税は百害あって一利なしだ。州および連邦政府の議員は携帯端末向けのワイヤレスサービスに課する税金を他のモノに対する税率と同レベルに下げるべきだし、連邦議会はよりよい未来の実現に向けて、インターネットアクセスに対する課税禁止を断固継続すべきだ。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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